兄弟喧嘩

「はいどーもこんにちは」
「こんにちはー」
「漫才コンビ、ノコッタヨコッタでーす」
「しかしなんやね、最近のワイドショーはアレ一色やね」
「そうそうアレ一色」
「ちょっと意外やったわ。世間があんなにアレ好きとは」
「そうそう、アレキサンダー大王」
「どないなワイドショーや。アレやん。壮大な兄弟喧嘩」
「あーはいはい。わからへんね」
「ホンマわからへん。あれがわからへんのは俺らが一人っ子やからか」
「まあ、俺もあの兄さんには腹に据えかねてたとこあるんやけどな」
「おまえいつあの兄弟の仲間入りした」
「でもわからんのはね、なんでああやってTVでいうかね」
「ホンマやなあ」
「兄弟やったらケータイかけたらええんちゃう」
「それができひんからあんな手段なんやろ」
「デンパ悪いの?」
「違うがな。必死なんちゃう。なんか聞くとこによると弟えらい借金あるらしいで」
「ケータイ料金も払えんのか」
「それも違う」
「なんかおかしいよな、そもそもただの兄弟喧嘩やろ。それをああやって公共の電波使って、それをまたどっちの味方、どっちの贔屓って外野が騒いで、ええかげんにせえと」
「いまヨコッタんがええこというた」
「どっちの勝ちかと騒ぐ前に、きちんと賭けろと」
「賭けるな!」
「俺らしょせん外野やもーん」
「開きなおるなや」
「なんか、今頃になって現役時代は無気力相撲とか云うてるよな」
「ひとの口はいろいろ云うなあ」
「そういや土俵でも机にひじついて外ばっか見よったわ」
「あらへん!机あらへん!」
「先生に、なんやその態度!云われても、下向いて『…べつに』って云うてた」
「生もいいひん!それ、そもそも相撲ちゃうがな」
「そんなんいうたら無気力相撲ってわからんよな。なんやこう力士が両方、手をだらんとしてどーんどーんて体当たりか」
「アホの子の顔すんな」
「そんなんあるわけないやないか。相撲をなめんな」
「おまえが一番なめてなかったか、いま」
「男と男の真剣勝負にな、そんなんが入り込む隙あるわけないやん、生きるか死ぬかの十番勝負、平成の一代対決にやな、無気力と茶々を入れるとはなにごとか、と」
「いまヨコッタんがええこというた!」
「賭けるときにそんな要素を入れるな、と」
「やっぱり賭けるんかい!」

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