「バンド・オブ・ザ・ナイト 」中島らも(講談社文庫)



 うむむ。出てくるエピソードのほとんどが、これまでのエッセイで既出のものなのが、ちょっとアレです。まあそんなのはこれまでのものを読んでいないひとには関係ないといえばそれまでなんですが。でもなあ。そして目新しいエピソードといえば、性的に放埓だったエピソードに限ってるあたりも、最後に残しておいたのがそれかあという感じで、ちょっと複雑。らも氏はご自身のそういうものをこれまではあまり露にされていなかったと思う。
 内容は、私小説と即興詩めいた言葉の同居なんですけど、ちょっと「頭のなかがカユいんだ」を連想しました。果たしてこれは中島らも初心者にお勧めか否か。初心者は、詩の部分がキツイいかも。ピンとくるひとにはピンとくる、けれどそうでないひとは…というものだから。でも小説の部分は、薬物系に抵抗ないひとであれば、読ませる面白さです。初心者でなければ…それでもやっぱり買って損はしないと思います。詩の部分がどこまで違和感なく読めるか。わたしとしては、その部分の挿入のされかたが、もうちょっと意外な感じで構成されていたらもっと面白かったです。

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