ルパン三世PART5第22話「答えよ斬鉄剣」感想

 ルパン三世PART5第22話「答えよ斬鉄剣」の感想です。公式サイトによるあらすじはこちら(URL) 。(わたしはhuluにて視聴しています)以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。では、どうぞ!

 今回のアバンは、藁ぶき屋根の日本家屋にて、刀を研ぐ老人と一緒にいる五エ門で始まります。どうやら老人は砥ぎ師のよう。五エ門に出来ばえを聞き、五エ門は「生き返った。かたじけない」と答えます。日本に来てたのはこのためだったのかな?しかし続く会話で、この老人までもがヒトログを見ていることが分かります。

……妙な世の中になったものだ。それがしは好かん」と苦い顔になる五エ門。しかし、続く老人の、ルパンとはいつ戦うんだ?という言葉に背中をぴくりと震わせます。「昔、言ってたぞ。世界一強いかもしれない男だと。だから一緒にいるんだろ?」との老人の言葉。五エ門の胸中は、その表情からは読めません。アバンはここまで。

 場面は変わり、ヒトログのエンゾ・ブロンのデータをボートの上で眺めているのは、アミ。エンゾは45歳なんだ。その経歴は華麗もいいとこ。そして、エンゾには離婚した妻がいて、彼女は日本人だということも明らかになります。そこで一瞬ハイライトされる「両者の間には娘あり」という一文。

 そこに「遅いな、五エ門のやつ」という次元のぼやきが聞こえて、アミは振り返ります。ルパンと次元は大きな着ぐるみを着た姿でボートにいるのでした。ちなみに次元がオオカミ、ルパンはブタ。アミちゃんの視線に次元は「しかたねえだろ。ヒトログのせいで普通には街歩けねえんだから」と言います。普通の変装だとヒトログでは見破られちゃうからなんでしょうね。これなら体形までカバーできるもんな。隣のルパンが死んだ魚のような目になっているのもポイント高い。これはアミちゃんも「可愛いわ」と言っちゃうよね!うん、あざといくらいに可愛い。でももっと可愛いのは、そのアミちゃんの言葉に「ありがとよ」と返す次元かな!

 しかしそこにいきなり水の中から現れたのは五エ門。着の身着のままで水泳ですか。「そうか、水の中ならだれかに見られる可能性は少ない」と真面目にアミは感心してますが、ここ、笑うとこですよね?日本から泳いできたみたいじゃないか(笑)。その五エ門を「よく来たな」と迎える次元とルパンですが、着ぐるみの両者の前に吸い殻がたまってる、こういう細かい演出がいいですね。

 「よーし、これでカードはそろったな」と喜ぶルパンですが、濡れネズミの五エ門は「カード……?それがしのことか」と引っかかりを感じた様子(関係ありませんが、濡れた五エ門すごくセクシーかつキュートですね)。もちろんルパンはそんな五エ門を気にした様子もなく「切り札ってことだよ。おまえさんは」と言ってのけます。しかし、五エ門は胸中穏やかならざる様子です。そして、それを近くのライブカメラから見守るヒトログユーザーたち……。

 これね、面白いなと思ったのは、いつもの五エ門ならルパンに「切り札」って言われたら普通に喜んでうなずくんじゃないかなってとこ。だからルパンはそんな言い方をする。というかルパンは五エ門に対してはわりとこういう言葉を惜しまないところがあると思います。でも、いまの五エ門はちょっと違う。両者の温度差が最初に現れた場面ですね。

 ていうか、ライブカメラから書き込みしてるヒトログユーザーだよ!21話に続き、これまた懐かしい面々が勢ぞろいです。

 Mr.ゴールド(PART1第8話)、ハンター教授(PART2第57話)、スターモウ(pARTⅢ第1話)、フリンチ(劇場版第1作)、星影銀子(PART1第17話)、なんじゃもんじゃ兄弟(PART2第144話)、ウェザー侯爵(PART2第142話)、ハトラー総統(PART2第20話)、示刀流総裁(PART1第7話)、ゲーリング(TVSP「ハリマオの財宝を追え)。

 前回と同じく、なんかもう面白いメンツだな。思えばPART5開始直後の大河内さんのインタビューで過去のキャラクターが登場云々という話は確かにあり、ブワンダでの殺し屋集団とかを見て、これかーと喜んでいたわたくしですが、この2018年に描きおろしのなんじゃもんじゃ兄弟を見ることになるとは思いませんでしたよ!(笑)ここで、個人的に嬉しかったのは星影銀子さまかな。あいかわらずキュート。

 そして、そんな愉快なメンツの会話により、ルパンたちが向かうのが、シェイクハンズ社の本社があるオリグ島だということが明らかになるのでした。そこに不二子が囚われているのです。

 やがて場面は、そのオリグ島、シェイクハンズ社のエンゾの執務室に移ります。同時進行でウェブ会議を進めながら、つぎつぎに命令を下していくエンゾ。その内容から、ヒトログの勢いと、シェイクハンズ社の強大な力が見て取れます。同時にエンゾのワンマンぶりと辣腕さも。ここで「フランスのデジタル担当大臣からの返事はまだ来ないのか?」という一言に、もしかしてアルベールが頑張ってるのかなとわたしは思ったりしました。

 一方、シェイクハンズ社の屋上、巨大な鳥かごのなかにいる囚われの不二子。前回ラストと違い、マダム風の優雅なお洋服を着ています(紫の)。そこには、あのリンもいて、不二子に自ら中国茶を振舞っています。「あなたたち、世界征服でも狙ってるの?」という不二子の言葉に、リンは「ハッ、バレたか」と本気とも冗談ともつかぬ顔で答えます。「でも、エンゾは違うかな。彼はただ、この世界をより良くしたいんだ」とも。それを聞き「かれ、ブッダの生まれ変わり?」と言う不二子はとてもらしい感じ。

 それに対しリンは「人間だよ。だれよりも。エンゾには娘がいたんだ。別れた奥さんが引き取っていったけどね」と打ち明けます。それに「あら、意外とさびしいプライベートね」とコメントするって、ほんとうに不二子だな。しかし、それに続くリンの台詞は衝撃的なものでした。

だが、誘拐された。殺されたか、キッズポルノにでも使われたか……」。母親はそれを世間に責められ自殺してしまったのです。彼女もまた被害者だったはずなのに。「ヒトログがあれば、そんな悲劇は防げるってこと?」という不二子の表情もどこか沈痛なものです。「エンゾは純粋だよ、だれよりもね」というリンの横顔を、不二子はじっと見つめるのでした。

 アミちゃん!(悲鳴)まさかまさかの展開でした。キャー!この回の冒頭でちらっとそういう感じの演出はありましたが、いやあまさかそういうことだとは。びっくりした。わたし、ずっとエンゾとアミには繋がりが生まれるんじゃないかとは思ってたんですよ。だって、エンゾはネットの神だし、“アンダーワールド”であるアミにも興味を持つはずだから。それがどういうことになるのかなー。まさかエンゾがアミを誘惑(おかしな意味でなくて)して、ルパンのもとからさらうとか?とか思ってたら、親子て。その発想はなかった。

 舞台は移り、ヒトログの扱いを巡って紛糾する国際会議。そこにはあのアルベールの姿もあります。「敵がはっきり見えないと、まとまるものもまとまらないか」とつぶやき、その場を後にするのです。これはもしや!

 ルパンたちを乗せたボートはオリグ島に到着します。「どうせおれたちの動きはヒトログに予測されてらあ。それを承知でいくしかねえ」というルパンの顔には不敵な笑みが。しかしいまだにアミの名前は正確に発音できないのでした。わざとか。

 ルパンに頼まれるまま、アミはシェイクハンズ社のサーバーへのDdos攻撃を開始します。ルパンもまた「さーて、大騒ぎの始まりだ」とモノクルをつけ、あの「泥棒は影にあり……」の文句を口にするのです。

 アミの仕掛けたDdos攻撃に慌てるリン。しかしエンゾは予測済みだと動揺せず、対抗手段を命じます。一方、アミも次から次へと手を繰り出して、シェイクハンズ社への攻撃を緩めようとしません。あの、言っていいですかね。この親子、そっくり。やりかたとか、この互いに一歩も引かない感じとか、なによりあの青い瞳。まっすぐに前を見るあの目。

 サーバーダウンはできなかったが、社内を混乱させることはできたというアミに、その隙にセキュリティシステムに侵入済みだ、と答えるルパン。ふたりのそんな会話を聞いて「どういう意味だ」と次元に問う五エ門。「聞いても分かんねえよ」と答える次元ですが、その眼光はどこか鋭く「いまどきの泥棒ってやつは、味気ねえな」とつぶやくのでした。はい、今日のカッコいい次元さん頂きました。

 屋上にいる不二子のもとに向かう一行。アミは「こちらの動きが読まれてる、だれなの……ひょっとして」と思い当たり、エンゾはエンゾで「ここまでのことがやれるハッカー……、ファニーベア?ドラゴンベイビー?……いや、おまえか、アンダーワールド!」と笑います。ほんとうにそっくりだ。

 やがて一味はエレベーターの前に。不二子は最上階にいるということで「やれやれ、お姫さまってのは、どうして高いところのてっぺんにいるのかね」と笑うルパン。クラリスもドルマもそうでしたね(笑)。しかし、ここでさらっと次元さんが「お姫さまか?不二子は」とかいうもので、わたしが必要以上に動揺しました。いや、あなたにとってはお姫さま(落ち着いて)。

 15分後に不二子を移送するために銭形が来る、ということでルパンは五エ門にエレベータの前での留守居を頼みます。「おまえさんに守ってもらえば万全だ」とのルパンの言葉に「それは命令か」と言いだす五エ門は、とうとう「ルパン、それがしはおぬしのなんだ」とたずねます。さりげなく!(第19話参照)。当然、「なんだよ、不二子といい五エ門といい」と戸惑うルパンに、五エ門は「それがしは手下になった覚えはない」と言い切ります。

 なんの話だ、と戸惑う次元とルパンですが、ルパンがすぐに思い当たり(このときの帽子の下から目が出てる次元さんのかわゆいこと)、ヒトログを確認します。「ったくもう、ネットに疎いやつはこれだから困っちゃうなー。すーぐ信じちまうんだからよ」と、その情報が信用に足らないEランクであることを五エ門に示します。まあ、あんがい次元さんは「恋人って書かれたおれよりマシじゃねえか」とか思ってるかも(笑)。

 ここ、「それでは……!」とハっとする五エ門に「ガセネタってことさ」と言い切るルパン、ふたりの表情がとてもいいですね。そのあと、自分でも確かめようとスマホを手に取り、けっきょくアミちゃんに頼んで自分の「焼鮭では皮の部分が好き」なコメントを書き込んでもらい、エビデンスレベルを確認する流れの五エ門もすっごくかわいい。なにより、それを見守る次元もアミちゃんもルパンも。ルパンが五エ門の肩を抱いてうははと笑い、五エ門が少し恥ずかしそうに「おかしくないっ」とたしなめ、次元も笑い、BGMも和やか。すごくいい感じ。今回の話、最強のなごみポイントでした。

 次元、ルパンとアミはそれぞれ分かれてエレベーターへ。それを見送る五エ門はヒトログをいじります(このときの手つきがにゃんこが砂かいてるみたいで超かわいい)。そして現れた「ルパン三世にとって、五エ門はライバルである」「敵である」の記述とそれぞれのエビデンスレベルを見て「……ひとことでいいあらわせるものではないか」と微笑むのです。

