「第七女子会彷徨(1)(2)」つばな(徳間書店・リュウコミックス)



 お友達の真夜さんに熱烈に推薦されました。「こういうの好きだって話が出来るのはくさてるんくらい!」というそのお言葉に、そりゃどういう意味だいと微妙に思わないでもなかったのですが、一読して納得。うん、これはわたしが好き。しかし、ほかのひとがどう思うかよく分らないのも納得。SFでファンタジーな世界、と紹介されてはいるけれど、スコシ・フシギな意味でのSFです。でも、ふた昔前の日本SFってこういう短編がすごく多かったような気がするんだけどなー。
 ちょっとだけ未来社会の女子高校生、金やんと高木さんの仲良しコンビが、さりげにいちゃつき(といっても百合テイストでなく、百合フレイバーくらいではないかな。そこはかとなく香る感じ)、じたばたしながらも、世界で起きる不思議な出来事や日常の諸々に巻き込まれたり、巻き込んだりしていく、一話完結のストーリーです。まずは、絵が良い。ちっとも今風でなく、むしろ地味なんだけど、丁寧で、味わい深い。1巻から2巻のあいだにも、絵が成長しているけれど、あまり巧くなってほしくないような気もしてしまうくらい、手探りで構成されているその感じが、良いです。記号として完成された既存の線をなぞってるだけの絵柄とは真逆をいく感じで、その手ごたえに、諸星大二郎と似たものを感じます。絵としてはまったく似てないんだけど、そういえば話的にも、諸星大二郎のSF短編や栞と紙魚子シリーズに趣が似ているかな。つまり、派手でない。でも、何気に発想自体はぶっ飛んでて、それを確実に画像化していると思う。吾妻ひでおにもそこらへんが似てますね。お好きなひとにはこたえられない。
 わたしとしては、死んだ人の魂がデータ抽出できるようになってデジタル天国で再生されている日常を描いた「デジタル天国」をはじめとする一連のシリーズと、事前に書いたアンケートで友達が与えられる「友達選定」、冷凍睡眠で眠りについた男の子が7年ぶりにやってくる「初恋解凍」などがお気に入りです。とても落ち着いているけれど、ちょっと微妙にずれた、不思議な世界。でも、その世界を疑問に思うことなく、女子高校生としての日常を楽しんで過ごす、主人公二人の造形が、自然でとても良い感じ。いつのまにか硬くなっていた頭を微妙にほぐしてくれるような、楽しさに満ちたシリーズです。

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