「地球デビュー25周年記念・期間限定再集結 聖飢魔ll ICBM TOUR(東京国際フォーラム)

 さて、翌日です。せっかく東京に来たのですが、正直言って、ラストミサとなると、あれこれ予定を入れる気にはならなくて基本的にはノープラン。けれど、Twitterで情報が流れていて、前から気になっていた、ゆうきまさみ先生(公式サイト)の30周年記念企画展(サイト)だけは行くことにしました。上京と企画展のタイミングが合うとは、なにかのお導きに違いない、と。

 そして、会場の渋谷PARCOに行くのにも、Twitterで、ご親切な皆様のつぶやきに助けられたわたくし…。ありがとうございました。渋谷公会堂には確かに行ったことがあるはずなのに…。企画展の会場自体は、こぢんまりとしたものでしたが、展示されているのが「究極超人あ?る」の生原稿とあっては!生原稿を見る機会に恵まれるたびに思うのですが、プロマンガ家さんの原稿って、本当に綺麗なんですよ…、複製原画じゃね?って疑うくらいに。で、ほんのわずか盛られたホワイトを見つけて、あ、生なんだと納得する次第。とくにゆうき先生の線は無駄が無い。他にも「機動警察パトレイバー」の表紙絵とか(内海!内海!)(黒崎!黒崎!)(ていうか関係ないけどこれを書くために参考にしたWikiの「機動警察パトレイバー」の登場人物欄、黒崎のとこ書いたひと、気持ち分かるけど、自重な…)も嬉しいのですが、なにより個人的に見られて幸せだったのは、劇場版「ザブングル・グラフィティ」のパンフレットに掲載された見開き2Pのカラーマンガの生原稿!懐かしい…。

 わたしがゆうきまさみ先生のマンガを読んだのは、もちろん「OUT」からなのですが、その頃の「OUT」というのは、メジャーではなく、マイナー誌の匂いをひきずっているような存在でした。マイナーといえば、アニメのパロディというもの自体がマイナーな存在であったといえます。そこに掲載されている多くのマンガ(初期の「アニパロ・コミックス」もそうですね)は、あくまでアマチュアの作品で、投稿者と掲載者の間に、そんなに差は無いように思えました。つまり「自分たちの側のひと」な共犯者的意識を持って楽しむことが出来るマンガが多かったのです。なので、そこ出身のゆうき先生が「少年サンデー」でデビューしたことは、「わたしたちの仲間がメジャーに躍り出た」くらいのインパクトを持つ出来事でした。いや、あくまで読者のひとりとしての勝手なお思い入れなんですけど。そして、嬉しいことに、描く舞台が変わっても、ゆうき先生はゆうき先生のまま。作品の完成度は高まっても、どうにも消せない、なんというか素敵な「こっち側のひと」匂いも漂わせた作品を、いまでも描いて下さっています。嬉しいことです。

 また、ゆうき先生に縁のあるマンガ家さんたちからのお祝いイラストもすごかった…これまた皆さん原稿が本当に綺麗で…。高田明美先生の「あ?る君は元祖草食系男子?」のコメントになるほどと手を打つ。何気にモテだし、米食いだし(違)。椎名高志先生の描くあ?る君はああ、兵部のルーツはここね、と納得したくなるほどのカッコよさ。島本和彦先生の焔燃の負け惜しみが楽しい1pマンガも素敵だし、石川雅之先生描くところのバーディーは絵柄的にもぴったり!どの先生のイラストも、ゆうき先生と作品への敬意と愛情が見てとれて、本当に見ているこっちも幸せになれました。そして、ここでわたしは【サンデーキュージョン】機動警察パトレイバーを記念に購入しました。わーい、オレ、オタクー♪(浮かれている)。