 で、うん、わたし、本当にこのネタはここで終わったかと思ったんだよ……。そうであってほしかったよ……。

 しかし、ここでいきなり頭上のモニターに、ルパンと五エ門の過去の映像が映し出されます。あまりに見慣れた、出会いの戦い(と和解)(PART1第5・7話)、途中のケンカ(と仲直り)(PART2第56話)などなど。ぜんぶ描きおろし、しかもちゃんと当時の絵に寄せている……。まあ冷静に考えれば、これだれが撮ってたというのだ、な映像ではあるのですが。

 そしてそこに「ずいぶんとやさしい顔になったじゃないか、石川五エ門」とエンゾの声が響きます。エンゾを前にしても、ヒトログが間違うこともある、と自信たっぷりに笑う五エ門。「それがしはルパンの手下ではない……仲間でも、友達でもない。われらは、機械が簡単に測れるような関係ではないということだ」と言い切ります。しかし、それを聞いてもエンゾは不敵な笑みを浮かべたまま「確かに、いまヒトログに書かれた言葉はどれも違うようだ……だが、おれはふさわしい言葉をひとつ思いついた」と口を開きます。

もしルパンがヒトログの分析通りの男なら、ルパンにとって五エ門は……コレクションである」と。

 はっとする五エ門、そしてAと浮かび上がるエビデンスレベル。「ルパンにとってすべてはコレクションに過ぎない。お宝も、仲間も、スリルも、恋も。あらゆる体験がだ。ルパンが集めるコレクションの一つ、それが石川五エ門だ」と続くエンゾの言葉に、五エ門は動揺を隠せないまま「違う」と声を震わせます。

 しかし、エンゾは「その証拠に、ルパンは五エ門を守る。大事なコレクションに傷がついてはたまらないからな」と追い打ちをかけ、ルパンとは殺しあったこともある、との五エ門の言葉に「殺さないように手加減されてな……ヒトログの分析では、てめえはルパンよりも弱い!」ととどめを刺すのです。激しく揺れる五エ門。「だったら確かめてみればいい……。石川五エ門という人間は、いつも戦いの中に答えを見つけてきたはずだ。ここにそう書いてある」とヒトログをかざしながら。Aパートはここまで。

 Bパートは、不二子の護送に現れた銭形と八咫烏の場面で始まります。不二子のもとに向かいながら「どうしてルパンに教えたんですか、峰不二子が捕まったって」と銭形に問うヤタくん。え、つまり、シェイクハンズ社がヒトログによって追い詰められた不二子をある意味で保護して、そのまま警察に届けたという流れになるのかな。不二子ちゃん容疑者なんだ……と一瞬考えてしまいましたが、そういやあのひとそれはもうすごい犯罪者でした。忘れてた。

 ヤタの問いに「ルパンたちを一網打尽にするためだ」と答える銭形。それに「先輩はルパンを特別扱いしすぎです」と直球をぶつけるヤタくん。あ、もしかしてキミは知らなかったか……くらいの事実ですが、さすが銭形はそれくらいのことで揺さぶられません。とっとと捕まえれば良かったんです、というヤタくんに、仲間が助け出して脱獄されるだろうと、答えます。そうなんだよね、ルパンは捕まえても逃げちゃうし、それで銭形さんはどれだけ苦労したか分からないので、ヤタくんはPART1第4話とPART4第13話を見るといいよ。

 しかし、ヤタくんはあんがいそれも分かっていたのでしょうか。じっと銭形を見つめ「それでも、先輩が捕まえたって事実は残ります」と言うのです。「先輩のキャリアは、ルパン担当になってから止まったままです」との言葉に「やめろ、ヤタ」と答える銭形。しかしヤタくんは「いいえ、先輩はもっと評価されるべき人です!」と食い下がるのでした。しかし、そこで二人を乗せたエレベーターが急停止します。

