「ブレーメンll (1)?(3)」川原泉(白泉社・ジェッツコミックス)



 「ブレーメンll」は、正直云って期待していなかった。川原泉は「銀のロマンティック…わはは」の頃からずっとファンだったのだけど「バビロンまで何マイル?」以降の停滞期のつまらないエッセイマンガには興味持てなかったのです。長編よりは絶対に短編のひとだと思ってたしね。でも、今回は当たりです、ああ、野球から今度はスタトレにハマったんだね(笑)。SFといいながら、この話の最大のギャグは登場する動物がみな、なんというか一昔前の良い子の絵本に登場するような画一的な絵で描かれているところにあると思うのですが、みなさま、どうよ?(笑)。頼むからじっくりと描いて欲しいなあ。途中で壊れちゃわないでね。
 そして3巻は、なんだか可もなく不可もなく…という感じです。別につまらないわけじゃないんだけど、これを川原泉が描かなきゃいけない理由というのがなんとも読み取れない。このひとは長編よりも短編のひとだと思う(あと、決して意外なストーリーとかキャラが描けるひとじゃなくて、根底はかなりのベタ話とお約束のキャラを描くひとだと思う。でもそれが強いんだよね。芯の強さがあるから)。だけど、ウィリアム・ブレイクの詩を冒頭に掲げた「タイガータイガー」の「虎は待っていた」という一言で、ああ、これなのかなあと感じました。この背中。これがあるからわたしは川原泉が好きなんだと思いました。

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