犬神サーカス団「いつか」



 先日のワンマンでの重大発表は、春の新アルバム発売と、別名義の新ユニットでの音源も同時発売だったらしい、犬神サーカス団。かれらの5ヶ月連続りリースシングルの最後を飾る一枚です。
 「いつか」は、ライヴで一度聴いたときから忘れられない美しい一曲。犬神にしては甘く物悲しいと云われそうです。が、それこそ今回の「サマー・オブ・ラブ」という企画は「レコード・CD文化」へのリスペクトだと明兄さんもおっしゃっていたので、70年代終わりくらいの女性歌謡曲にあってもおかしくないようなこの曲があっても全然、OKなのでは。なにより、らしいとからしくない以前に、良い曲なんだもの。普段だったらなんとも思わないような通俗的な歌詞のはずが、このメロディと凶子さんの歌声によって、無数の場面を連想させる極上のせつなさをもたらす響きになっていて、感動する自分に、戸惑いがあるくらい。バンドって奥深い。
 「運命」は、これは逆に犬神っぽいといえばぽい。高慢な女性が落ちぶれていくさまを描いた歌詞には「洗脳」を思い出すような響きがあります。音的には、懐かしいくらいのハードロックで、もう、好き好き。ジョニーさんのギターが素晴らしい。
 「餓鬼」は、通称「電車の歌」で知られていた、犬神にとっても最初期のナンバーの再録です。歌というよりは詩の朗読で、悲惨な事故現場を描写し続ける凶子さんの声の響きがカッコいいんだけど、実に怖い。ライヴで一度聴いただけですが、何度も聴きたいかと云われると…聴きたい、かもなあ(笑)。楽曲の勢いがこれまた生々しく、犬神を代表するナンバーのひとつであることは間違いないと思います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする