ルパン三世PART6第11話「真実とワタリガラス」感想

 ルパン三世PART6第11話「真実とワタリガラス」の感想です。公式によるあらすじはこちら(URL)。以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。では、どうぞ!

 ウィスキーをグラスに注ぎ、いまは亡き相棒、ワトソンの遺影に捧げるホームズ。自分もグラスに口をつけ「ようやく前に進めそうだよ、ワトソン」とつぶやく場面がアバンでした。

 タイトル後。ほろ酔い気分で酒場を出る男(アレックス)。その前に、以前フォークナーを殺したのと同じ男が現れます。「警告したはずだ。あの件から手を引けと」という言葉とともに、アレックスに銃を向ける男。男は、フォークナーの案件から手を引けと言ってきたのでした。「いまの時代にレイブンが……本当に?」と疑いつつも、土地の件からは手を引くと約束するアレックス。しかし男はアレックスを撃ち殺します。

 翌朝。殺人現場にいるレストレ―ド警部の元に現れたのはホームズとリリーでした。腹を撃たれたあと、とどめに頭と胸に一発ずつ撃たれて殺された被害者は、アレックス・ジェンキンソンという強引な地上げで知られたデベロッパー(開発業者)。ホームズに対し、これはきみの興味を引くような事件ではないと思う、と言うレストレード警部でしたが、そこに、リリーが情報収集を頼んだベイカーストリート・イレギュラーズ、つまりは街の人々が現れます。そのなかにはアレックスが昨夜飲んでいたパブの主人もいました。彼の証言で、昨夜、アレックスとともにいたのが不二子であることが、ホームズによって明かされます。

 そして、離れた場所から抜け目なくそれを観察していた不二子とルパン。「あら……もうバレちゃったみたい」と車の中で立ち上がってる不二子ちゃんのスタイルがカッコいいですね。ルパンはそれを確認すると「さーて、面白くなってきたぞ」とつぶやきます。

 場面は日も暮れたルパンたちのアジトに。「ほんとやんなっちゃう。苦労して近づいたのに、肝心の情報取る前に殺されちゃうなんて」とぷんすかしている不二子ちゃん。次元もまたソファで寝ころびながら「これもまた奴らの仕業か?」とルパンに問います。そのとおり、というルパンに、次元は「相手はただのデベロッパーだぜ、レイブンとかかわりがあるとは思えねえ」と言い、不二子もまた「次元の言う通りよ。スケベで強欲な薄っぺらい男だったわ」とコメントします。

 わ、ひさびさのアジト場面! と嬉しくなりました。不二子ちゃんのトップスがセクシーだけど可愛くていいデザインですね。しかし、ここでの次元と不二子がフツーに仲良い感じがたまらないな。なにさらっと「次元の言う通りよ」とか同意してるんでしょう不二子ちゃん。そして、次元さんのこの言い草ったら。不二子ちゃんのいつもの色仕掛け作戦、次元さんはあんまり気に入ってなかったりしたのかな!

 そんなふたりに対し、ルパンはアレックスが再開発しようとしていた地区の真ん中がすべてフォークナーの所有だったこと、アレックスがそれを狙い、いい条件をもちかけていたにも関わらず、フォークナーは土地を売らなかったという事実を告げます。その話をしていたときに、玄関チャイムが鳴り、身構える三人。しかし、ドアを開けた向こうにいたのは、「ただいま」とぼろぼろになって帰ってきた五エ門でした。

 ここも、あきらかに気のない感じで話を聞いていたのに、土地の売買という話に敏感に反応する不二子ちゃんもいいし、そこで身を乗り出す次元さんもいい。不二子ちゃんに合わせたの? ルパンに対して次元と不二子がセットになってる感がある。しかしまあ、ここでいちばん可愛いのは戻ってきた五エ門ですけどね。「ただいま」ってなんだその可愛い言葉は。「いま戻った」とかじゃないんだ(笑)。

 一方、銭形、リリー、レストレードを前にしたホームズもまたルパンと同じ結論に達したようでした。フォークナーが所有していた土地は、更地のまま放置されていた場所が多く、開発業者が目をつけるのも当然の場所でしたが、これまでにその土地に目をつけたものはことごとく遺体となって発見されているのです。「……そして昨晩のアレックス殺し。あれはホレイショと同じ殺し方…」と内心で思うホームズは、どこか体調が良くない様子。銭形は「レイブンの仕業か」と勘づき、レストレードは「これはぜったいなにかある!」と憤ります。しかし、そのなにかが分からないのです。

