ルパン三世PART5第14話「王国の盗み方」感想

 ルパン三世PART5第14話「王国の盗み方」の感想です。公式サイトによるあらすじはこちら(URL) 。(わたしはhuluにて視聴しています)以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。どうぞ!

 アバンは、前回ラストの直後の場面から。テロリストは逮捕され、生徒は無事に解放されたものの、生徒一名、教師一名がヘリで連れ去られた模様との警察無線が聞こえます。もちろん、ヘリで去ったのは、ドルマとマックでした。「どういうことか、わたしにパダールを救えとは」と問うドルマに、マックは、パダールがいま国王の改革派と大司教の伝統派が対立していることを指摘します。ドルマもまた父親と同じ改革派でした。自分の雇い主は、混乱を生む改革を望んでいないとのマックの言葉に、「腑に落ちたぞ。あのテロを利用してわたしを殺すつもりだったか」と言うドルマ。マックは微笑むだけで明確に答えようとはしません。「おぬしにひとつ問おう、なぜわたしを助けた」というドルマの問いにも答えはないまま、ヘリはフランスから遠ざかっていきます。

 一方、テロリストから解放されたアヌシー学院の様子をうかがうルパンたち。アミの姿を見て一安心するものの不二子の姿も見つけて、驚きます。ここで目ざとく「隣にいるのは不二子じゃねえか」と気づくのは次元さん(強調)。しかしながら、ルパンは不二子の姿を見たとたんに、そこから立ち去ろうとします。「逃げるのか」という次元の言葉に「そんなんじゃねえよ」と答え「ではどこに行くのか」という五エ門の言葉に「決まってんだろ。泥棒だよ。おれはまだなんにも盗んじゃいねえ」とすごむルパンでアバンは終了。

 いや、ここでわたしはちょっと驚いたんですけど。だって、ルパン、あきらかに不二子を避けてはいませんか。アミの隣にいたその姿と、テロリストが片付けられた手際を見て、不二子がアミを取り込んだことにはすでに勘づき、不二子の狙いも「血と涙の雫」であることはあたりをつけたんじゃないかなと思うんですが、不二子との関りにえらくセンシティヴになっているようで、そこに驚いたんです。ねえルパン、もしかしてなにか不二子ちゃんにひどいことしたんですかと聞きたくなるレベル。でも、そんなことしてたら、次元たちの不二子への態度がもうちょっと違うよなあとも思うので、あくまで男と女のややこしい関係ってことですかね。「逃げるのか」って次元さんの台詞といい、気になるところです。

 さて本篇。舞台は変わり、ルパンたちはパダールに到着しました。スマホのニュースを見る次元さんによると、学院の事件から二週間たち、連れ去られたドルマ王女はCIAとアメリカ軍特殊部隊により救出成功という表向きのストーリーが語られますが、ルパンによれば、あのテロはそもそもCIAが絡んでいたとのこと。

 ここでアルベールが登場です。警察としてテロリストの取り調べをしていたアルベールは、CIAがこのテロを利用した可能性があると分析しているのです。ただ、それをルパンに教えるような関係とも思えないから、ここは無関係なふたりがそれぞれ分析した結果、同じ結論に達したとみるべきですかね。

 ルパンたちが訪れたパダールは、世界的IT企業「シェイクハンズ社」と共同開発した新市街と、かつての古き都である旧市街に分けられています。ルパンたちがまず足を止めたのは、ITで制御されたスマートシティである新市街でした。

 ここで、自分たちの前に止まったタクシーに、話しかけられ「なにやつ」と斬鉄剣に手がいく五エ門、名前を呼ばれて「え!」と目を丸くする次元さん、とそれぞれの反応がらしくていいです。「おれたちの生体情報を集めて、町全体でサービスを提供してくれるってわけだ」とのルパンの説明は明快ですが、次元さんは「まるでSFだな」とあきれ顔。しかし「次元大介」の名前で普通に入国してる次元さんも大胆ですな。そして、そこで煙草をくわえようとして、禁煙であることを機械に見とがめられると、さらにうんざり顔になり「こりゃSFっつうより、小うるさいオフクロだな」って次元さんがくそ可愛いですね。隣で笑ってるルパンの顔もいいの。

