「LE MONDE DE DEMON」デーモン小暮閣下


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 今日はもう、これの感想一本で。もしかしてバリバリの聖ll信者さんが読んだら、不遜極まりない内容かもしれません、そこらへんはご容赦ください(あ、でもこれだけは。閣下のことを「ひと」と表現するのは、単なる文章表現上のあやです。悪魔と書いてひとと読んでいると思って下さい)。
 全部で23曲を収録した閣下のソロ活動ベスト盤(二枚組)です。ただでさえ聖飢魔ll再集結で再燃してるこの気持ちを見透かしたリリースに、しっぽを振って乗せられて購入しましたよ。どうなることかと思っていた雨宮慶太氏のイラストは、想像よりもずっとカッコ良かった。公式サイトで一部が見られますので、ご覧ください。
 病気のような閣下宗のわたしですが、正直云って、閣下のソロ活動自体には、これまでものすごく入れ込んだことはありませんでした。どうも閣下がソロで選ぶ楽曲とは相性が悪いのです。閣下は基本的にうたうたいなので、ソロというと外部のひとに曲作りをお願いして、それが目玉になってることが多い。しかし、有名なひとが書いた曲であればあるほど、これまではそれがただ「書いてもらった」だけの結果に終わってたような気がする。それは、閣下の個性が曲と喧嘩することなく、すんなり勝ちを譲ってるから。なまじ器用なだけに、そういうことができちゃうのですね。でも、そうなると、それは閣下ならではというものではなく、ただ、良い曲というだけの結果に終わってしまうようにわたしには思えました。
 あと、ソロで見せる閣下の面は、なんというか、閣下が元々持ち合わせている人類愛に溢れる(皮肉ではないよ!)美しさがちりばめられてるように思えるので、それもまたわたしとしては居心地悪い。すごく綺麗な感性、それは退屈と紙一重なのです。これはわたしが悪い。
 しかし、じゃあソロの閣下の進むべき道はなんだろうと生意気にもずっと考え続けました。この類まれな個性を持つはずの歌い手にとって、どういう表現が一番面白いんだろうって。悪くないどころか、曲によってはもちろん大のお気に入りもあるこのこの二枚組を聴きながら、そう考えていたとき。
 最後近くの、邦楽維新collaboration LIVE収録の、「THE OUTER MISSION」と「鬼」にたどりつきました。その歌声を聴いたとたん、泣くかと思った。ショックだった。
「このひとはやっぱ聖飢魔llのひとじゃん」
 そう思ったことに、愕然とした。で、次の瞬間に、もう愛しくて愛しくて仕方なくなった。でも同時に、ファンのこういう思いくらいアーティストの足かせになるものはないだろうと分かり、それも切なかった。でも絶対に、ノスタルジーだけじゃなく、二枚組23曲のなかでも、この閣下が間違いなく、一番カッコ良かった。伸びやかでファナティックで美しい声。わたしが胸張ってお慕いする閣下の姿だった。もちろん聖ll信者だったら、この二曲のためだけに購入して損はないです。閣下の表現力に衰えなし。どころか100倍増しでパワーアップ。「鬼」のイントロのシャウトだけでも泣いたよ。頭振ったよ。
 なまじ実力があるひとだけに見失いがちではあるけれど、閣下のこのトリックスター然とした魅力と実力を惜しみなく表現することが一番自然なのは、このジャンル(HR/HM)なのでしょう。音楽のジャンルとしても、スタイルとしても。それはまあ当たり前の話で、問題はそれやったら聖llと同じになってしまうということなのかな。けれど、近年のバンドサウンドを主体にした「SYMPHONIA」と「WHEN THE FUTURE LOVES THE PAST?未来が過去を愛するとき?」という二枚のアルバムが、少なくともわたしにとって、すごく良かったのはそこらへんにあるのだ。




 でも、どうだろう。聖llは期間限定の再集結だから、その後はどうなるんだろう。それを終えて、ふたたび邦楽の古典芸能の世界やミュージカルに溶け込んでいくのも、悪くないけど、わたしはバンドで歌う閣下が一番好きだ。そういう姿なら、また喜んでおいかけるかも。そんな希望がほのかにともった。
 ていうか、わたしは閣下が好きだ。ので、閣下が幸せだったり楽しいのなら、究極的にはなにやってくれたっていいのだと思う。それが自分の好みの範疇からずれてても、なにをされても、自分の気持ちやこだわりなんかどうでもよくなるからなー。そこにいる閣下が、にっこり笑ってたら。しょうがないなーとこっちも笑える。わたしは閣下を信じてる。なので、さらにそれが自分の好みの活動だったらと思うと、ただもう、ときめく。
 早くまた、ステージに立つ閣下を見て笑いたいな。それまでは、この二枚組を大事に聴いて、この声を楽しみたいと思います。
 あと、やっぱり信者さんはこの「鬼」だけでも聴いて…(しつこい?)。

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