「黄色い海岸」TONO(朝日ソノラマ・ソノラマコミック文庫)


 TONOちゃんの新装文庫最新刊。TONOらしいとしか云いようがない短編が14編収録されています。
 ホラー、奇妙な話、エッセイマンガ、ボーイズラブ、とジャンルは様々ですが、どれもTONOっぽい。それで説明が終わるような、可愛い絵と奇妙で微妙なセンスのお話のものばかりです。個人的には、ある家族の不幸…というか不可解な死の運命を描いた「鳥のはばたき」が、怖かったなあ。明確には説明されないけれども、ひと言で表現できる運命の恐ろしさ。あと、ボーイズラブだとぎりぎりまで気づかなかった(にぶいよ、わたし)「ストレート」も、良い話です。このジャンルに出てくる女の子は、とかく類型的なキャラになりがちだけど、ここで登場するニッキーは、人間味のある良い娘なのです。人間は、どこかで真実と向き合わなくてはいけない。彼女の本当の告白は、泣き出したあとの言葉なのだと思う。

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