「阿蘭陀すてれんー都筑道夫恐怖短編集成2」都筑道夫(ちくま文庫)



 以前にも紹介しました、都筑道夫の恐怖短編集です。この本には35篇が収められています。
 奇妙な味、オカルト、SF、タイポグラフィまで入ってて、バラエティに富んだ内容ですが、わたしの好みは、やはり奇妙な味。どれも秀作ぞろいなのですが、なかでも、一見オカルトで話が進んでいたのに、ラスト近くのどんでん返しで人間心理の奇妙に収まった…と見せかけて、最後の最後の一行で、見事にタイトルの意味とオカルト風味が重なった「手を貸してくれたのはだれ?」と、孤独な男の人間心理の不気味さが見事に救いのないラストに結びつく「電話の中の宇宙人」の二作が印象に強く残りました。懐かしいSFの雰囲気漂う(大友克弘あたりが漫画にしたら似合いそうだ)「忘れられた夜」も、良い話です。

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