「いまひとたびの」志水辰夫(新潮文庫)



 志水辰夫は初めて購入しました。これまではいかにも縁がなさそうな作家さんでしたが、
 「あんたがこうてきゆうがはひとがしぬがあばあやきおおのいや。おかあさんでもねるまえによめるがあこうちょきや」(訳・あなたが買ってくるものは人が死ぬ話ばかりなのでとても嫌です。母の就寝前の読書に使える本当を買ってらっしゃい)と、母に云われたもので。高知出身だし、確か「本の雑誌」とかでも評判よかった、文学すぎないし、短編集だし…と思ったのです。で、ママごめん。全部とてもいい話だと思うけど、全部人が死ぬのに関係する話だったよ…。
 本としては、純粋なジェントルゴーストストーリーがいくつかあったので、個人的には儲けものな感じでした。しかしやはり、こういう作品集の良さを肌で感じるには、わたしはまだ歳が足りないようです。どれもせつない、良い話なのですけどね。

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