 そのあとは、いったんホテルに帰り、せっかく東京まで来たということで、普段はなかなかゆっくりお話する機会のないちほさんとフォーラムで待ち合わせして、お茶にお付き合い願いました。観劇帰りにあわただしくお付き合いただき、申し訳ありませんでした。さらに、再会していちばん最初の話題が「アレ」で、もうひとつ申し訳ありませんでした…。「元帥もヒいてた」の確認が取れて幸いです(謎)。思えば、ちほさんとも帝國が出会いですが、今後は宝塚でよろしくお願いします!とご挨拶。そ、そんなにいれ込んだりはしないと思うんですけど、嫌いなわけはない世界だからなあ…。そして、お互いがいちばん共感してふかいため息をついたのが「10年前に戻れたらもう少しうまくやるのに」(何を)だったあたりが、ソウルシスターな二人です。でもたぶん、同じように頭ぶつけるんでしょうね。いたいいたい。今後ともよろしくお願いいたします。

 今日の席は、後列ながら、これまたど真ん中で、会場で待ち合わせた歩姐さんと2人で大喜びです。ありがとう、FC!もちろん、満員の観客席を眺めて、あー、これで本当に最後なんだな、となんとなく思いました。実感はない。信者みんなが思うことなんだろうけど、次は30周年記念で再集結がある、かもしれない。でも、それが今回のツアーと同規模で開催される保証はなく、そもそも、行われる約束もない。だからこそ、いま、この瞬間に、この会場にいられたことを嬉しく思いました。来て良かった。チケットが取れて良かった。そのために、頑張ることが出来て良かった。

 この日の感想は、前日のように一曲一曲を追うことはしません。セトリは同じなので、ある意味、同じ言葉を繰り返すことになりそうなので…。なので、思い出すままに、つれづれと述べていこうと思います。
 いちばん最初の「GOAHEAD!」で、ライデン殿下のドラムに酔いしれました。聖飢魔llがバンド好きの出発点だったわたしは、後々になって、自分にとってのドラムの基準が殿下であると思い知らされることになるのです。ぶっちゃけ、他のバンドでは首をかしげることが多すぎて。力強さと繊細さ、安心して気持ち良く身体のリズムを任せられるその音だけでなく、殿下の可愛すぎるキャラクターも魅力でした。今回も、尻尾をつけたおちりの可愛さにノックアウト(笑)。

 今日はスカパーにて3Dで生中継、ということだったのですが、それを知ったときにまず「大丈夫?」と思ったものです。ほら、色々と(笑)。案の定、中野サンプラザでのミサに参加したスカパーのスタッフから「どうもその…」なご相談があったとのことで、但し書き入りの生中継となったそうです。でも、そんなこと言われたら、閣下が飛ばす飛ばす。カメラに向かっての5千人の「ざまあみろ」は気持ちよかったよ!3D、ということで、カメラに向かって必要以上にビシっと決めポーズを決める参謀も可愛かった。ていうか姐さんが好きなひとですよね、どこまでも。

 この日はラストミサ、といいつつも、途中まではそんなにそのことに思いを馳せたりしなかったのですが(ミサって純粋に楽しいから、目の前のこと以外のことが浮かぶ余裕がないのよね)、最後、ということをぐっと意識させられたのが、構成員紹介におけるジェイル大橋代官。不正確で申し訳ありませんが、これはもう、自分の記憶の為に記しておきたい。だいたいこんな感じのことをおっしゃいました。

 「今回、俺がステージ上手に立つことで、複雑に思うひともいたと思う。最初の海外はやってやれ!で出来たけど、日本では、アウェイでやる覚悟もありました。でも、ツアーが始まってみたら、信者の皆が、ものすごく大きな声で迎えてくれて…」と信者に感謝の言葉を述べたあと、なおかつ「87年に俺が辞めたときに、迷惑もかけたし、嫌な思いもさせたと思う…でも、こうして迎え入れてくれて、本当にありがとう! 感謝してます。聖飢魔ll 最高!!」と構成員やスタッフへの感謝まではっきりとおっしゃったのです。