 えっと、このPART5も終盤に差し掛かり、わたしが第1話からアルベール並みの活躍を待ち望んでいたヤタくんにようやく人格がうかがえる場面が現れたのですが、これはやはり喜ぶべきですよね(咲)。待たされた……。待ちすぎて、わたしのなかでなんか勝手なヤタくんが出来上がりつつあった……(どんな)。でも、そのヤタくんとこのヤタくん、あんまり齟齬がなくて良かった。

 でも「先輩のキャリアは、ルパン担当になってから止まったままです」はないよねえ(笑)。さりげなく!(笑)ほんとう、そこはもうちょっとオブラートに包もう。あと、捕まえるだけならけっこう何回も捕まえてるので、それは記録に残ってるよ……というかヤタくんはもしかしてあれか、気を遣ったつもりで墓穴掘るタイプのポンコツ系か。可愛い(本気で言ってます)。そして銭形の部下にはこういうほのかに盲目系が来るのがお決まりなんですかね、オスカー臭というか。

 エレベーターを止めたのは、次元に銃を突き付けられたリンの仕業でした。次元が、ルパンとアミが乗っているエレベーター以外はすべて止めさせたのです。そして、とうとう不二子のもとにたどりついたルパンとアミ。

 「奇遇ねえ、ルパン。こんなところにどうしたの?」という不二子に「世界一の会社なら、すげえお宝があると思ってな。けど、ろくなもんがねえなあ」と答えるルパン。皮肉の応酬ってとこなんですかね。そして不二子はずばりと、「ルパン、あなた死相がでているそうよ」といいます。本気にしないルパン。けれど不二子は言います。

ヒトログが言うには、ルパン三世は死にたがりである。さして欲しくもない宝石や絵画を盗み出し、警戒厳重なものほど突っ込んでいく。なぜか……心の底に、破滅願望があるから」と。

 この時、大写しになるのは不二子の美しい唇。だから、不二子がどんな表情でこの言葉を口にしたかは分かりません。しかし、ルパンは、だからどうだっていうんだ?と笑います。すると、不二子はまたふわりと口調を変え「ルパン、わたしを盗みなさい。ルパン三世、最後の獲物にはふさわしいでしょう?」と言うのです。そんな二人の間に割って入るのは、アミの「ルパンを死なせたくないから?」という鋭いひとこと。不二子は「可愛い見方ね。嫌いじゃないわ」と肯定も否定もせず、ルパンに近寄るのです。

 しかし、そこに現れたのは、ルパンと戦いに来た五エ門でした。ここ、登場したときにゆらゆら揺れてるのが、わたしは血煙を連想しちゃってな……。驚きつつも本気にしないルパン。しかし「ずっとひっかかっていた。それがしとルパンはなんなのか。言葉も、時間も、データも、それを教えてくれはしない。それがしは分かっていたはずなのに。迷いの雲を切り裂くのは、我が斬鉄剣をおいて他にない!」と構える五エ門を見て、表情を変えます。「これは男と男の話だ。いつとか、どことかじゃない。いまここで、受ける必要があるんだ」とワルサーを抜くのです。

 そして、エレベーターからなんとか抜け出し、階段に向かう銭形とヤタ。次元に銃を突き付けられながらも、「なあ次元大介。相棒ってのは不思議だよな……友達じゃない、味方みたいな、ライバルみたいな。でもどれも違う。そんな相棒だからできること。相棒だからしなくちゃいけないことがあると、ぼくは思うよ」とつぶやくリン。そこにエンゾからの電話が入ります。リンの様子を見て「おい、おれの相棒になにしてるんだ」というエンゾ。「あんたがここのボスか。悪いが取り込み中だ」ととぼけた様子で答える次元さんがカッコよくて可愛い。しかし、そのすきにリンがマグナムをみごとな技で払いのけます。思わず構えた次元に対し、エンゾは「なあ次元。てめえはルパン三世という物語の脇役で、一生を終わるつもりか」と語りかけるのです。この悪魔め!

