「攻殻機動隊(1)(2)」士郎正宗(講談社・ヤンマガKCDX)



 正直に云う。士郎正宗のマンガを最後まで読み通したのはこれが最初だ。いや、なんつーか、あの細かい字の書き込みと、絵の情報量の多さに圧倒されて、ずっと手に取らずにいたんですよね。でも今回読んでみたら、攻殻だからというだけでなく、ちゃんと読めました。何事も先入観なく取り組んでみることが大事です。反省。
 まずは1巻。こちらは9課の設立と活躍を描いていて、映画のストーリーの基礎になってる箇所も見られているので、楽しく読めました。キャラクターもコミカルで可愛い。線の80年代テイストがなんとも懐かしかったり。しかしあれですよ。少佐に女性相手の濡れ場があったのにはひっくりかえって、その後、深く深く納得。そうだよ、これでなきゃ!少佐がレズビアンであれば、バトーの感情が、片想いにも届かないある種の惹かれる想いに留まるのも納得いくじゃないですか(まあ、このマンガ版のバトーはその場にシンクロしてしまった結果「ナメクジの交尾か」と身も蓋もないことをのたまうわけですが)。しかし、よしよしふむふむと読み進めていったら、あとでちゃんと少佐には男の恋人がいる描写もあってがっくりでした…(浅はかだ自分)。


 そして2巻。一読して本当にどうしようかと思うくらい、最初は訳が分からなかったんですが、再読すればするほど、少しずつ状況が頭のなかに入っていくような、そういう話です。まだまだ噛み下しの途中。しかし、とても男性的な組み立てなのに、活躍するのは少女に近い美女ばかり。まあ、男性的であればあるほど、美女が前面に出てくるのも当然かな。「イノセンス」もそうでしたが、とても男性的な話なんですよね。なにをもって男性的というかというとうまく云えないんですが、ぶっちゃけ「理屈っぽい」(笑)。その理屈の重なり具合が、うまいこと自分の頭のなかにあるものとリンクして「あ、そうか」と理解できたらそれがまた面白い。そんな作品です。

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