「爆発道祖神」町田康(角川文庫)



 町田町蔵としてのこのひとについてはわたしまったく知りませんが、あるとき表紙の著者の視線がまっすぐで、思わず手にとった詩集「供花」に圧倒されてしまって、しばらく手離さなかった時期があります。わたしは現代詩とかちんぷんかんぷんだし(伊藤比呂美をのぞいて)パンクともあまり相性がよくありません。なのに、そこにある無茶苦茶な言葉の奔流のなかにわずかに見えるものにぐっと捉まれました。
 

 それ以後は出版量が一気に増えたこともあって一切手を出してなかったのですが、今回の本は著者撮影の写真と文章の組み合わせの全72話という形式が面白そうなこともあって購入しました。
 しかしこれはなんて解説すればいいのかしら。一応はエッセイらしき文脈がある。でも、それが無茶苦茶な展開(とも呼べない)言葉のねじこまれた流れに乗せられてとんでもない場所に到着する。ちょっと筒井康隆を思い浮かべたり。あ、でも書いてることは筒井康隆どころかの、「だからこれをどうすればいいんだ」とつぶやきたくなる異様な言葉、文脈、比喩。そこに拡がる世界は決して美しいものではなく、時に醜く、はかない。エッセイを切り口にした意識の幻想小説とでもいいましょうか。だから、ノれたらたまらなくキく。でも、ノれなかったらダメでしょう。わたしは好きです。こういう云いかたは誤解を招くかもしれませんが、「すげーPUNKじゃん」と思います。間違ってますか。
 とりあえず、これまで手をつけてなかった他の著作にも手を出してみようかと。またノれたらいいな。

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