「スリーピース!!RETURNS」安彦麻理絵(三才ブックス)



 以前、秋田書店から一巻が出て以来、音沙汰なかったシリーズの完結篇とそれ以外の短編が収録されています。シリーズといっても、先の展開がどきどきはらはらというようなものでないので、これ単品でも十分に読めるかと。
 安彦麻理絵の持ち味であるどーしようもない女の子のため息とかムカつきとかせつなさとかがリアルに描かれています。こういう「女の本音」みたいなマンガを描く女性作家は多いけど、安彦麻理絵は格段に面白い。なんでだろ、と思えば、見も蓋もないとこですかね、やっぱり。こんなにブス(性格および外見)を上手に描けるひとはそういない。でも、可愛い女の子もとっても巧い。で、可愛くっても、ブスであっても、男がいようといまいと(その質にすら関係なく)女の子はいつもなんか「これって本当にあたしの幸せ?」「あたしってこれだけ?」と思っている。そこらへんのリアルさが、嫌味でもドリームでもなく、そのまんま描かれてるのっていいです。たぶん本当の満足とか幸せなんて、自分の外見とか彼氏がどうとかじゃないんだけど、手っ取り早いのはそれだから、みんなそれをとりあえず求めちゃう。で、違うよなー…とひとりで缶ビールすすっちゃうわけです。
 ああ身も蓋もない。20代以上の女子におすすめ。

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