「合意情死 がふいしんぢゆう」岩井志麻子(角川ホラー文庫)



 作者お得意の明治の岡山を舞台にした恐怖譚。化物や幽霊などの超自然的なものが登場するわけではありませんが、ここでは人間の持つネガティヴな力と思いの残酷なすれ違いを描いて、読後、ちょっと嫌な気分になれること請け合いです。一番怖いものは人間の心、というのは、ある種のホラーではすでに常套句になっているフレーズですが、岩井作品はそれが本当に巧いなあ。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする