「Dandy dragon&Spring☆Tiger」高橋なの(司書房)



 今はなきみのり書房のアニパロコミックスに掲載され、単行本も発売されていた、大河ドラマ「独眼流正宗」パロディマンガの新装版です。みのり書房版のコミックスに未収録の同人誌発表の短編や、同じく大河ドラマ「武田信玄」のパロディも収録されて実にお得な一冊となっております。
 正しいパロディというのはこういうのを云うんだろうなあ、と思います。本編を知っていなくとも、それなりの戦国時代の知識があれば、楽しめること請け合い。もちろん本編を知っていれば、楽しさ倍増です。まあ本篇は20年前だけどな(いま書いて眩暈がした)。斜め上から見るようなひねた感じはまったくない直球のパロディが楽しいです。ぶっちゃけ、昭和の匂いがする。シリアスなキャラクターたちの活躍を、しっかりドタバタ4コマに変換しつつ、特徴をよくとらえているので実に笑えます(何十回読んでも「政宗はウソつきじゃっ!」「えっ、知らなかったのでござるかっ!」には吹き出してしまう…)。しかも、トーンを使用しない淡白な画面ながらも可愛らしい絵柄で描かれる線は、シリアスにもぴったりとハマるのですね。わたしはその両者が相まって独特の効果をあげている、お猿の秀吉を主人公にした「夢 夢 また、夢」が、大好きです。何回泣いたか分からない…。
 高橋なのの他の商業誌の単行本としては「あなたの知らない銀英伝」(これも名作だ…)や、これも再刊が待たれる、ファーストガンダム世代なら号泣必至の「そしてキミに会いに行く」などがありますが、なんとかもっとこのひとの作品を自然なかたちで読めるようにならないかなあ…。同人誌では活動されているようですが(情報ブログ)、まとまったかたちで読みたいものです。プロというわけじゃないのかもしれませんが、優れた作家さんだと思うのです。


 以下、ちょっとアレな話を↓


実はこのひとが微妙な別PNで商業誌に描いてたBLモノが素晴らしくツボでありました。二作しか確認できていないのですが、どちらも、実に扇情的で美しく、かつ、触手で素晴らしかったのです(強調部分が特にツボだったと思われます)。これの単行本、本当に待ち望んでるのですが、無理でしょうかやっぱり…(しょぼしょぼ)。

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