「キッチュの花園」 唐沢俊一(メディアワークス)



 キッチュが好きです。いえ、松尾貴史のことではなく(ベタですいません)。
 そもそもわたしはカタログフェチなところがある。一般の目録とか通販の案内とか大好きなんである(だからキングの小説が好きなのだと思う)。たまに目がくらんで買うこともあるけれど、基本的には見て楽しむ派。そういうわたしにとっては非常に楽しい一冊でした。1800円という値段を高いと思うかどうかだけど、これだけふんだんに綺麗な写真が使われていたらオーケーでしょう。キッチュといえば「悪趣味百科」(ジェーン・マイケルスターン/新潮社)という本もあって、これも大好きなんだけど、やっぱりカラーで綺麗な写真が見られるのは大きな魅力です。キッチュってビジュアルだからね。
 この本から引用するなら、キッチュとはドイツ語でまがいもの、という意味である。ここで紹介されているのは、様々なフィールドにおけるそのまがいもの商品たち。本当に細かくたくさんの図版で紹介されていて、見るだけでも楽しい。添えられた唐沢俊一の解説はいうにおよばず。どれもこれもそこはかとなくいかがわしくも愛らしく、そのなかに、必ずひとつは、かつて手にしたことがあるような懐かしさを秘めた品物が見つかることでしょう。
 わたしがとくに面白かったのは「カストリ雑誌」(これは当時の世相風俗に興味があるため)「アメリカン・カルト・マガジン」(アメリカ人だってヲタクばっかだ!)「中華グッズの未熟な魅力」(「大中」を見つけると必ず足を踏み入れてぜんまい仕掛けのひよこのおもちゃで遊びます、わたし)かな。
 同時収録されているエッセイも面白かったんだけど、「わが悪女・妖女遍歴」にちょっと倒れました…(笑)。うーんと、女の子だって、「101匹わんちゃん」のクルエラ・デビルに、「タイムボカンシリーズ」の三悪おねえさまに、「バットマンリターンズ」のキャットウーマンに、「ルパン三世」の峰不二子に、憧れてやまなかったと思います(例えが唐沢氏の文に比較して時代的に新しいのは年齢差でしょう)。
 ちょっと変わった雑貨が好きなかたにぜひおすすめの一冊です。

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