「暴れん坊本屋さん(1)」久世番子(新書館)



 本屋さん。そう、誰もが一度は利用しながらも、働いた経験は無い人も多い本屋さん。これはその内情を店員の目から多少はっちゃけ観察した知っているものなら涙なしには読めないギャグマンガです。…そう、他人の不幸は外野から見たら案外笑いものだったりするわけですよ。かくいうわたしも、大学生活4年間は本屋でバイトしてました。なんせそれは何年も前なので、多少状況が違っているところもあるんですが、本屋さんに興味があるひとは読んで間違いなし。
 そんなわたしの自慢は自作のPOPで大島弓子の「ロストハウス」を13冊売ったことでしょうか。店員さん手描きのPOPは、本気の場合はかなりのリキ入ってますので、ぜひとも目を通してあげてください。
 しかしこの本の中では、とくに、お客さまは本のタイトルを覚えていない、というネタが個人的にも体験があるもので最高でした。そうかなあ、自分の欲しい本くらいわかってるんじゃないの?と思ったみんな、世間のひとがみんなオタクじゃないから!わたし、何回「大江健三郎がノーベル賞をとった本をください」と云われたことが…。
 なかでも最高に笑ったのは「○○の書いた○○をちょうだい」でしたが(これはぜひ現物を読んで爆笑してください。ちなみにわたしは「やなせたかしの、しまじろうの絵本をお願いします」と聞かれました。やなせ先生は本当にお仕事をお選びにならないかたですが(高知県人としてはとってもそう見えるよ、かずとよくん)、さすがにしまじろうは描いてないかと。あと、「横山光輝の『魔法使いサニー』はありませんか」といわれたことも。お客さん、来る店間違ってる。(復刻本があったとしても入荷してるわけがない)
 というわけで、実際に本屋で働いているひとにとっては、身にしみる、そうでないひとにとっても面白いマンガです。表紙のインパクトに負けず(笑)ぜひ手にとってみてください。

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