結婚祝い

「はいどーもこんにちは」
「こんにちはー」
「漫才コンビ、ノコッタヨコッタでーす」
「いやあ、かれのような人間をこのような晴れがましい場所にお呼びいただいて実に恐縮です」
「俺を指さしながら云うな」
「実を申しますと、僕らが今回、ここに招かれましたのは、新婦のご友人からのお祝いの一環でございます」
「いや、こんな営業は珍しいです。ぼくらみたいな駆け出しコンビ、わざわざご指名頂いてね」
「めでたい席にも関わらず、かれのような人間をお呼びいただいてなんとお詫びしたらいいか」
「せやから俺を指さしながら云うな」
「いいですね、結婚式!」
「ぶったぎりやな」
「いやホンマにええと思わへん?結婚式」
「まあ、なんていいますか、人生のあらたな門出というわけで、実におめでたい」
「なんか、世の中、不景気もあって、結婚もなかなかできないとか籍を入れるのが関の山って巧いねヨコっタん!」
「お前の滑ったネタを俺の名前で云うな」
「まあ、それでもあれですわな、籍を入れるって、あれ、なかなか大変らしいですよ」
「そうなん?俺、役所いったらそれでしまいと思てた」
「いや、お前、やったことないやろ。あれでややこしいねん」
「ほんまに」
「そもそも新婦さんは戸籍があるのかと」
「祝いの席祝いの席祝いの席!」
「出生届を出したのが、マンモスが氷漬けになってた頃とか、いやいや地球が平らで象の背中に乗ってた頃とか、ホンマ、友達や思うて好き勝手いいよりましたよ、お友達」
「あー、いま、友人席爆笑やね。そこ以外は確かに氷漬けやけど」
「失礼な話ですよ、俺、さっき新婦さんに本番前にごあいさつさせていただいて」
「ああ、行かせていただきました」
「俗に、結婚式は花嫁さんがいちばん奇麗いいますが、いやー実に可愛らしい」
「ウェディングドレスがまたたまらんね」
「よく知らないひとが見たら人間やと思いますよ」
「祝いの席や云うとるやろうが!」
「この晴れの席に合わせたようなNASAの発表。あれは式に駆けつけようとした御親戚かなにかで」
「すいませんねー、文句いうなら新婦のご友人にねー」
「そういや聞いた話によりますと、この新婦さん、料理がたいへんお上手で」
「おっ、いいねえ、新妻の手料理」
「おいおい、ヨコっタん、新婦さんが自分の手を刻んで料理してるみたいな誤解を招く発言はやめたほうがええよ?」
「お前がやめろ」
「まあ、無くなっても生えるらしいですし」
「やめろ!」
「あと、お酒もお好き。いいですよね、二人で晩酌」
「あー、憧れるね、独身男子としてはね」
「どこから飲むんやろうなあ」
「お・く・ち」
「リズミカルにでこピンしながら突っ込むなや」
「こんなに素敵な新婦と新朗、まさにお似合いのお二人です」
「新朗のチャイナドレスもお似合いです」
「俺、それはつっこまんとこ思うたのに、云うたなあ、おまえ」
 というわけで、杉本真夜さん、ご結婚おめでとうございました!

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