オレたち14帝國「春のかざまつり」(名古屋アポロシアター)

 さて、「春のかざまつり」です。なにするんだ?ってのが最初の気持ち。帝都民祭を彷彿とさせるタイトルだけど、まさかねえ。

 OPSEである「Numb」が流れただけで、「いやんもう好き」な気持ちになる自分のおめでたさに呆れつつも、舞台を眺めると、五藤中尉がいない。ええええ(驚愕)。よく見れば、風間少佐もいないけれども、それはまあともかく(ともかくなのかくさてるん)、ご、五藤さんは?!しかしそんなわたしの慌ても、定光寺中将と立花大将が口を開いたとたんにどっかへ行ってしまったのでした。だって、風間少佐の経歴なんだもん!しかも、順当にリッター加入のことから始めたものの、「変わらず少佐」「1007年、風間利之30歳!」「30歳!」「30歳!」の繰り返しには、笑った。いや、こうやって文章にするとなんてことないようですけど、これがあの雰囲気のなか、表情を崩さない大将と中将でやられたら、インパクトすごいですよ(笑)。とりわけ定光寺中将、さすがこういうファナティックな演技させたら帝國一(笑)。あわてて飛び込んでくる風間少佐の気持ちもわかる。

 そのまま続いた風間少佐が王様な「かざまつり」の様相も、実に愉快なものでした。普通に大将や草薙大差が扇を仰いだり、春木大佐が風間少佐の肩を揉んだりするぐらいだったらともかく、薔薇を投げるエレクトリカルパレードのわけの分からなさには脱帽です。つくづく、風間少佐、良い表情です。

 そして、場面が展開して「…我ながら傑作かと」にこやかに語る風間少佐に対して、その台本を床にたたきつける定光寺中将の動きの素晴らしさ、ああキレがある。そのままかぶさるEDSEに、もうこれでおなかいっぱいという気分にさえなりました。早いよ自分。

 それ以後は、通常のOPナレーションが導入され、城下での祭りのなか、つかのまの休息を楽しむ大将と中将という導入に入るわけですが、赤い月と妖刀を手にした狂気の春木大佐による立花大将への「あのときの小僧だな」という台詞には唸った。コテでもベタでも、こういう言葉がひとことふたこと挟まってるだけで、ストーリーの説得力というのが増すのです。風間少佐の狂気の笑い声、つくづく素晴らしかったなあ…。

 そして、この前半で気がついたことといえば、アックスくんが。なんか声出るようになってますよ?独特のクールビューティな鬼畜キャラをすでに確立した五藤中尉(口をきわめて褒めてます)に比べれば、ドラムとしての位置のほうがまだまだ大きかったはずなのに、なんか良い感じですよ?ここで、以前から品のいい犬顔のアックスくんにぷらぷら尻尾を振っていたわたしの萌え心に火が。

 さて、ここで盛りだくさんのオールナイトです。色々と小ネタ多くて拾いきれません。オールナイトにいる春木大佐なんて春木大佐じゃないらしいです。わーい、賛成(笑)。「教えてかざまつり」での、立花大将の風間少佐への質問、「月、いくらくらいからなら返せる?」のシビアさに笑った。よりによって大将に借金しちゃダメー(笑)。また、しつこく3サイズを聞く定光寺中将も素敵です。風間少佐は式典のときにはブラをしない、と。メモメモ。あ、ハルキングの「涼宮ハルキの憂鬱」はその違和感のなさに気づくのにコンマ2秒遅れたよ!しかしなんで春木大佐は踊らなかったんだろう。絶対に踊れると思うのに。必要以上に達者に

 続いては後半です。テンポ良く展開が進んで、にこにこです。ここは、もう、アックスくんが。アックスが。あっくんが。あっきゅんが。←崩壊してます。刀をかまえての「じゃっきーん!」に倒れた。撃たれた。切り落とされた。なんだなんだこの化け方は。みんな、あっきゅんが(だから誰だよ…)化けたよ!しかし、ドラムスティックに反応して、わんわんにまで化身するのは、なんていうの?サービス過剰?臣民の期待に応えすぎ?犬耳と犬ッパナまでつけなくても良かったよね?(注・つけてません)

 過去に戻って刀の創られるところでの、大将のパチンコネタが素晴らしいできでした。「給料日が15日です」から始まる大将の語りに、タチバナーとしての血が滾りました。そうよそうよ、この語り口なのよ!丁寧に無茶を語るのが大将なのですよ!「一万円が千円札にかわり、千円札が小銭に変わり、車まで金を取りに行く気持ちが分かるか?自分の部屋の本に挟んでいる金を取りに行く気持ちが分かるか?」分かるよ!でもやったら駄目だよ!(爆笑)加納中佐の「前半で存在感がないとはよくいわれたが、存在そのものを消されたのは初めてだ!」には咲いた。すばらしい自虐ネタ。「先生は出て来たときが一番面白いんですよー♪」以来、加納中佐には自虐ネタがとても似合う。ぜひ今後もその路線で。

 剣術道場では、たちばなな夫妻の再登場に大喜びしました。わたくし、テル子さんの「あんたー!(裏声悲鳴)」を愛しています。しかしここはあれだよ、物配りだよ!懐かしー。そこに至るまでのタイミングは実にスリリングなものでしたが、この場合、立花大将が悪い(笑)。草薙大佐の一喝、わたしも否定しない(笑)。

