「イッツ・オンリー・ア・トークショー」中島らも・鮫肌文殊(ダ・ヴィンチブックス)



 帯に「らも反省文付き」とあるように、大麻取締法違反の罪で起訴された中島らもの逮捕後初の本になるのかな?しかしその内容は、逮捕前にロフトプラスワンなるライブハウスで行ったトークショーですので、逮捕後のらも氏の言葉を知りたい向きは、最後の「あとがき」だけを読めばよいのではないかと。反省文、と帯にはあるけど、反省はしてないな。
 トークショーのゲストは、なかなか豪華なのですが、いやあ、もう、まったくノーマークだったこのひとについて語らせてくれ。わたしはもういてもたってもいられない。本を読んでいてここまで不愉快になったのは久しぶりだ。室井祐月。これを読むまでは、単なる女性作家かエッセイストくらいにしか思ってなかったのだけど、いやあもう参りました。そんなタマじゃない。もしわたしがこのトークショーに観客として参加していたら、たとえ最前列にいようとも、親指を自分の首に向けてゆっくりと横に引く、いわゆる「Cut the head off」の仕草を行ったね(WWEでベノワがよくやるやつです。KIBAが「真王」でやるやつといってもよいかな)。誰か首を刎ねておしまい。ここまでいくと芸だ。わたしはここにいたって初めて、全盛期の内田春菊を見た人々が「ちょっとねえ…」とつぶやいていた気持ちが身にしみて分かった。イタイ。いやもう本当に申し訳ない。これか、この気持ちだというのか。それはたまらないな。とりあえずこれこのとおり。
 どんなに不愉快かといえば、自称イイ女であるところの室井祐月様が、酔っ払って大槻ケンヂに「好きだって告白したのにぃー」とか云ったりとか「アタシはホステスつながりすごいからどんな有名人でも情報入ってくるんだからーなめるとひどい目にあうわよう」だのからみまくっているという、それだけの話といえばそれだけのことなんですが、女性であれば不愉快になれること請け合い。典型的な女に嫌われる女です。一読必殺。そして不愉快を通り越して遠い目になってわたしは思うのですが、こういうキャラがまた一部の男性にとってはこのうえなくキュート極まりなく見えるのだろうな、というあたりがじつにまたなんともはや。そして、こういう部分が自分のなかにも巣食っているのではないかという恐怖もまた感じる。いやああ怖い。しかし、このひと、こういうネタなんだよね?あえてこういうキャラ演じてるんだよね?
 しかしそういう室井祐月のオカルトや占いネタをすべてひとことで切り捨てる松尾貴史は本当にカッコ良かったです。
 あとはムッシュかまやつと野坂昭如がゲストの回が面白かったかな。どの回でも、らも氏はなんかろれつが回ってない感じがするんですが、ムッシュかまやつ相手にGSブームや当時のロックについて熱く語るのが良かったです。

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