「セカンドの美学」(NHKBS)感想

 こんにちは。楽しみに待っていた「セカンドの美学」番組冒頭で、いきなり沢城みゆきさんが「次元が言うことがたいがい合ってるんですかね……あの女とかかわってもいいことねえぞって」とおっしゃったので、え、峰不二子の秘密を知っているのはあの男、実は峰不二子は次元大介とつきあっていた!とかいう衝撃の事実がNHKで明るみに出るのかと思ってしまった、とりこ。です。違いました。

 というわけで、9月21日にNHKBSプレミアムで放送されました「セカンドの美学」の感想です(公式サイトはこちら)。1時間半を使っての不二子ちゃん特集です。

 最初に全体の感想を言ってしまえば、わりと満足です。杞憂だったのでぶっちゃけますが、この「セカンドの美学」、わたしは以前に放送されたシャアの特集を見たんですが、そのときは、かなりそのなんというかあの、げんなりというかその、という感じだったので、今回、ちょっと心配してたんですね。でも、ちょこちょこ首をかしげたくなるところはあったものの(笑)、個人的には不二子にまつわるいろんなものを見ることができて、とても楽しい内容でした。良かった!

 まずは各TVシリーズ別の不二子ちゃんの分析から始まりましたが、こういう特集だと取り上げられないことが多いイメージがあるPART3からPART5もちゃんと取り上げられているバランスの良さで嬉しかったです(そのぶんTVSPが完全にカットでしたね。そこまで手を伸ばすとまとめきれなかったんだろうな)。

 モンキー・パンチ先生の息子さんが登場されたときに公開されたモンキー・パンチ先生の原画が、どれもこれもまあ素晴らしかった。もっともっと見たかった。やっぱり画集を出しましょうよ、双葉社さん!

 おおすみ正秋さんのインタビューで、あのマリアンヌ・フェイスフルの「あの胸にもういちど」の場面を見られて嬉しかったです。あのジッパーを上げる瞬間、そのまんま不二子ちゃんだもんなあ。

 そして、イノッチによるトムス訪問(これ、NHKは会社名出せないのかな?)がなんかもうお宝映像だらけで参った。浄園Pが惜しげもなく見せてくださる各シリーズの不二子ちゃんの設定資料はムック等で見たことはあるけれど、こういう形で見るととても素敵に見えます。

 しかし、ここで不二子ちゃんが小顔で、目がクリっとした「タヌキ顔」と表現されていたのはすこしびっくりです。いや、わたし、これまで不二子ちゃんを「タヌキ顔」と思ったことは無かったので……たしかにキツネ系ではないものの……。しかしここはやっぱり、横堀久雄さんによる不二子ちゃんのライブドローイングですよね!すっごく可愛くてきれいな不二子ちゃんがどんどん出来ていくさまを見ることができて、まさに眼福でした。

 山崎隆監督も登場で、3DCG映画の映像も流れましたね。予告以外の場面もすこしだけ見ることが出来たけど、思ってたより不二子ちゃんが可愛い!はやく全体を見たいなあ……。

 不二子ちゃんのファッション、ということで、大塚康生さんが登場されました。「峰不二子をどう思う?」という質問に「関わりたくない」と直球で返す大塚さんが最高でした。

 さらに、旧ルの不二子ちゃんのファッションが、70年代のサンローランっていうのは、なるほど!って感じでした。新ルがジュリアナっていうのはぜんぜん時代がずれるだろうと思ったんですが、そこは「先取り」というかたちで処理してましたね。そう、パースリの不二子ちゃんはフレアスカートが可愛いんだよなあ……。そしてこの不二子ちゃんファッションショーの落ちが、PART5のジゲフジでした。ありがとうございました。

 そして、増山江威子さんの登場!お顔は映らなくても、そのエレガントさがうかがい知れる後ろ姿でした。映像で流れる新ルの不二子ちゃんの声にくらべれば、さすがにお年なのでしょうけど、それが進むにつれてまったく気にならなくなる、というか、なんだかもう不二子ちゃんかどうか、という以前にこの声の柔らかさにうっとりしてしまいました。「捨てたの」がすごかった。イノッチより先にわたしが落ちたわ。そして不二子のあの甘える声について、イノッチに問われた増山さんが「手段です」と言い切るのが、なんか深かった。「不二子はすべて手段です」って、増山さんだからこその説得力だよなあ……。

 そして、このあたりから始まる音響の専門家に不二子ちゃんの声を分析してもらうとか、バイク専門店のひとに不二子のバイクを見てもらうとかいう流れは笑っちゃった。イノッチ含めて、なんか不二子ちゃんのこととなるとおじさんたちがにこににこしてああだこうだと言ってる感じ。

 しかしさらに、不二子ちゃんのバストを乳腺の専門家にとか下着の色で心理を探るあたりになるとさすがに眉唾というか的外れな印象は否めませんよね。で、そのまま原作の設定の話で進めちゃって、犯罪心理の先生まで呼んで不二子の過去を分析とかしちゃうと、ますます、べつにそれが決定の設定でもないですよ……という気分になってしまったんですが。いやだって、なんか違う……みたいな気持ちになるじゃないですか、ほら、わたし、めんどくさいオタクだから。下に「諸説あります」とか小さくテロップ出てればよかったのにという感じ。

 でも、ここでルパンとの関係を考えるのに、沢城みゆきさんのインタビューというのは良かったですね。「すごいわがまま言っているけれど、無条件に受け入れてるのよ、あなたのこと」ってなんだか素敵だ。それはルパンの側からも言える言葉なのかなと思いました。で、ふたりの関係の原点は旧ルの「殺し屋はブルースを歌う」という解釈はそれでいいと思いました。ぶっちゃけ、そのあたりはまるごとPART5でやってるわけですが、それ持ち出すとまたややこしいものな……。

 そして結論として「峰不二子は女性そのもの」である、というかたち。美しいと思います。

 というわけで、一部は首を傾げつつも、楽しんで見ることが出来ました。ありがとうNHK。そして、こうやって見ていると、自分でも「峰不二子とはなんぞや?」みたいなこと考えてしまうんですけど、そこにはやはり正解は無いんですよね。当たり前の話ですが、自分の二次創作での不二子は公式の不二子そのものではないし(でも自分の二次創作の不二子はやっぱり外見はPART4で中身は新ルだなと思いました)、不二子はどんな不二子でも解釈自由。そこが魅力なんです、きっと。

 さて、これであとは「ルパン大投票」待ったなしかな、とか思ってたら、まさかの「全るーみっくアニメ大投票」(URL)で参っちゃった。うる星映画はぜったい「オンリーユー」派です。

 それはともかく、またこういうかたちで「ルパン三世」を解剖する番組があれば嬉しいですね。なにより、スタッフやキャストの皆さんの証言をうかがうことが出来るのが嬉しいです。ここまで好き勝手な感想を書いておいてなんですが、NHKさん、ありがとうございました。またよろしくお願いします!

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