 そこで、あのアルベールが盗み出そうとした絵の存在を思い出すレストレード。しかし、ホームズはすでにそれをスコットランドヤードから持ち出し、ルパンが持っている絵の残り半分に、賞金100万ポンドを賭けたのです。「この件についてもわたしはなにも知らされてないのだが」と怒るレストレード。「相談したところで許可はしてくれなかっただろ」とホームズ。「あたりまえだ!」とさらに怒るレストレード。そりゃそうだ。どこから出るの100万ポンド(一億五千万円)。

 これだけの賞金がかかったとなると、ルパン一味もあわてるだろう、と銭形は立ち上がり、その場を去ります。そしてそのあとにホームズはその場に倒れてしまうのです……。

 一方、ホームズがかけた賞金目当ての荒くれどもに襲われるルパンのアジト。ルパンのアジトってそんなに分かりやすいのかな。「まったく、ホームズの野郎……」とぼやくルパン。必死に応戦しつつも「こんなときあの女はどこへいっちまいやがったんだ?」と不二子のゆくえを気にする次元。しかしルパンは「不二子ちゃんはちょいと別行動」と軽く答えます。それにどこか皮肉な声で「逃げたんじゃねえのか?」と次元は言いますが、ルパンは気にした様子もなく、あの絵の半分を持ち「そいつはないさ。なにしろこいつがまだ手に入ってないんだ」とその場を逃げ出します。

 たいへん。次元さんが不二子ちゃんを気にしています。しかし、ジゲフジ的な観点から見なくても、あの絵を持っていけば100万ポンドとなると、ルパンが持っている絵を不二子ちゃんがいつの間にかすり替えてドロンするとか次元さんが考えても不思議はないと思うの。しかしそれでも次元さんが不二子ちゃんのことを気にする場面は良いものですね……。

 五エ門と次元が頑張った結果もあって、無事にアジトから飛び出した三人ですが、ルパンは絵の謎よりホームズの態度を気にしている様子で、ホームズは自分たちを足止めしていると勘づいているのです。体調を崩したホームズはレストレードの車でリリーと共に病院に向かいますが、病院に向かう途中で、レストレードに車を止めさせます。そこは、かつてワトソンがリリーを残して車を降りたあの場所だったのです。

 うっすらとした記憶のまま「パパ!」と叫び、倒れるリリーを抱き止めるホームズ。「なにを考えているんだ! それに、そのマフラーは、あの夜リリーが身に着けていたものじゃないか!」と怒るレストレ―ド。すっかり体調を取り戻した様子のホームズは、それに対し「彼女の記憶を刺激したくてね」と応えます。体調不良の仮病も、レストレードに車を出させて夜中に病院に向かうというシチュエーションを再現するためだったわけで、ホームズはリリーの記憶を取り戻そうとしているのです。

 なぜなら、リリーは、ワトソンを殺した犯人の顔を見ているから。ホームズはレストレードに「私は決めたのだ。ジョン・H・ワトソンを殺した犯人を見つけ出すとね。たとえ、どんな手を使っても」と宣言します。ここでAパート終了。

 Bパート。いまだに荒くれたちに追われ続けているルパンたち。実質ひとりで追っ手を片付ける次元さんがカッコいい。夜中とはいえ街中でこんな銃撃戦やって、警察来ないもんかなと思いましたが、そこに銭形と八咫烏くんのパトカーが! ここで「とっつあんまで?」と焦るルパンとあきらかにもう勘弁してほしい次元さんの顔が楽しかった。

 銭形のパトカーと警察の包囲網に追い詰められて誘導されていくルパンたち。ルパンならではのカーチェイスシーンとして楽しかったです。五エ門がしゅぱっと警察車両を切ってその下をルパンたちが通り過ぎたあと、やたくんがあせるのを銭形が「想定内だ!」と突っ切っちゃうあたりとか、ルパン世界のお約束で楽しかった。銭形さんはルパンたちに必要以上に慣れてるからそう判断できる。ルパン世界には重力が存在してないの? いいえ、あれ、ぜんぶで1秒もたってないんですよ、きっと。

 ここでルパンたちに追いついた銭形に対し、ルパンは「やるじゃないの、とっつあん」といいますが、偉いのは運転してたやたくん……と一瞬思って確認したら、運転してたのは銭形さんでした。銭形さんすごい。や、やたくんも頑張って撃ってたよ! 行き止まりに追い詰められたルパンでしたが、そこはさすがのドライビングテクニックで危機脱出。しかし、そこであの絵の半分を落として銭形に拾われてしまうのでした。

 しかし、それをたいして気にもしていないルパン。不審がる五エ門たちに対し「聞いたことないか? 〝不可能を消去して最後に残ったものがいかに奇妙なことであってもそれが真実となる〟」と応えます。それはあの、シャーロック・ホームズの言葉でした。

 一方、パリのアルベールもまた「やられっぱなしは性に合わないのでな」とイギリスに乗り込むことに決めたようでした。アルベールによればレイブンの財宝とは「英国にとってはなんとしても隠し通したい汚点だ。だからこそ、手に入れる価値がある」とのこと。そしてその情報は、MI6のエリオットにも伝わることとなります。

 ベイカー街のフラットで眠るリリー。そしてホームズは、ホレイショとワトソンとアレックスを殺したのは同一犯で、その犯人はロンドンにいるという結論に達します。その鍵はフォークナー殺しと察したホームズは銭形警部に連絡を取ったあと、ひとり、フォークナー卿がいたブラックドローイングに足を向けます。そこで一枚の絵に戻ったあのポスターを取り出すホームズ。しかしそこにはすでにルパンが来ていたのでした。

 絵について分かったことをきかせてくれないか?というルパンに対し、「わたしの答えは、これだ」とポスターを破るホームズ。それに対し、ルパンは驚いた顔も見せません。そこに駆け付けてきたのはリリー。ホームズの後をつけてきたのです。それを助けたのは銭形警部でした。リリーはルパンの居場所を教えるという条件で、銭形に協力を依頼したのです。「ルパン、逮捕だ……といいたいところだが、この子に免じて終わるまで待ってやる」と腰を下ろす銭形。

 ここは危険だ、とリリーを諭そうとするホームズでしたが「わたし、いちばん安全な場所にいるつもりよ、ホームズさんのそば……わたしも前に進みたいの。ホームズさんと一緒に。そして、お父さんを殺した犯人を突き止めたい」というリリーの言葉に納得します。

 そしてここからが謎解き。ポスターは自体は無価値なものだったのです。そもそも、フォークナーはなぜブラックドローイングなどという仰々しいオフィスをかまえていたのか。その本質は、この部屋そのもの。月によってばらばらだったフォークナー卿の勤務時間は、日の出と日の入りに対応していたのでした。フォークナーは、このブラックドローイングに日が差し込まないよう、ずっと見張っていたのです。

 「不可能を消去して最後に残ったものが」「いかに奇妙なことであっても」「それが真実となる」と声を合わせたルパンとホームズ。そしてルパンによってブラックドローイングに窓を覆った厚いカーテンは外され、そこに日の光が差し込みます。

 日の光を浴びて、光り輝く一面の壁の装飾。そして部屋の中央に飾られたワタリガラスの目が輝いたとたん、ブラックドローイングの部屋は爆発します。それを空港のニュースで目にするアルベールとその様子をうかがう不二子、オフィスで確認するエリオット。煙とすすが舞い散るなか、一人出てくる銭形警部が、駆け付けたレストレードに「ホームズたちは」と問われ、「分からん」と答えたところで、幕。

 次回予告。「世界一の泥棒に解けない謎はないんだよ」とうそぶくルパン。「あばよ、ホームズ」との台詞とともに次回の題名「英国の亡霊」が告げられました。

 というわけで第11話でした。お話がテンポよく進んで面白かったです。ルパンのアジトに五エ門も戻って来て、短いながらもルパン一味の活躍もあったし、ルパンVSホームズ色もあり、謎解きも進んだ。あとはきれいにまとめるだけ、という感じでよかった。

 個人的には、ラスト近くのルパンとホームズが声を合わせて「不可能を消去して最後に残ったものが」「いかに奇妙なことであっても」「それが真実となる」とやるところがめっちゃ好き。このふたりの関係って、そもそも関係自体が存在しないような希薄なつながりのはずなのですが、それでもエキセントリックで天才肌で、おそろしく頭がいいふたりはおのずと同じ結論に達するというのがいいな。わたし、頭のいいルパンが大好きなの。このホームズ篇のルパンはずっとかしこい。好き。

 そして場面としてはわずかながらも、やはりPART6のこのふたりはつきあってるのでは疑惑がわたしのなかで色濃くなったジゲフジのふたりも良かったです。なんていうのかな、ことさらイチャつかずとも、ごく自然ににじみでるこのつきあってる感が、いいなって……。五エ門も戻ってきてよかった。わたし、ぜったいバリツを使う場面があると思ったんだけどなあ。

 さて、あとはホームズ篇の最終回を残すばかり。「英国の亡霊」ってタイトル、カッコ良くて好きなのです。連続放送なので、そのまま突入します。1クール目のまとめての感想もそちらで。よろしくお願いします。

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