「回想のビュイック8(上・下)」スティーブン・キング(新潮文庫)





 まずは云いたい。これ、帯がひどいです。グチャグチャなホラーは好きじゃない、キングを読んだことがないひとにおすすめとか書いてある。いくらキングが一般的には「スタンドバイミー」で「ショーシャンクの空」な「グリーンマイル」な作家だからといって、嘘はいけない。この作品は、キングが大好きな遊星からの物体Xなみのグチャグチャ(より時にはもっとひどい…)な仕掛けがてんこ盛りな、SFホラーですよ!当然、わたしとしては、お勧めです
 キングといえばそのリーダビリティの高さで有名な作家さんですが。本当によくここまでするすると読み続けるしかない気持ちにさせてくれるものだと思う。話としては、短編か中篇でもいいのかもしれないアイデアだと思うのですが、細かく書きこまれたキャラクターの生活や人となりや構成の妙が、この長さを飽きさせません。文庫本2冊の暇つぶしをしたいかたにはうってつけだと思います。もしかしたら、ラストで怒るかもしれませんが、そこはそれ、そこにたどりつくまでを十分楽しめたという気持ちになっていただければ…と(無理か)。

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