「乙女ケーキ」タカハシマコ



 繊細で可愛らしい絵柄で、切り取られた日常のヒトコマや思春期の心の揺れなどを描写するのが上手なマンガ家さんです。
 18禁な作品群も多いですが、これは一応健全。でも百合。百合と云いつつ、肉体的な触れ合いはキス止まりですから、ある意味正しい百合モノなのかも…。個人的にはもうちょっと進んでくれてもいやそのげほげほ。その突き進まなさが、タカハシマコらしいといえば、タカハシマコらしいけれど、ジャンルによってはそれどころでないことも知っているので、つい期待を(わたくしは汚れております…)。それかいっそキスもないほうが良かったかなあ…。ええ、そんなことをついぶつぶつとつぶやきたくなるくらいに、描かれる少女達はどれも可愛らしくて可憐で、同時にセクシュアルな香りも放っているのです。
 10編の短編が収められていますが、どの作品もまず、タイトルが良いです。「あかいかさ、しろいかさ」「ぬいぐるみのはらわた」「氷砂糖の欠片」「乙女ケーキ」などなど。可愛いだけでも甘いだけでもなく、過度に暗くなりすぎることもなく、大人になる直前の女の子のぎりぎりな感じ、迷っている視線と熱情がどの話からも溢れてきます。
 個人的には、過去から現在までをともに寄り添う友人との思い出も、やがて混沌に溶けていくせつなさを否定することなく描いた「タイガー・リリー」、正直云って構成がわかりにくくて未だに展開がよくわからないものの、桜と三角チョコパイという小道具に長い髪の少女がとても可憐だった「彼女の隣り」がお気に入りです

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