 それはもう、何のてらいもカッコつけもなく、本当に無防備な、思ったままのことを云っているんだな、と分かる言葉でした。もし、演出を狙うならこのタイミングでは云わない。感謝の言葉は最後までとっておくものだもの。でも、最後のミサの自分のコーナーで、云いたい言葉はそれだったんだな、と思いました。人は変われる(悪魔だけど)。わたしは昔のトガっていたジェイル代官の言葉に、とても悲しい思いをしたこともある古参信者です。でも、人は変われる。すごく嬉しかったし、良いものを見られたと思いました。いくら一つのことが素晴らしくても、それを取り巻く世界が変わり続けている限り、いつまでも変化することが無ければ、いつしか色あせたものに変わってしまうことは確かに、ある。生きている限り、ひとは変化していくし、そうならなくてはいけない部分があると思う。どうやっても変えられないことと、変える必要がないことと、変わらなければいけないこと、それらの区別をつけるのはとても難しいことなのかもしれないけれど。ジェイル代官は、変わってみせた。すごく、カッコいいと思いました。

 そしてそんなジェイル代官の良い話のあとに、颯爽と自転車で舞台に登場するルーク参謀は、そこ、変わらなくてもいいですよ(笑)。身体にぴったりフィットした背中空きの白い衣装に「またいやらしい格好して…」と閣下にからかわれ、和尚に「ドリフが入ってきたね」と云われたとしても!わたし、今回のミサツアーで、見方が変化した二大構成員が参謀と和尚です。和尚は、まあ、「イエイのおじさん」に乗っ取られたのだとしても、参謀の可愛さに開眼いたしました。もう、すっごく可愛い!あのおっきなおくちでにまっと笑うあの笑顔の愛くるしさよ、動きのキュートさよ!まあ、姐さんみたいに「あのキラキラしてるのは衣装じゃなくて内面のキラキラがこぼれてるから」とまでは言えませんが。姐さん、それは衣装。

 泣くかなー、と思ってた。泣くかどうかはそんなに大きな問題じゃないんだけど、とにかく今回の再集結はとてもとても楽しくて、まるで聖飢魔llが解散してたことなんて無かったような感覚で、いつもミサに参加していた自分が、いよいよ最後だという現実に向かい合ったときに、どうなるんだろうと思った。前回の再集結から5年あったけれど、うーん、勝手な思い込みかもしれませんが、信者さんってさ、とくに、今回、国際フォーラムにまで参加しちゃうようなひとってさ、5年の間、聖飢魔llの存在を忘れたことなんか、無かったと思うんですよね。解散してからも、普通にCD聴いたり、DVD見たりしてたんじゃないんだろうか。つまり、大好きなバンドとしてずっと現在進行形の存在じゃなかったのかな。「ああ、聖飢魔ll?高校生の時、ちょっと聞いてたな、懐かしいな」とかいうレベルのひと、ここにいないと思うの。だから、今回、また消えてしまうとしても、また、待てる。それは5年後の再集結をお約束として余裕で待ち構える、とかいうレベルでなくて、この先、未来永劫「聖飢魔ll」という存在が、復活することがなかったとしても、自分の大好きなバンドは、ずっと「聖飢魔ll」だから大丈夫、という自負心のようなもの。いつかまた会える。最終的には、文字通り、地獄で会えるよ。

 とりあえず、わたしのなかでは、そんな感じで気持ちが固まっていたので、「DEMON’S NIGHT」の構成員横並びを見たときも涙は浮かばなかった(むしろここでは突然の邦楽な舞に驚くのに忙しかったいた。花柳鳴介師匠かと思ってたが違いました。能楽師の山井綱雄さんというかたらしい)。「蝋人形の館」でも、声を震わせることなく、「ラララ」と歌えた。さすがに、「BLAND NEW SONG」だけは胸にぐっと上がってくるものがあったけど、「FIRE AFTER FIRE」の激しさの前にはすべてが持っていかれるように感じた。「嵐の予感」の閣下の舞いは泣くよりも目に焼きつけようと思う気持ちが強かったし、「JACK THE RIPPER」は、5千人の「こ・ろ・せ!」を体感出来る瞬間に、心を震わせていた。そして、「ELDORADO」は、文字通り、最後だから。泣くよりもなによりも、最後だから。いまこうやって書いていても、自分がなにを見たのか、感じたのか、はっきりとは思いだせない。でも、あの会場に降り注いだ、金のテープのきらめきが、綺麗で、とても綺麗で。あのキラキラを覚えている。

