「パイド・パイパー(1)(2)」浅田寅ヲ(幻冬舎コミックス・幻冬舎)



 東京を舞台にした無国籍な若者たちの抗争物語。
 デジタル処理がさらに増えて、美しいけれども癖のある線が、さらに特徴的になっています。話の謎めき具合もさらに増してるような。類型的といえば類型的なのかもしれないけれど、ところどころでのキャラクター造形のぶっとびかたが並みでないのと、美しい構図で、勢いのままに読んでしまいます。しかしそれでも、舞台設定がそれほど興味ないので、このままだと続けて読むのは辛いかなと思ってたところに、一巻の最後のページで、ずがーんと来ました。ぼやけてた謎が、一気に焦点合って提示されるこの快感。いいですよ、これ。あ、あと素敵な眼鏡もあります。お好きなかたにはご満足いただける眼鏡かと。
 ただ、これも、話は終わってるんだろうか…。二冊だけでも楽しめますが、わかんないことは多いです。マンガマンガしたすっきりしたストーリーを求めるひとには辛いかもしれないけれど、たとえばマンガのために「このヒトコマのためだけに買っても悔いないよ!」とかいう台詞を云ったことのあるひとなら満足できるんじゃないかしら。そんな風に印象的なシーンや台詞には事欠かないマンガです。
 

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