「毎日が大衆芸能」高田文夫(中公文庫)



 日刊スポーツ連載の1997年から2001年までの記事を集大成したもの。著者が実際に参加、見聞きした笑いメインの芸能鑑賞記なんだけど、その量とそれ以上にあふれる「好きで好きでしょうがない」「だけど余計なこたあいわないよ」という著者の姿勢のカッコ良さに圧倒されました。わたしは、落語好き要素がない人間だけど、そこらへんも分かったらもっと面白かったんだろうな。そして「嫌いな芸は書かないよ」というこの姿勢の潔さをに、ちょっとばかし、批評というものを考えてもみた。なんかさー、人間って、辛口だったりキツイ批評をありがたがる傾向ってあるじゃないですか。「本音云ってる」みたいで。でもそれってやはり基本に対象への愛情がないと下賎なものになりさがっちゃうよね。「こんなキツイこという自分はカッコいいでしょ」みたいなものがあったら、その中に貴重な指摘があったとしても、それだけでその文章が駄目になっちゃう場合があるんじゃないかな…自戒含めて。やっぱり読んだひとに、駄目なとこも含めてその魅力が伝わるような文章を書くのがプロではないかなと思う。そういう意味でも著者はプロ。しかし、氣志團にも目をつけてらっしゃったとは、さすがです。

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