「フィータスー人間未満」原作:村崎百郎/作画・森園みるく(筑摩書房)



 森園みるくといえば、レディースコミックですが、まともに読んだのはこれが初めてかも。
 原作者が村崎百郎でなかったら手に取らなかったと思います。幼い頃から聞こえてくる幻聴や幻視のなかで育った主人公は、いつしか人間としての感情を持ち合わせない大人になっていた、そんな彼女は「人間として生きていくため」ルームメイトを求めますが、そのルームメイトたちのたどる運命もまた、幻聴が教えてくれてしまう…聞こえてくる「声」は良いことばかりでなく平気で嘘もつきますが。一風変わったサスペンスとしても、「声」が聞こえる人間の悲劇としても、たいへん面白く読みました。
 森園みるくの華やかで美しいけれど、正直云って紋切り型の描線が、この内容にぴったり合っています。人間の持ち合わせる感情をもてない主人公は、当然常に無表情なわけですが、それがとても美しい。

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