「チャイ・コイ」岩井志麻子(中公文庫)



 ちょっと続けてこのひとの本を読んでます。ホラー作家のイメージが強いひとですが、これはれっきとした恋愛小説。ベトナムで出会ったレストランのボーイとの交わりを美しくも粘っこい文章で描いています。これがほぼ私小説であることは知っていますが、その後の相手の変容も重ねて思うに、やっぱり運命の相手だったんでしょう。
 作中の9割が性描写なので、お嫌いなかたはダメかもしれませんが、そういう意味ではわたしは山田詠美の「ベッドタイムアイズ」を思い出しました。


 あと、渡辺淳一の解説が必読。この褒め言葉を本気で書いてるとしたら、ぜひ『失楽園』あたりも読んでみたいと初めて思いました(笑)。どこがそんなにトンデモかは、本当にただ、読んで頂くしかありません。いや、褒めてるのは分かるし、感動してるのも分かるんだけど…。

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