「花のような女」太田垣晴子(MF文庫・メディアファクトリー)



 太田垣晴子は、派手でないけど、しっかり描き込んでいる(それもうるさくない)イラストと、地に足がついた感じのエッセイという組み合わせが好きで、けっこう読んできたんだけど、なんかそろそろ首をかしげるというか、違和感というか。この本も、花をモチーフに様々なタイプの女性とその生き方を語るという内容になっているのですが、なんかそこかしこに見られる「オシャレで恋愛のことしか考えてなくて頭空っぽな(でも計算高い)外見頼りの若い女」より「一見ジミだけど男なんかに頼らず現実を見て自分と向き合う女」が良いよね!っていうのがいい加減、なんだかなーと。だって、それで後者の女が得るものとして挙げられるのも「素敵な一流商社の彼氏」とかいうんだもの。そういう女性にとっての人生の価値ってそういうものかな?なんか挙げられる例がいちいちステレオタイプだ。そもそもそういうことって、ひとそれぞれだからいーじゃん、とか思っちゃうのです。わたしは。作者自身も「いいんだけどね」と云いつつ、男に媚びる女性の行動をあれこれ拾っては挙げていくんだよね。
 これまでは、あんまりオンナオンナしてないとこが魅力だと思って読んできたんだけど、意外とやっぱりオンナでした、みたいな印象を受けました。それも、同性への視線がね。そうなると、今度はそのステレオタイプな表現が気になってしまった。女性は女性への悪口が好きだけど、それを嫌味なく読ませるには芸が必要なのではないかしら。
 ただ、この本、花のカラーイラストはやっぱり良いです。派手な花から地味な花、メジャーな花からイラスト見てもよく分からない花まで様々だけど、小さなカットひとつでも、ちょっと保存しておきたくなるような柔らかい色遣いと線が魅力的です。

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