「局アナ 安住紳一郎」安住紳一郎(小学館)



 いままで黙っていたが、実は好きだ。いつからかは忘れたが、わたしの心にある秘密の小部屋にいつしかひっそりと住みついた素敵男子アナです。ちなみにその部屋には和泉元彌も住んでます。そこ、納得するな。くさてるさんの情けない男好き列伝にいま新しい名前が刻まれたとかやっぱり男の趣味がアレだよとか安住アナに失礼でしょう(わたしがな)。
 いや、顔とか雰囲気とかもアレなんですが、なんかこのひとの不思議な空気の読めなさというか、観てる側の居心地の悪さというか、毛並みはいいのにいつでも困った犬みたいな感じがツボです。力いっぱい褒めてます。で、こういうひとは文章も面白いのかなと思って購入したら、文章のプロでないひとが書いたらしい朴訥な口調で語られる素敵エピソードが満載でした。
 とにかく自分が好きだったりそのくせ感激屋だったりこどもだったり、ひとり孤独な出前アナの仕事をこなしたあと、寂しさのあまり同僚の男性アナに「俺は仲間が欲しい」とメールを送ったら翌朝に「俺はいつでもお前のそばいにるよ」と返事が返ってきてて慌てたり。そんなエピソードを紹介するにも、ひとことひとことのオチのつけかたが、たぶん無自覚にキいてます。狙ってないと思う。そこが実にいい感じです。
 いろいろと面白いのですが、どれかひとつといわれればこれ。短気で無謀なひとを安住アナの出身地である北海道では「たんぱら」と呼ぶのですが、かれは昔から通信簿には「たんぱらを直しましょう」と書かれていたとのこと。そんな安住アナの「たんぱら」エピソードとして挙げられたものを引用してご紹介します。
 「中学生の頃、親に勉強のことで叱責され逆上した私は、自分の教科書や勉強道具一式、さらには本棚ごと近所の空き地に積み上げそこに火を放った。その炎は意外に高く天を焦がし騒ぎになった。以来大学を卒業するまで両親は勉強に関して一切援助はしてくれなかった。ひょうたんから苦学生
 なんかどこからツッこんでいいか分からない。わたしは昔からこういうひとが好きでした。ぜひブログとかやってほしいです。文才があります。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする