「スポンサーから一言」フレドリック・ブラウン(創元推理文庫)



 「まっ白な嘘」が実に面白かったので、そのまま二冊目を買いに行ったところ、見つかったのがこの一冊。SF中心で21編の短編が収録されています。
 こちらはショートショートがほとんどなので、とくにおすすめとかいうよりも、次々と楽しんでいけばいい感じがしますが、「スポンサーから一言」は、やはり外せないでしょう、という感あり。米ソの冷戦が極まって、いよいよ大戦勃発かと思われたときに、ラジオを通じていきなり飛び込んできた「スポンサーから一言」という言葉とそれに続く一言が、巻き起こしたものは…という有名な一作です。わたしは、この作品の、平和主義な視点とそれをさらに超えた皮肉な視点が両立している感じがすごく好きです。これこそSFっぽい。ちょっとずれたところから、皮肉に笑うスポンサーの顔が見えるようなラストが良いです。
 こんな感じで思いのほか面白かったフレドリック・ブラウン。幸い、翻訳も多いようだし、これからどんどん読んでいこうかと思います。とりあえず、いま思えば「発狂する宇宙」は多元宇宙がテーマなとこが幻創論ぽいので、そこらへんから手をつけようかと。

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