 しかしそこまで遊んでおいてたここで、よりにもよって、テル子さんがフードを取っての幻創論ですよ。きゅううんんと来た。狂気の妖刀に抵抗できる唯一の存在が元帥の刀、なんて、もう泣こうと思った。正直、ここまで元帥の存在って自分の頭にはなかったから。なんだよ、それ。本当にやられた。なんでみんなそんなに帝國が好きなんだよって。マジで泣きそうになった。

 そしてまさかの決闘シーン、まさかまさかのアックスくん!これだよ!一見、散漫に散らばってるような各シーンが、絶妙の伏線となって結実する、一本の糸をひっぱることによって、複雑にからみあっていたはずの糸がばらけるようなこの快感。これが帝國だよ、帝國の式典だよ!そう、ここまでだらだらと流れを書いてきましたが。いままでのシーン、それなりに間延びはありつつも、けして無駄ではないのですね。グダグダではないのね。今回、この感想を書くのに、式典場面のフローチャートとか書いてたんですが、2時間の式典が、すごくすらすらと場面をつなげていけたのがとても面白かったです。

 ていうか、もう、これコテコテの式典だから。まさに式典だから。風間少佐がいつ白い服着てアラジン踊り出すかと思った。すごく懐かしくて、とても心地よい。そしてなにより、単なるコピーではない、フォーマットとしての過去式典を生かした、新作式典なのです。わあ、風間少佐すごい。ていうかはっきりいって、風間少佐、どれだけ帝國好きなんですか(笑)そして面白かったのは、あれだけ風間少佐が幻創論使って、「行くぞ!」ってやって、でも風間少佐は全然、元帥ではない。当たり前なんだけど、そこを勘違いしないですむ、風間少佐のあのキャラ立ちの見事さよ。元帥の変わりはどこにもいない、というのは当たり前だけどね。代りはいない。そして必要ない。だってここにはいるから。元帥が。その意志が。

 しかし、つくづくこれだけの長さで破綻ない脚本(まあ五藤さん死にっぱなしだけどな)を書きながら、主役として八面六臂の活躍を見せた風間少佐、すごいなあ。本当にカッコいい。ずっとリッターとしてすごいとか思ってたけど、まさか書けると思わなかった。でもさ「はるのかざまつり」って云われて、誰がこんなライヒスリッターVol.0.5みたいなのが来ると思うのよ。勿体ない、ああ勿体無い。くそう、式典が好きな臣民の皆に鐘と太鼓で知らせて回りたい。ビラも刷りたい。これ、見ないでどうするよ?

 あと、ここまで帝國だと、逆に元帥がいないのが寂しいとかいうひともいるかもな。わたしはまったくそうは思わないんだけど。

 でも、わたしはいまとりあえず、こんな良い式典を見ることができたのがただもう、嬉しいから。すごいなーと思ってるから。10年近く見てきて、未だにわたしをこんなにノックアウトしてくれる帝國が好きなんだ。いろんな意味で不器用だったり、ダサかったりするかもしれないけど、自分たちのやってることが大好きで、楽しそうなこの集団が、好きなんだ。
 これからも見ていきたいです。ありがとう第14帝國。

 あー、もちろん、色々感じるところがあるひとがいるのは分かります。ちょっと中だるみがあったとか、台詞のかみとか出のズレとか(草薙大佐がわたしの代りにあえて名前は伏せるけれども某立花大将を怒鳴ってくれたよ…)、そういうことあるのは分かるけど、わたし個人は、もうそういうこと、あんまり重要視しないんですよね。くさてるさん変わったというなかれ。わたしが変わったというか、わたしの優先順位が変わった。

 だってわたし、帝國が好きなんだもの。そしてこれは間違いなく帝國なんだもの。それがベスト、それがファーストプライオリティーなんです、もはやいまのわたしにとって。一度、この目から帝國が消え失せる瞬間を見そうになったこの身としては、もう、なんというか、あれは耐えられない。もうなにも消えて欲しくない。なくなって欲しくない。でも、なくなると思ったの。終わると思った、なのに、いまここにある。もうそんな経験したら駄目ですよ。余計なこと云う気なくなっちゃう。大事なのは、目の前にあるのがどれだけ帝國なのか、式典なのかっていうことなんです。

 そりゃ、かむよりはかまないほうがいい、たるむよりたるまないほうがいい(しかし中だるみしないオールナイト14ってありなのか。立花大将愛用のヘアブラシみたいなもんじゃないのか、それ)、でもなあ、もうそういうのにこだわるのに、あんまり価値が見出せなくなったのよ。日和ったといわばいえ。わたしはもう、自分のプライドとかよりも、目の前の大好きなもののほうが大事だ。帝國を帝國たらしめるスピリッツ、それが感じられるかどうかのほうがずっと大事。

 少なくとも、いま目の前にいるリッターたちは笑ってる。「終わらせない」と鮮やかに言う。わたしにはそれがなによりも大事なものです。わたしはそんな帝國が大好きです。(2007.4.30 追記)

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