「ドラッヘンの騎士」青池保子(秋田書店)



 三編の中篇が収録されたオリジナル短編集です。
 まず、表題作の「ドラッヘンの騎士」ですが、中央ドイツの田舎町の町おこしのための騎馬試合を中心に、数百年前の史実との真実が明らかに…という青池保子以外が書いたら、面白く書くことはできないであろう地味なテーマです。が、いつも通りの確かな画力と少女漫画的な華やかさが同居した絵と、キャラクターの魅力でぐいぐい読み手をひっぱっていくのは確かです。つーか。萌えた(笑)。またエリザベス?世とスコットランド女王メアリの確執を描いた「女王陛下の憂鬱」は現代のスパイ合戦を彷彿とさせて、地味ながら読み応えのある一作ですし、カルタゴの古代遺跡の発掘を目指す研究者とスポンサーの口八丁手八丁がひたすら楽しい「カルタゴ幻想」もおすすめ。しかし、少佐の笑顔で「舌戯には自信がある」なんて云われちゃうと、きゃーって感じです(笑)。

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