「ルパン三世 ITALIANO(1)~(3)」早川ナオヤ(双葉社)感想

 こんにちは。いまごろ、ルパン三世DVDコレクションが現在の2ndシリーズのあと、そのままPARTⅢも刊行するということを知り(公式サイト、更新を!)、とても喜んでいる、とりこ。です。もう腹くくったから怖くないよ全57巻。いっそそのままTVSPも出してくれないか。いまイッキ見で出してるから無理かなあ。しかしDVDコレクションというからにはマガジンも楽しみ。PARTⅢということで、ぜひともあの青木悠三さんの、チャラカッコいい次元さんの設定資料をお願いします。

 そして、「復刻記事もさらにボリュームアップ」という文言に、信じていいのね……?と胸をときめかせています。権利的に難しいかもしれませんが、当時のアニメ雑誌の特集ページとか再録してくれませんか。PARTⅢのころって、アニメブームが本格的に盛り上がってたころなので、面白い記事がそれなりにあったはず。あの五ェ門が「フェアリー・ナイト」歌うやつとか、もう一度読みたいなあ(たしかアニメージュ……?)(ナウシカの大ババさまの顔で語ってます)。楽しみが続くの、嬉しいです。

 それもニュースですが、早川ナオヤ先生によるPART4のコミカライズも第3巻が発売されましたね。せっかくなので、これまでの巻も含めての感想を書きたいと思います。

 まず、早川ナオヤ先生と言えば、個人的には「絵柄の魔術師」。TVSP、旧ルパン、原作、ノベライズ、パチスロムービー、小説とさまざまなルパンワールドのコミカライズを一手に引き受けて、なおかつ、それぞれの絵柄の再現度がピカイチ。まさに当代随一の「ルパン職人」としての腕を振るってらっしゃる作家さん、という印象を持っています。そのあまりの多様性に、もしかしておひとりのPNではないのでは、と思うことさえあります。でも、微妙なコマ運びとか構成には共通点が感じられるのですよね。すごい。

 今回のPART4のコミカライズでも、その職人芸はいかんなく発揮されていて、素直に感動です。いやー、あの絵がマンガになってるわーとそれだけでニコニコ。もちろん、さすがコミカライズだけあって、アニメの描線よりは細かい描き込みになっており、そのぶん癖があるので、好みは分かれるかもしれませんが、わたしはPART4のコミカライズという点からすれば文句なしです。

 まずは第1巻。この巻に限らないのですが、とてもアニメに忠実なコミカライズであるにもかかわらず、雰囲気を壊さないレベルで、ちょこちょことアニメにプラスアルファの描写があるのが楽しいのです。たとえば一話「ルパン三世の結婚」で、「サンマリノで家庭菜園でもしながら……」の台詞のときに園芸エプロン姿のルパンが描かれてるのとか、超キュート。まあ、このブログ的には、第2話「偽りのファンタジスタ」での、アニメにはなかった次元さんと不二子ちゃんの語らいの場面ですかね!この第2話はアニメとはまた違った楽しいオチもつけられてて、それも良い感じです。

 ここでちょっと余談。PARTⅣがそもそもそういうものなのかもしれませんが、このコミカライズでも、次元さんと不二子ちゃんの二人が描かれると、そこには、TVSPをはじめとしたほかのコミカライズのときとはまた違った雰囲気が漂っているようで、個人的には、そこがたまりません。早川先生、分かってますね!(なにを)。
 
 まあ、そんなこと言いつつも、当り前ですが、第三話「生存率0.2%」のラストなんかは、めまいがするほどルパフジで、しかも次元さんの目の前で、ラブラブにイチャついてますけどね。そりゃ次元さんも「勝手にやってくれ」って言うわ……。

 

 続く第2巻。これはまあ、次元さん主役の第4話「わが手に拳銃を」がありますから、文句ありません。これ、個人的に面白かったのが、アニメで見たときとの印象の差。正直言いまして、最初アニメで見たときは、あの次元さんが囲まれた窮地から助かる仕組みの説明、真顔で「無い無い」とツッコんじゃったんですね(いやその)。それが、このコミカライズで見ると「ありかも」と思ったんですよね。動画とコミックのリアリティラインの違いを感じました。もちろん、女医さんとのからみもいいですね。色恋抜きで、ある種の女性をほっとけないところがある次元さんの雰囲気が良く出ていると思います。

 そして第5話「魔法使いの左手」。これは個人的にすごく好きな話なので、コミカライズでも楽しめました。いやあでもやっぱり不二子ちゃんがルパンに別れを告げる理由は謎だなあ(ニヤニヤ)。第6話「満月が過ぎるまで」も、PART4のカッコいいとっつあんが存分に楽しめます。ラスト前、エレナに抱きつかれて赤くなってるとっつあんがかわゆい。

 そして、最新刊である第3巻。これはもう勝手ながら、第8話「ホーンテッドホテルへようこそ」に尽きます。とりあえず扉絵。なんだこの、二次元では腐属性の無いわたしでもときめく可愛らしいル次っぽさは(いやその)。この話は幽霊におびえてかわゆすぎる次元さんと男前で優しくてカッコいい三世さんという、わたし的に盆と正月が一緒に来たような話なので、文句があるはずがない。堪能しました。PARTⅣなので、基本的にいつも前髪が下りてる次元さんですが、この話では目を丸くして驚いてばかりなので、かわゆらしいお目目がたくさん見られて嬉しいです。そして、ひとりで甲冑を着こんでやりかえしてやろうと張り切っている姿を想像すると、萌える。かわゆすぎか。

 そして、このコミカライズには、アニメ版にプラスアルファな描写があることをずっと指摘してきましたが、この話もそうなのです。しかもその描写があのカーラちゃんを最後にたどり着く場所に納めてくれるものであったことが、ほんとうに読んでいて嬉しかった。この三世さんすごくわたしの好きな三世さん。自分のできることとできないことをちゃんと理解しているやさしさ。いいなあ。

 第9話「殺し屋たちの鎮魂歌」もよかった。ぶっちゃけ、「満月が過ぎるまで」とヒロイン造形がそっくりなんですが、五ェ門と銭形警部だと、こう料理の仕方に違いが出るのね、と思いました。PARTⅣの五ェ門は、出番が少ないことだけが玉に瑕で、若さと純粋さ(原作のピュアさとまた違うんだよね)が、キラキラしてて、でも微妙に「修業が足りぬ」焦りも見えることがあって、わたしの好きな五ェ門であります。ほんとうに、この五ェ門がルパンと次元といっしょにホーンテッドホテルに行くのも見たかったな……。

 というわけで、たっぷりと楽しんでおります「ルパン三世 ITALIANO」。1巻につき三話が収録ということで、このペースだと全8巻ですね。これからも楽しみなのですが、個人的には、コミカライズならではのプラスアルファをぜひ!「皆殺しのマリオネット」の冒頭のアレと「日本より愛をこめて」の例の場面と「イタリアの夢(後篇)」の冒頭のところで遺憾なく発揮していただきたいかな!とか思っています。勝手な願いですが、よろしくお願いいたします