「やわらかい殻」 おかざき真里 (集英社・りぼんマスコットコミックス)



おかざき真里の最新コミックス。わたし、生まれて初めてりぼんマスコットコミックスを買いました。収められておるのは6つの短篇。多少の当たり外れもあるような気はしますが、このひとの場合、話が多少アレ?と思うような作品であっても、必ずひとつはどきりとするような台詞や絵が入っているので良いのです。
 なかでも「空に恋する」は、わたしが雑誌発表当時に読んで、本当に唸ってしまった一篇。お話を説明すると、これまで男の子に興味がなかった女の子がはじめて出逢った「運命の相手」。彼女はたちまち恋に落ちるけれど、遠くから眺めてるだけで、けっしてかれに接触しようとはしない。業を煮やした友達が、色々と協力しようとするけれど、彼女はそれも拒否してしまう。それでも、ようやく出逢ったふたりは結ばれて…というお話。これって「クッキー」(集英社の少女?マンガ誌)に掲載されてまして、しかもおかざき真里の絵は、いつもにもまして繊細で少女マンガにふさわしい美しさでして、それでこのストーリーだったわけです。ここまで読んだわたしが「ああ、おかざき真里ったらこんな少女マンガを描いてみたのね」と思ったとしても責められまい。まさか彼女がかれと接触しようとしなかったのが、あんな理由だったとは(愕然)。ある意味、まさにおかざき真里の描く少女マンガってことなんだと思うけど…。それにしても。当時、あまりに驚いたものでラストをすっかり忘れてました。こんなラストだったんだ、良かったね…。
 あと、働く女には身につまされてしょうがないかもしれない「タフ」もおすすめ。元気出していきましょう、という気になりました。カッコ悪いのはあたりまえ。「あたしはたたかうおんなだったのだ」という一文は、良いよな…。こんな風にかっこよく笑えるのは、難しいかもしれないけど、それでも、それは楽しい。きっと。
 こんな風に、それぞれに微妙に趣きが違う6つの短編が収められており、値段も390円と安価なのでおかざき真里の入門書としておすすめです。繊細な絵柄と元気のいいおねえさんと強い少女のせつない気持ちがお好きなかたはぜひご一読を。

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