「エイリアンVSプレデター」(ポール・W.S.アンダーソン監督)



 まずは公式サイトを。そういう映画です。
 「フレディVSジェイソン」もそうでしたが、最近、こういうなんでもありのアメコミ原作の映画が製作されることが多いみたいですね。で、こういう映画の常として、まず組み合わせを思いついて、実際に作製にまでこぎつけただけで、その目的の80%は達せられたみたいなシロモノかと思っていたのです。なんていうの?ポスター見て大笑いしてそれで満足、みたいな(笑)。ところが実際に見てみたら、なかなかどうして、ストーリー展開の細かいことにさえこだわらなければ(ポイント)テンポ良く楽しく見ることが出来る作品でした。
 それはそもそもわたし個人が、怪獣とか怪物とかバケモノが出るだけで胸をときめかせる人種だから、かもしれません。ですが、「エイリアン」シリーズも「プレデター」シリーズも、そんなに熱心なファンとはいえない(あ、でも両方とも映画版は全シリーズ観てる…だってバケモノが以下略)のにも関わらず、それなりに細かい設定の押さえ具合が分かったりして嬉しかったな。ええ、そうです、ストーリー展開は?印も多いながら、プレデターとエイリアンという両種の設定はそこそこに押さえてる感が、お好きなひとにたまらない感があるのです。
 以下、ネタバレありの感想。


 テンポの良さ、というか、要するに観客が見たいのはプレデターでありエイリアンでしょ?というのがよく分かっている造りなので、両者が激突するお膳立てが整うまで30分もかかっていません。その30分足らずで、人間側のキャラクターの設定と人となりが理解できるシーンがさりげなく挟み込まれるので、人間も単なる脇役だけに終わってないのですね。それでもあとは、逃げる人間動くピラミッド垂れる粘液飛ぶ手裏剣吠えるマザーエイリアンとスピーディに流れます。スピーディに流れすぎて、そもそものプレデターの成人儀式がエイリアン狩りという最大の謎解きを、古代文字が読めた学者が壁文字読んでざらっと解説するだけで終わらせてますが、それはまあ、理由なんてどうでもいいから。こっちが見たいのは、粘液を垂らしたエイリアンの口と相対する仮面をつけたプレデターという二人のツーショットなわけで、その映像を現実のものにしただけで、この映画は成功といってもいいのかもしれないといっては云いすぎでしょうか。云いすぎですね。そもそも、アステカの神官を従えて、ピラミッドの上でポーズ取ってるプレデターの姿を見たとき、これがどういう映画か分かった気がしました。そういう映画です。
 しかし、なによりわたしがひっくり返ったのは、主人公の女とプレデターが協力してエイリアンを倒したことにあるのですが。嘘お。つーか、プレデターでしょ?言葉は喋れずともアイコンタクトで人間ごときと意志の疎通を図るんですか。あーりーえーなーい。もともとそういうキャラクターとはいえ、プレデターのあまりの武士ぶりにずっと武士言葉でアテレコして見てました。「ぬう、女。拙者とともに参ると申すか」「これでそなたもまことのもののふじゃ」とか。プレデターって要するにクリンゴンなのね。
 お約束といえばお約束、馬鹿といえば馬鹿かもしれませんが、これを嫌いというのも真面目が過ぎるような。娯楽映画としてのポイントはきっちり押さえたうえで、エイリアンとプレデターという二大キャラの特色も生かした佳作だと思いました。ただ、最後は、わたしは絶対に氷の海に落ちたエイリアンマザーの復活で終わると思ったんだけどなあ。 

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