「猟奇文学館〈2〉人獣怪婚」 (ちくま文庫)



 人と獣、或はこの世ならぬものの交わりや恋をテーマにした短編を集めたアンソロジーです。典型的な幻想文学から民話、SF、サイコサスペンスなど幅広い分野から作品が選ばれているので読みやすいのでは。
 収録された12の作品のなかで、わたしのおすすめは、いわゆる『ナガモノ』が苦手なひとにはたまらない生理的不快感とそれでも読まずにいられない迫力の岩川隆「鱗の休暇」、コロコロと流れるせせらぎを思わせる美しい文体と比喩に溢れつつも読みやすい、中勘助「ゆめ」でしょうか。
 粒が揃っていて、少し奇妙な話に興味があるかたにはおすすめのアンソロジーです。

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