 わたしの涙腺が崩壊したのは、最後の最後。「ELDORADO」が終わって、閣下が松崎さまを下がらせて、舞台に構成員だけが残ったとき。舞台の後ろに、丸い空間が出現して、そこに、構成員がひとりひとり階段を登って、消えていくのだと分かったとき。最後のコメントを残すこともなく、信者の呼び声に、手を上げて応えて、信者に背を向けて階段を昇っていく構成員の姿を見たときです。10年前の解散がフラッシュバックして、どうしようもなかった。消えてしまう、終わってしまうという現実の前に、背中を向けた閣下に、わたしはどうしても伝えたくて、声を届けたくて。なにを云いたかったかというと、「ありがとう」「大好き」の言葉でしかないのです。陳腐だと笑われそうだけど、会場からは他にも同じ叫びが聞こえてきました。本当に、本当にありがとう。わたしの前に現われてくれて。わたしにこんなに誰かを好きになる気持ちを教えてくれて。14歳の出会いからいままでずっと、わたしがいちばん好きになった相手は、聖飢魔llのデーモン小暮閣下です。閣下を好きになって、聖飢魔llを大好きになったこと。それがこれまでのわたしの人生に与えてくれた影響は、はかり知れません。わたしはそれを誰にも否定させない。閣下が大好きです。わたしにとって、誰かを好きになることは、そのために生きていこうと思えることでもありました。閣下の存在が、いまのわたしをこの世に存在させてくれました。本当にありがとうございました。

 今日のミサで、閣下は、信者に「諸君らが本物になる、あるいは、本物を見極める力をもつことが大事だ」とおっしゃった。わたしはその言葉に、また閣下のことが好きになりました。「本物になれ」なら、ある意味、誰でも云える。でも、世の中には本物になる能力や資質に恵まれないひとだっている。なにをもって「本物」「まがいもの」とするか、というのも解釈の問題かもしれません。それでも閣下は、ナンバーワンになれない人間の存在を忘れない。あるいは、ナンバーワンの人間をナンバーワンたらしめる、それを支える人々に目を向ける存在なんだ、と思いました。だったら、わたしは自分自身を世に問うような存在かどうかという意味では本物でないかもしれないけれど、ここにいていいんだと思います。閣下は、最後の最後で、わたしにまた、居場所をくれました。大切なことを教えてくれました。大好き。

 「正義のために」(SE)が終了しても、なかなか席を立つ気になれず、まだぐすぐすしていたけれど、同じように残った信者さんの呼びかけで始まった三々五々拍子のおかげで、気持ちが落ち着いて、ようやく、笑えました。しかし、あの三々五々拍子のそろい方。みんなどれだけ信者の集いに参加してたひとたちなんだ(笑)。ああ、信者さんも大好きだ…。

 そのあとは、歩姐さんとお酒を飲みながら、いっぱいおしゃべりして、すごく楽しい夜を過ごしました。少しでも穿った見方や斜めの姿勢でいるような言葉はいっさい聞きたくない夜なので、ひたすら馬鹿な話で楽しめる相手とご一緒できて、嬉しかったです。ちょうどM-1の決勝参加者が決定して、姐さんが大変すぎたし(笑)。わたしも東京にいたならば、姐さんにくっついて、あちこちのお笑いライブとかに出かけてたんだろうな、と思います。今回、お付き合い頂いて本当にありがとうございました、某たんのお話の続きが超気になりますので、また機会があればよろしくです!
 本当に素晴らしい二日間でした。ありがとう、聖飢魔ll。わたしは、あなたがたが大好きです。

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