 一方、互角の勝負を続けるルパンと五エ門。とうぜんアミはおびえ、止めたがりますが、不二子は「落ち着きなさい。ルパン三世が好きなら、黙って見てるの。どんな結末でも受け入れる覚悟がなければ、ルパンなんて好きにならないほうがいいわ」とつぶやくのです。その顔はとても美しい。しかしルパンと戦いつつも、五エ門は迷います。

 ルパン。おぬしは本気で戦っているのか。それがしはおぬしのコレクションで、だから手加減していたのか。おぬしが手に入れた美術品や宝石のように、好きな時に取り出して眺めるものだというのか。それがしの本気に、本気で答えているはず、そうだろう……!?

 やがて五エ門は闇に包まれます。五エ門が本気で剣をふるい、戦っているのはいつしか、ルパンではなく、もうひとりの自分になっていました。忘れたか……?と本気で問うその目。それに本気で向き合い、切り捨てた瞬間に、相手の笑みは、ルパン三世そのひとのものとなるのです。

 「さすがだぜ、五エ門……」という言葉を残し、噴き出る鮮血とともに倒れるルパン。そこで初めて五エ門は我に返り、その体にすがり、手当てを始めるのです。アミは不二子を振り返りますが、不二子は「彼が選んだことよ」と表情を変えません。とうとうアミは駆け出し、監視カメラに向かって叫ぶのです。「出て来いエンゾ!ヒトログを作ったのはあなたなんでしょ、わたしは、アミ・エナン、あなたの娘よ!パパ、ルパンを助けて!」ここで幕。

 次回予告。担当は次元です。どうやらルパンは一命をとりとめ、銭形に逮捕されたっぽいですが、次元はあちこちひとりで動き回ってるみたい。ふたりは合流したのかな?こんな展開なのに、懐かしのマルコポーロの面々とかデカメロンちゃんが出てきて笑いました。次元さんのカットはどれもこれもカッコいい。かわいい。「昔のおまえだったら、得意の手品であっさり逃げ出しちまったのにな。らしくないツラすんなよ。おまえが弱くなったんじゃない、もしかするとおれたちは……」というナレーションが意味深です。五エ門はめっちゃ憔悴してます。そんな次回、第23話のタイトルは「その時、古くからの相棒は言った」です。キャー!(悲鳴)

 というわけで、もう、うわーん!って感じの終盤でした。やだやだ、ルパンが痛そうだよう。これでPART5三回目のルパンさんの大怪我ですが、わたしは毎回吐きそうになります。いやな予感はしてたんですよ。全4話のエピソードだから、まさに承、ルパンは追いつめられるか危機に陥る、それは分かる。第8話も第15話もそういう意味で辛かった。でも、今回はとくにつらい。怪我だけじゃなく、ルパンが可哀想だ。

 もうすごく自分解釈で語ります。ごめんなさい。でも、わたしはそう思ったのです。

 だって、五エ門は自分のことで頭がいっぱいなんだもん。ルパンにとって自分はなに?と聞くなら、まず、自分にとってルパンはこうだ、と示しなさいよ。そこで折り合いをつけろ、いきなり果し合いとかするな、聞いてんのかこのこじらせサムライ(すいません言わずにいられずに)。いやでもあんなことしちゃって、ルパンの五エ門への気持ちはどうなるのよ。あなたそれを確かめたかったんじゃないの。それは、あんな形でしか確かめられなかったことなの、ほんとうに?そんな風にわたしは思います。でも、だからこそ、我に返った五エ門はあんな風になったんだと思う。五エ門もルパンもどっちも可哀想だった。

 でも、同時にすごいと思いましたね。五エ門のこの危うさをここまで劇的に鮮烈に描写されたのは初めてな気がする。PART5 は五エ門をどうしたいんだ。というか、PART5はすごいな。なんとまあ簡単に揺れる心だろう。それはこのサムライがただ世間知らずとかそういうことじゃない。あまりに清廉だからこそ、かえって歪むというかなんというか、やっぱり五エ門は怖いひとだ。抜き身の刃物のままであるような心の持ち主。こんな五エ門と一緒にいることができて、笑ったりケンカしたりご飯食べたりできるのは、ルパン(そして次元)しかいないのに。なのに。こんなことになって。
 
