「カッパの飼い方(1)?(4)」石川優吾(集英社・ヤングジャンプコミックス)


 
 時代は昭和40年代、高度経済成長期も終息に向かいつつある時代。かつては野生でしか見ることが出来なかったカッパも養殖による繁殖が可能となり、世の中ではカッパを飼うブームが起きていた。都会で一人暮らしをする「私」もまた、子ガッパの「かあたん」を飼うことに…という内容のコミック。アニメ化もされたので、ご存知のかたも多いでしょう。
 カッパが普通に世の中に生息し、ペットとして飼われていることがさらりと語られている設定が、パラレルぽくて好みです。嘘をつくときは大真面目に丁寧に、の鉄則もきちんと守られ、細かいところまでカッパの生態や歴史がもっともらしく紹介されるのも面白い。出てくるカッパたちの愛らしさに「癒し系」という声もあるでしょうが、確かになんとも云えない独特の愛らしさです。ここで描かれているカッパたちには、普通の可愛い、というのとはちょっと違うイキモノ臭さがあります。それがまたよし。ウケケケ。ただ、カッパの設定の細かさに比べて、昭和40年代という時代設定はイマイチ生かされてないというか、ここらへんももう少し細かく描写してくれてもいいんだけど、という感じもあります。絵も、甘くないけど愛らしく、とくにカラー頁の水彩の色合いが、この物語とカッパの持つ雰囲気に似合ってて、素敵です。クポ。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする