「ルパン三世傑作集」モンキー・パンチ(双葉社)感想

 ようやく入手しましたよ。

 

 帯に書かれた「これが、原作の力」というシンプルな言葉に間違いがない一冊です。収録作品は以下の13篇です。

「ルパン一家勢揃い」
「ルパン三世颯爽登場」
「1人180役」
「魔術師」
「ウェスタン次元」
「五右エ門登場」
「死闘!!不二子対ルパン小僧」
「DEAD・HEAT」
「ルパンの子守歌」
「私が愛したルパン♡」
「宝がザクザク(その1)」
「宝がザクザク(その2)」

 本の中に収録されている編集担当である双葉社、遠藤隆一さんのコメントによれば「初めて読む読者に楽しんでもらいたい」「魅力的なキャラクターを紹介したい」「アイデアを見せたい」という思いのもとに選出された作品ですが、まあ、納得ですよね! こんなの、だれがどう選んでも足りなかったり惜しいところが出てしまうに決まってるお仕事なので、このコンセプトならほぼベストの選出ではと思います。刑事メロン出演の「1人180役」が入ってるのが、分かってる!という感じ。あと、個人的にすごくすごく好きな、ルパンが母親の子守歌を口笛で吹く場面のある「ルパンの子守歌」も嬉しい。

 それでもやっぱり、あれも欲しいこれも欲しいとなっちゃうめんどくさいファンとしましては、次元回は、あと「次元出ずっぱり」か「奇103号」か「グレイト・マウス」か……、五エ門回も、「殺と盗の……ない日」か「五エ門……!!剣……ッ……!!」か「五エ門剣」か「盗怪道五十三次」で迷うところ。不二子ちゃんも(すっごく美しい「不二子不死」、ラストがせつない「実録ルパン」かなあ)、銭形さんも(「銭さんコチラ……!!」なんかどうでしょう)、もちろんルパン本人も(わたしはぜったい「地獄志願」なのです。あ、でも「健在ルパン帝国」も捨てがたい……)、さらに全員それぞれの関係性とか思えば、まだまだ素敵なお話あって、選べないですよねえ。そのあたりの有名作を押さえたければ、カラーの表紙絵も収録されてる「LUPIN The 3rd The Best」(全4巻)を見るのがいいんでしょうけど、まあそこまでいけば、あとはいさぎよく全巻買っちゃうか。

 もちろん、わたしは原作大好きだし、いまの目で見ても最高にイカした画面構成と描線、思いもよらないアイデア満載の作品だと思います。でも、さすがに現代のマンガを見慣れた目で予備知識なしで見たら、違和感を覚えられたり、見難く感じられるところも、残念ながらあると思います。それはもう約50年前のマンガなので仕方がない(と思って、当時、ほかにどんなマンガがあったのかな?と検索してみたらいちばんに出てきたのが「どろろ」で参った……)。なので、「ルパン三世」の原作ってどんなのかな?くらいの興味をもったひとが、まず手に取る入門編としてこういう本が出るのはとても嬉しい。いちばん最初が「ルパン一家勢揃い」なのはほんとうに正しいと思う。

 で、そういうあたりはもうクリアした一ファンとしましては、こういう入門編のあとに、プロ編みたいな意味合いで、カラー原稿完全再現、サイズも大きな「モンキー・パンチ『ルパン三世』画業集大成」的な画集を出して頂けないかなあ……と思ったりします。なんせ、先生はマンガ以外にもほんとうにたくさんのルパン画を描かれているので、あの素敵なお仕事が、このまま、まとめられずにいるのはとても残念なのです。時代ごとに変化していった画風なども含めて体系的に解説して紹介する内容とか、わたしはとても読みたいです。双葉社さん、どうかな……。

 そういえば、この本の出版に合わせてか、最新の週刊漫画アクション(8/6号)は、モンキー・パンチ先生追悼号のようですね。わたしの住んでいる地域ではまだ発売されてなかったので(涙)まだ、内容は未確認ですが、追悼色紙展や、「ルーザーズ」外伝、先生が小池一夫先生と組んだ作品などが掲載されているようです。

 新作こそ、もう目にすることはできませんが、先生が残したお仕事はまだまだたくさんあります。これからもいろんなかたちで、そんな先生のお仕事とそこから発展した「ルパン三世」を楽しませていただきたいです。ありがとうございました。

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