「天使と宇宙船」フレドリック・ブラウン(創元SF文庫)



 こちらは、ややSF中心の短編集。
 手品を観劇に行った坊やが劇場の人間たちを救えたのはなぜか?な「悪魔と坊や」、侵略者を迎えた地球でのなにげない婦人のひとことが、恐ろしい結末を浮かび上がらせる「大同小異」、完成したばかりの最高のコンピューターに「神は存在するか?」と質問すると…という「回答」などが面白いです。一番のお気に入りは、ほぼ不死となった存在が皮肉を交えながら、それでも誠実に語る人類という種へのロマンと希望が馥郁と香る「不死鳥への手紙」です。
 いくぶん、古いと思われる内容もありますが(なんせ原著の初版は1954年だし)、それでも着想と展開の妙は古びてないと思います。

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