 そして、ドローンが料理を運び、市場での買い物も電子マネーでやりとりされるそんな新市街には、不二子とアミもやってきていました。ふたりはシェイクハンズ社の起業者のひとりであるリーのオフィスにいるのです。ここで、エンゾの名前も出ますね。不二子ちゃんはうまいことリーをたらしこんでいるようですが、そんな大人の男女のやり取りに、同席しているアミはうんざり顔を隠しません。「本題に入って。大人の会話は回りくどい」ってアミらしいですね。もちろんそれに対し「こどもの会話はむき出しで無粋なのよ」と答える不二子も。

 ふたりはドルマ王女の情報を求めていたのでした。そこで、ドルマはテロに巻きこまれたPTSDで入院中、面会謝絶で国王陛下も会えていないとのリーの言葉に表情を曇らせるアミ。そして、彼女たちのいるビルの周りを飛ぶヘリでも、なにやらきな臭い会話が交わされているのが分かります。

 ルパンたちもまたドルマの姿を求めて、ドルマが入院している病院がある旧市街へ向かいます。そこで出会ったサモサ売りの女の子から、ドルマのスクープ写真を求めてやってきた外国のカメラマンだと思われたルパン。ここのサモサ売りの子が可愛いなあと思ってたら、熱々のサモサを渡された次元ちゃんがさらに可愛かった。さきほどのタクシーといい、パダール王国では大介の可愛さキャンペーン実施中かと思われます。そして、この女の子からドルマが国民に愛されていることを察するルパン。さらにその後ろでサモサのキャッチボールをしている五エ門と次元。ふたりとも可愛いぞ。

 一方、不二子とアミもまた旧市街を訪れています。市場の男から情報をたやすく手に入れる不二子。ここで投げキスする仕草の可愛さよ。アミはそれを見て「また色仕掛け?」と皮肉を言いますが、不二子は気にした様子もなく「頭の良いひとが学者になって、足の速い人が陸上選手になる。長所を生かすのはいけないこと?」と答えます。わー、不二子ちゃんだー。これは不二子ちゃんだー。

 そこの食堂で注文を聞かれたアミは「パダールヤクのバター鍋が食べたい」と言います。それはきっと、あの広場でドルマが作って一緒に食べたあの鍋のことですが、店の女性に、それは家族か、大切な友達としか食べない特別な料理だと教えられ、アミの表情はせつないものに。そしてここで現在のドルマの姿が一瞬だけ差し込まれます。民族衣装に身を包み、いかにも王女然として外を眺めるその表情はどこかさみしそうです。

 続き、街を歩いている兵隊を拉致して顔のデータを取り、変装用マスクを3Dプリンタで作成するルパンたち。ここであの五エ門さんが3Dプリンタをいじってるようにも見えましたが、気のせいでしょうか。しかし、いつものあの超便利マスクをどうやって作ってるかなんてファンタジーだと思ってましたが、こうやって、説得力ある感じで見せられるのも面白いですね。

 パパラッチが群がっているはずなのに、現在のドルマの写真は一枚も出ていない。つまり、パパラッチが手を出せない場所にドルマはいると踏んだルパンたち。まずは顔のデータを取った兵隊に成りすまして駐屯地に入り込みますが、入り口でおかしな顔をされて、一瞬ドキッとする場面となります。しかし、たまたまその兵隊が今日、誕生日だったという落ちでした。しっかり変装しているにも関わらず、目線と表情がしっかりルパンと次元なんですよね。そしてここで「誕生日だとさ」「そりゃ悪いことしちまったなア……」ってのがしみじみとおかしい。しかし、そこでもう一度呼び止められた結果、ふたりは軍隊内で、クーデターが起きようとしていることを察します。

 そして、そのルパンたちの推察通り、伝統派である大司教は着々とクーデターの準備を進めている様子です。そこに現れたのはマックたちCIA。アメリカは表向き中立を保つものの、クーデターはひそかに支援するとのこと。さらに、どうやらドルマ王女は死ぬはずだったのをCIAがシナリオを変更し、実権は大司教に、という流れが準備されているようです。

 というわけで、いまやクーデター前夜となったパダール王国。しかしルパンは、どうする、との五エ門の言葉に「なあに。相手だって同じ泥棒だ。盗むもんが女か国かって違いだろ?負けるわけにはいかねえよ」と不敵に笑い、予告状をかざします。それに対し「けっ、盗むのは首飾りじゃなかったのか」と言う次元。ルパンさんのカッコよさが爆上がりのところに、次元さんがさらに飾りつけ担当という感じで決まりましたね。ここでAパート終了です。

 そしてBパート。いよいよクーデターが始まります。なにやらきな臭い雰囲気に包まれた王宮に忍び込んでいる不二子とアミ。なんかざわついているわね、という不二子の言葉に「年を取ると目と耳からダメになるって聞いたわ」と冷たく言うアミ。さすがに「あなたわたしのこと嫌いでしょ」と不二子はあきれ、アミは、そうね、と答えるものの、そこで不二子に「どうして?」と問われると、答えることができません。

 しかし、あの、冷静に考えて不二子ちゃん、好かれているとでも思ってましたかと驚いたのはわたしだけでしょうか。分かってて意地悪言ってるのかな。考えてみれば、不二子は直接的にはアミのことをほとんど知らないはずなんですよ。なのに、ここまで信用して(あるいは利用して)るのも不思議な感じですが、自分の目で確かめたアミの能力を認めてのことなんですかね。ルパンとアミの関係を察することができない不二子とも思えないのですが。このふたりの組み合わせ、面白いけど不思議です。

 そして囚われのドルマのところに赴くマック。どうやらドルマはクーデター後、傀儡の女王に祭り上げられる模様です。つまり、父である国王陛下は暗殺か幽閉される可能性がありますよね。静かに踊るドルマの胸中はいかに。そしてそれを見つめるマックの真意もまた。

 クーデターは着々と進んでいきますが、大司教のもとにはいきなり銭形警部が現れます。ルパンからの予告状が来たとあっては黙ってられないというわけです。ごり押しでみごと王宮の警備に加わった銭形ですが、その正体はもちろんルパンでした。兵士に銃を突きつけ「はい、お疲れチャーン、ドルマ王女の居場所を教えてチョ!」っていうのが軽くていいな。兵士の財布から写真を盗み見て、脅しをかけるときの表情がすごく悪党ながらも、情報を手に入れると「ありがとさん!」と気絶させ、妻との写真も返してあげるあたりがルパンぽい。そして、ドルマの囚われている塔を見て「さて、気づかれないうちにチャッチャと終わらせますか」と言うまえの表情がくそイケメン。やだもうこのルパンすさまじいイケメン。パダール万歳(なんか違う)。

 一方、不二子ちゃんは不二子ちゃんで、うまいことアミをドルマのもとに向かわせます。危険な高所での移動に身をすくませるアミですが「しっかりしろ……不二子に笑われる」と自分をふるいたたせるあたりがまたなんというか、すごく意識してるんだねって感じですね。しかしそもそもアミちゃんはあくまで天才ハッカーであって、ネットを使うわけではない旧市街や王宮ではそんなに能力も発揮できず、肉体的能力もごく普通の女の子のはずなんだけど。そんな子をこんな風に使うなんて、きっと不二子ちゃんには不二子ちゃんの考えがあるんだろうなあ……。

 いよいよドルマのいる塔に入り込んだアミですが、そこで待ち受けていたのはあのマック。ブラフをかけるものの、もちろん、プロにかなうわけもなく、アミの身に危機が迫ります。しかし、あわやというところで、ルパンが登場。キャー(わたしが悲鳴)。おまえは、と問われ「ルパン三世。大司教猊下との泥棒対決にまかりこしました」と芝居がかった様子で一礼するんですよ。これがまたくそカッコいい。パダール万歳(二回目)

 しかし、いまにも殺されそうなところで「たすけて、だれか……ルパン」と呼んだときに、当のルパンが現れちゃうんだもんなあ。これ、反則だよねえと思っちゃいました。ただでさえ、ルパンはアミのリアルワールドでの初めての保護者でもあり理解者でもある、そんな無敵な存在なのに、ここで白馬の王子様属性までプラスですよ。ここでルパンの姿を見た瞬間のアミちゃんの表情と来たら。

 一方、銃を構えたマックの周りを、アメリカのやりかたを非難しつつ、くるくると歩き続けるルパン。いろいろ言いあげたあげく「でかい顔すんじゃねえや!」と言い放つときのこの顔。顔。アメリカはでかい顔をしなくていいけど、ルパンさまはこの顔をいくらしてもいい(混乱)。いや、この決めの台詞を言うまえ、一瞬ためた目の動きからのこれは、もうどうしたらいいかわからないくらいにカッコいい。しかも、それだけに終わらず、歩き回っているうちに準備したワイヤーをでマックを縛り上げるときのこの動き!ヒップラインの美しさと足の長さが最高です。やだもうカッコいい!パダール万歳(三回目)。

 でもね、わたしが思うに、ここのルパンのなにがいちばんカッコいいって、マックを縛り上げた自分の足裏のワイヤーを回収しつつ「まったく宮仕えってのは真面目でいけねえよなあ」のひとことなんですよ。ルパンはマックを激昂させようと、あえてかれの国、かれの属する組織の国であるアメリカを非難してみせたんです。その狙い通りにマックは冷静さを失ったけれど、それを「真面目」と評するってことは、あれだけつらつら語ったアメリカを非難する言葉は、ルパンにとり、本気の弾劾でもなんでもないってことなんですよね。わたしはこれは正しいと思う。ルパンは政治的なものとは距離を置く、あくまで自由人であるべきです。はあ、カッコいい……。

 そしてそんなカッコいいルパンに駆け寄り、どうしてここにと問うアミ。それに「おまえを追ってきた」と言っちゃうルパンはなんて罪作りのタラシなんでしょう。そしてここで、アミちゃんが頬を染めちゃった。この表情。恋ですよね。これまでの漠然とした憧れや信頼が、恋に変わった瞬間です。人が恋に落ちる瞬間を見てしまった(漫画が違う)。しかし、そのアミちゃんの表情を見て、焦るルパンを見れば、その恋が実るわけもないこともわかっちゃうんだよな……。

 しかし話はそれどころでなく、そんな三人のもとにドルマが現れます。再会を喜び、ドルマの、どうしてきたのという問いに「友達だから」と笑うアミちゃん。しかし、そのドルマが放った矢は、ルパンの腹に突き刺さるのでした。「逃げろ、アミ……」とつぶやき、倒れるルパン。悲鳴を上げるアミ、というところで続きです。見ているわたしも悲鳴でしたよ!なんだこの地獄の引き!

 次回予告。担当は不二子ちゃんです。どうやら、ルパンは倒れ、戒厳令の街をアミと不二子が疾走する模様です。過去の回想シーンぽい場面もありつつ、「いい?戦場では女だって自分の身は自分で守るの。幼い少女もどんな絶世の美女もね。それができなきゃ、あいつの隣になんていられないわ」という言葉がなんとも意味深。そんな第15話のタイトルは「ルパンと彼女の関係」です。すごい題名!

 というわけで、今回の感想をまとめると、個人的には、なんといってもルパンさまがとにかくカッコよくてイケメンパラダイスだったので一時停止が忙しくて大変でした。ここまでルパンが作画的にイケメンだったのは第8話以来ではなかろうか。そして次元さんはびっくりお目目がよく見えてとにかくキュートだった。イケメンとキュート。言うことないです。

 とにかく、このエピソード3という物語のための情報量がぎゅっと詰まってる感じで、お話自体がぐいぐい進んでいく展開なので、キャラ萌え部分は少ない回でした。が、それでもサモサのとことか不二子とアミの食堂の場面とか、ちらっとキャラクターのひととなりが見えるような場面が不自然でなく差しこまれているのがいいですね。

 しかしルパンが弓でおなかを刺されちゃって、心配でならないというか、このあいだアルベールに撃たれたばっかのところを刺されて大丈夫ですかとわたしは言いたい。ここで不二子がルパンを助ける展開なのかな。そうなると、次元さんとの協力とか、そういうのも期待したくなるんだけど、どうやらそれは望み薄で、アミと不二子の組み合わせになるっぽい。そして、そこでもしかしたらルパンとの現在の関係に至るいきさつも語られるのでしょうか。アルベールとのあれみたいに、またうなされて夢を見ちゃうのかな……。すごいルパフジ回になったりするの?(やきもき)その内容次第では、わたしがすごく忙しくなるので期待です。

 でも、このエピソードも4話くらいで終わりそうですね。最終的なライバルたるエンゾ・ブロンはあくまでここでは匂わせていどで、最終の連続話で対決、という感じになるのかなあと予想します。これまでのエピソードと違って、わりと正面切ってルパンのお仕事話という感じでもあるこのエピソード、どういうところに落ち着くかがすごく気になります。囚われのお姫様を塔に盗みに行くというところだけ抜いてしまえばカリ城っぽいけど、これはドルマとアミのお話だと思うので、最終的にふたりが笑っていたらと願います。

 そして、残りもう9話ですよ。信じられない。これまでずっとこんな感じで楽しんできたので、この調子で最後まで感想のほうも完走したいと思っています。いつも読んでくださるかた、拍手を押してくださるかた、本当にありがとうございます。書きっぱなしで終わらずに、読んでいただいているかたからの反応があると、ほんとうに励みになります。何か思うことありましたら気軽にメッセージをいただけたらと思います。これからもどうぞよろしくお願いします、ありがとうございました!

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