「死体まわりのビジネス 実録●犯罪現場清掃会社」アラン・エミンズ(バジリコ)



 タイトル通りの内容です。自殺したり、事故があったり、殺人があったあとの現場(その多くは個人の持ちものであるアパートや普通の家屋です)を、警察の検証が行われたあと、キレイに片付けるビジネス。その会社を取材したジャーナリストの悪戦苦闘の記録がこの本です。
最初は、現場の凄惨さやそれにともなう苦痛(死体が発見されたのが死後数週間たっていたり、とても片づけが困難なものであったり、はたまた季節が夏であったり…)に、気持ちが囚われていた筆者が、本を書くために、だんだん仕事が飛び込んでくるのを心待ちにしていく過程は、ちょっとブラックユーモアかもしれません。わたしが感じたのは、一見グロテスクであったとしても、それがビジネスとして有能な人間によって扱われるのであれば、なにも特別なことはない、シンプルな仕事になりえるのだなあという感慨でした。
あと、日本だったらこんなにクールにはならず、かならずお祓いとか清めの儀式が行われるような気がします。日本だったら更地にするだろうと思えるような凄惨な事件でも、痕が残らないよう完全に清掃すれば、次の住人がドアの向こうで待ってる、という感覚はアメリカならではのものでしょうか。

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コメント

  1. ちほ より:

    日本でも同じような「遺品整理」ビジネスを手がける会社があって、社長さんのブログが本にもなりました。
    http://www.amazon.co.jp/gp/product/4594052320/ref=pd_rvi_gw_2/503-6072037-3617526?ie=UTF8
    ブログはこちら
    http://blog.goo.ne.jp/keepers_real
    同じ国でこんな現実があるんだ…と、ショックを受けたブログです。ぜひご一読を!

  2. くさてる より:

    情報、ありがとうございます。
    アメリカのことを知っても、日本のことはなんとなくの思い込みでしか知らなかったので、社長さんのブログは興味深かったです…。己の人生を含めて、色々考えさせられました。ひとの生き方とひとの死については、一口には云えないものがあるのですね。