 まあ、「ルパンにとってはすべてコレクションに過ぎない」とか言われたら、うん、知ってた(真顔)としか言うしかないんですが、五エ門はそうはいかんよな……。それは分かる。次元さんなら「けっ、馬鹿馬鹿しい」って言って背を向けるよね。でも、それはとてももっともらしいけど、実は正しくないんだよ……。ルパンは盗んだものを大事にする人じゃないの、思い出して、五エ門!(そのときに五エ門はいなかったから無理だ)。次回は五エ門どうなっちゃうんだろう。心配。

 それにしてもエンゾってまさに悪魔みたいですね。こんな敵役、初めてだ。わたしはエンゾのことをずっとルパンから大事なものを盗んでいく人なんじゃないかと思ってたんだけど、それが不二子じゃなくて(捕まえてはいるけど)、まさかの五エ門だったなんて。そしてこのままでは、アミもそうなるのでは。

 そういえばアミもすごかった。まさか、あそこで名乗りを上げるとは思わなかった。しかし、アミちゃんはいつからそのことを知ってたのかな。6歳で誘拐されたなら、いろんな記憶は残ってると思うんだよね。そこの展開も気になるところです。そして、もし、エンゾがそのことを知っていたなら、ルパンを獲物にした理由はそこにあるのかなとも思います。娘がボーイフレンドとして家に連れてきたときに門前払いを食らわせたい男ランキングがあったら、ルパンはかなりの上位でしょう(笑)。あと、単純に、父親としての嫉妬がくわわるかもしれない。だって、アミはエンゾに連絡を取る機会はこれまでにいくらでもあったのに、エンゾはアミに選ばれなかったんだから。

 そしてまた、不二子ちゃんとルパンの関係も動いたようなそうでないような。しょうがないんですけどね。あれはもう男と女のことだから。ああいう愛し方しかできない男であるルパンを知ったうえで、プライドがある女なら、ああいう風にふるまうしかないということは分かるから。ある意味、ルパンが悪いんだよね……。分かってる。でも、わたしは、あのとき、ルパンを救うために自分の持つ最高のカードを切ったアミちゃんのまっすぐさがまぶしかったよ。わたしは峰不二子が好きだから、欲望に忠実な女として、あんな風にすましてるんじゃなくて、もっとやんちゃしてほしいの。そしてわたしはルパンに破滅願望があるなんて思わない。このふたりもどうなるかな……。

 しかし、最終話を前にして、五エ門回があったと思ったら、次回はまさかの次元回ではないですか。「その時、古くからの相棒は言った」って、どこまでわたし好みのタイトルなんだ。わたし、今回、エンゾが次元に向かってごちゃごちゃ言ったときに、てめえこのうえ次元までルパンから奪おうっていうんならわたしが刺すぞと思いましたからね。もちろん、そうはならないみたい。ていうか、次元はコレクションだのわき役だの言われても、うるせえな、の一言で終わらせるよ。だってあくまで普通の人間である次元には、そんなこと分かってることだもん。いっそ「おれはおまえさんみたいな人種にはこれで答えることにしてるんだ」といって、あのモニター、マグナムで撃って終わらせてくれないかな。「こうすりゃもうたわごとをきかずにすむだろ?」って。

 そんな感じでもうほんとうに消耗した22話でした。ひたすらドキドキして、でもところどころは楽しくて、笑うとこもあって、悲鳴も上げて。すごいな、PART5。ほんとうにすごいことをしているな。やりきってください!というまでもなく、あと2話で終わっちゃうんです。すごいことだ。いまだに実感がわかない。でもこれだけは言える、わたしはPART5が大好きです。来週が待ち遠しくて怖くて、おかしくなりそう。

