「拝み屋横丁顛末記(1)」宮本福助(ZERO-SUMコミックス・一賽舎)



 霊感のまったくない少年正太郎が、家出をして転がり込んだ場所は、陰陽師・神主・坊主・霊媒師・拝み屋…と、その手の人々が集う横丁だった。そこで起こる騒動を描いたノスタルジックコメディ。
 京極夏彦同人で好きだったひとなのですが、商業誌でも連載してるんだ、と手に取ったのがこのコミックス。しかしタイトルからも分かるように、なんだか京極な匂いがしてきます。内容もね。しかし、同人作家さんにありがちな、キャラクターの名前をオリジナルに変えただけのお話ではなく、上手に換骨奪胎してると思います。ので、京極を知ってるひとなら「ああ…」と思っても、そうでないひとにはまったく気にならないでしょう。知ってても、面白かったし。このひと独特の飄々とした雰囲気、軽味のようなものが全編に漂っているので、それがとても良い感じ。ただ、それがあっさりしすぎているので、続きが気になるとかはらはらどきどき、というお話でないのも確かです。そこがまた味なんでしょうね。
 絵も、癖があるといえば癖があるんですが、細かいところまで描き込まれているけれどうるさくなくて、わたしは好きです(ちょっと人物の目がみんなイってるみたいで怖いけどな)。眼鏡とオヤジ、和風オカルト属性な貴女におすすめです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする