ルパン三世ベストセレクション第21位「とっつあんの惚れた女(ひと)」感想

 「おお、麗しのローラ!この銭形、あなたを好きになっちゃったんであります!」(cv.納谷悟朗)。

 ルパン三世ベストセレクション、第21位は、PART2 第69話「とっつあんの惚れた女(ひと)」でした!とうとう銭形回の登場ですね。わたしにとってもお気に入りの一作です。さっそく、いつものように、ベストセレクションが放送されていない地域に住まうわたくしが、エア感想を書かせて頂きます。ネタバレありなのでお気をつけください。あらすじはこちら→(URL)。

 まずは冒頭。ホテルでリラックスして髭を剃ったりビールを飲んだりしている(プルタブを取るタイプの缶なのが時代です)銭形警部の様子、さりげないんだけど、なんとなくとっつあんの人柄が感じられるような描写で、好きな場面です。生活感があるんですよね(まあ、こんなときくらいは帽子を脱いではどうか、とっつあんと思わないでもないが)。そんなのんきな銭形警部のところに突然現れた謎の刺客、その正体は美しい女性だったという導入部がいいですね。

 一方、こちらものんきな様子で過ごしているルパン一味。退屈を持て余しているルパンと、のんびりダーツをいじる次元さん、瞑想すればいいと言う五ェ門、と三者三様の様子がそれぞれらしくて楽しい。そこにローラを連れた銭形警部が飛び込んできて、ルパンの協力を仰ぐこととなり……という展開になります。

 わたしは、ここの回想場面で、ローラが車いすを押しながらも、一瞬、楽しげに遊ぶ子供とその母に目をやる場面が好きです。たったこれだけの仕草で、ローラが年寄りの大富豪との愛のない結婚に縛られていた身であることが表現されている。それは同時に、未亡人と言えど、彼女が亡き夫に義理立てする必要がないことも示唆してるんですよね。あとで明かされる爆弾のことを思えば、当たり前のことなんですが。

 わたしはローラも好きです。ルパンに向かって土下座する銭形警部に合わせて自分も正座し、頭を下げるところがいい。そういうところをふくめて、この女性に銭形警部が惹かれていくのが自然と分かる気がします。女性との恋愛エピソードはちらほらあれど、どこかのダンサー好きと違って、確固とした女性の好みは分かりにくい銭形警部ですが、この、いかにも寄る辺がなく放っておけないような清楚さがありつつも、どこか芯があって凛としているローラという女性ならば、銭形警部にとてもお似合いな感じがするのです。

 というわけでこのふたりの場面はどれもいいですね。楽しい場面も、悲しい場面も。「おお、麗しのローラ!この銭形、あなたを好きになっちゃったんであります!」というあの台詞も、恥ずかしいといえば恥ずかしいのですが、それをローラに直接言うことができないあたりを含めて、わたしはとても銭形さんらしい素敵な愛の告白だと思います。ローラも微笑んでいたではありませんか。だからせめて、キスくらいさせてあげたかったよ……。

 そういえば、今回は完全に敵役の不二子ちゃんですが、前髪を作った髪型とピンクのチュニックというファッションが超キュートですね。「三年に一回くらいは墓参りしてあげるから安心して死んでね!」ってほんとうに血も涙も無くていいわー(笑)。これこそ新ルの不二子ちゃんだわー(笑)。そんな不二子ちゃんも銭形警部にはカエルでいじめられ、最終的には縛り上げられてルパンと入れ替わられちゃうのですね。あの、これはまったくもってわたくしの紫色にまみれた個人的欲望なのでスルーして頂きたいんですが、この不二子ちゃんを縛り上げたのは次元さんだったら嬉しいなあ。それも、いかにも面倒くさそうに、舌打ちしながらやってほしい(笑)。

 そんな次元さんも、銭形さんのところにたどりつくのはすこし遅れてしまったようですが、それでも息絶えたローラを抱えた銭形警部にかける声の響きが好きです。ぶっきらぼうだけど、どこかやさしい。三世さんも、表向きはマフィアに対して金庫を狙った頭脳戦をしかけるいつもの調子でありながらも、そこかしこに、新ルの三世さんらしい、やさしさと甘さが見え隠れするあたりがいいなあ。とっつあんとローラのやりとりを聞いて素で驚いているあたりが可愛い。ルパン一味と銭形警部の、ある意味で持ちつ持たれつ、でもきっちりライバルで敵対関係でもあり、というこの絶妙なバランスが、ラストのラストまでテンポよく続くあたりが、新ルならではという感じがして、好きです。ラストあたりの次元や五ェ門の車でのポーズがそれぞれ、とてもらしいんだよなあ。

 中間発表では、別の銭形回もいくつかランクインしてましたが、そのなかでもこの「とっつあんの惚れた女(ひと)」はわたしのお気に入りの話です。恋愛回が好きというのもあるんですが、それだけじゃなくて、その周辺のキャラ描写やそこから見て取れる関係性が面白い。でもやっぱりなんといっても、このお話の銭形警部が素敵です。これぞ新ルのとっつあん!という、銭形警部のキュートさ、カッコ良さ、男としての魅力がよく現れたエピソードだと思います。改めて楽しみました。良かった。

 それにしても、この名作が21位とか言われちゃうと、やっぱりベスト24なんて無茶だったんじゃないの?せめてベスト50にすべきだったんじゃないの?という気になりますね。1位まで発表が終わった暁には、ベスト100を発表してほしいなあ。ますますこれからの順位が楽しみです。それに合わせてエア感想を書くのも楽しいので、これからも書いていこうと思います。どうぞよろしくお願いします!