というわけで、いつもにもまして長い感想でした。ジゲフジ要素は砂粒ほどしかなかったのに(笑)。そんな長い感想を読んでくださってありがとう。いつも拍手を押してくださる方や感想の言葉を届けてくださる方、すごく嬉しいです。なんかもうひとりじゃない、こんなにPART5に入れ込んでるのはわたしだけじゃない、と思えます。うれしい。あと2話。最後までこの勢いで参ります。どうぞよろしくお願いします、ありがとうございました!

>追記(2018.9.7)
 公式サイトに23話の予告が出ました(URL)。やっぱりルパンと五エ門は一緒に捕まった模様。半月後にICPOに護送されるということは、それまでは療養してたってことかな。アミがエンゾに頼んだんだろうか。そんなエンゾはアミちゃんと再会したからといって、善人になる様子もありませんね。
 しかしなにより肝心なのは、その護送されるルパンたちを助けるのは次元さんということ……!ヤバい。これはときめく!しかもクラシックカーって、これはやはりベンツSSK……?それに乗って、ルパンと五エ門を助けに行くなんて、カッコよすぎませんか。助けた後、あの車に3人乗れるかなと思わないでもありませんが、まあ五エ門はボンネットでも大丈夫だろうとか一瞬思ったわたしはひどいでしょうか(いやあのひと丈夫だから)。でもこのカットで判断する限りSSKは壊れてるからそれはないかな……とか、もういまからいろいろ考えて頭が忙しいです。しかも総作画監督が、帽子の下から目をのぞかせた次元をやたらと描いてくれる酒向さんで、超嬉しい。
 エンゾに情けをかけられたうえにアミを奪われ(ていうことになると思うんだけど)、ヒトログに追い詰められ、それでもふたたび三人になったときに、ルパン一味はどうするのでしょうか。わくわくと待ちます!

2件のコメント

  1. すごかったです。
    22話。
    心に響きすぎて、今日は仕事が手に着かないくらいでした(ダメな大人です)。
    とりこ。さんの見解が早くよみたいと思っていたので、こんなに早くアップしてくださって、とっても嬉しかったです!!
    とりこ。さんの文章ひとつひとつに、自分の頭のモヤモヤが整理されていくようです。なにか、こう、とりこ。さんが語ってくださることに共感することがおおくて、私のモヤモヤを言葉に表してくださっている感じです(図々しく、こんなこと思っててすみません)。
    語りたい、できることならとりこ。さんと目一杯語りたいと思ってしまいました。

    PART5、凄い作品ですね。ルパンという作品を愛している人たちが手がけている作品だということを、ひしひし感じます。とりこ。さんもおっしゃっていましたが、この作品をオンタイムで見ることができてることは、ファンとして本当に幸せですね。
    来週、次元さんが何を語ってくれるのか。毎回セリフ回しがとても素敵なので、震えながら待ちたいです。

    1. >ともころろさま
      こんにちは。いつもありがとうございます。
      22話、本当にすごかったですね。わたしも仕事どころではありませんでした(笑)お仲間!
      とにかく作品自体があれだけのことをしてくれますので、見ていて浮かんだことや感じた
      ことを語らずにはいられず、こんな感想を書いています。それを読んでくださって、なおかつ勿体ないようなお言葉までいただいて、幸せに感じています。共感嬉しいです!
      ルパン三世のTVシリーズはどれもそれぞれに魅力があり、最高ですが、いま現在のPART5がこれだけすごいということが、一ファンとしてもなによりの幸せとわたしも感じています。
      来週、いったいどんなことになるのか……わたしもともころろさん同様に震えて待つ思いです。最高の最終回まで、カウントダウンですね。それまでしっかりと見届けて感想も書きたいと思っていますので、また読んでいただけたら嬉しいです。どうぞこれからもよろしくお願いします!

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