「夢幻紳士 冒険活劇篇 全5巻」高橋葉介(ハヤカワ文庫)



 ご存知(ご存知ですよね)、高橋葉介の少年探偵夢幻魔実也くんが大活躍するシリーズのなかでも、一番長編です。
 冒険活劇篇となっていますが、わたしはもっとシンプルに『スチャラカ篇』と呼んでいます。連載が続くうちに、高橋葉介の持ち味のひとつであるナンセンスとスラップスティックにどんどん加速がついていき、止まらなくなっていく様はむしろ快感。いまの目で読むと、時代的にもちょっと恥ずかしくなってくる感もありますが、やっぱり実に楽しいです。
 で、当然、連載時のコミックスで全部読んでるわたしが、文庫本で揃え直した理由なんですが。正直云って、最初は買い直すほどには思ってなかったのですね。この時期の高橋葉介の絵は、わたしの苦手だった下ぶくれな絵柄ですし…(この文庫本で云えば、1?3巻。4・5巻になるとキュートなちびっこい絵柄になってOKなのですが)。
 でも。やっぱり買って良かったのは、各巻に掲載の書き下ろしがね…実にどれもこれも高橋葉介でね…。こういうの見せられると買っちゃうんだよなあ。ご紹介しておくと、1巻2巻3巻は、絵物語です。1巻は、コミカルで楽しく、2巻は、怪奇篇のごとく哀しく奇妙なもの、3巻は、ヤケになったがごとくの連作モノ(笑)。4巻は、幻想篇の雰囲気で(「納涼篇」とあります)『夜の客』と題した6ページのマンガ(これが秀逸!)、5巻は、「広報篇」と題して、その『夜の客』の続編で、これまでの高橋作品の主要キャラをが入れ代わり立ち代わり現れる、ファンにとっては大喜びモノ(ミルク!猫夫人!クレイジーピエロ!)。これらのもので十分元を取った気がしてしまう、ファンというのはそういうものだと思いたい。
 とか云ってたら、今度は「夢幻外伝」が文庫化ですか?!もちろん初版で持っているうえに、あれは大きな版で持ってたいけれど…紙質のせいで端が悪くなってるんだよなあ。きっとこれにも書き下ろしがあるんだろう(期待)…買うかあ←ファンというのはこういうものだと(略)。あ、もちろん「学校怪談」も文庫で購入中です…←ファンと(略)。

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