「かくして今日より宿命の追いつ追われつがまたはじまるのだ」(cv山田康雄)。
ルパン三世ベストセレクション、第8位は、PART2第1話「ルパン三世颯爽登場」でした!記念すべき新ルパンの第1話です。いつものように、ベストセレクションが放送されていない地域に住まうわたくしが、エア感想を書かせて頂きます。ネタバレありなのでお気をつけください。あらすじはこちら→(URL)。
まずは香港を舞台にした修行場面から幕を上げます。中国武道の達人と思しき男たちを瞬く間に叩きのめしてしまったその男は、石川五ェ門。斬鉄剣はまだ姿を見せていません。つづくシドニーにて、クレー射撃で百発百中の腕を見せるのは次元大介。クレー射撃でマグナムを使うのはありかなしか。しかしここで次元さんが叫ぶ「プル!(Pull)」という掛け声が実に男らしく荒い感じで素敵です。さらに、ハワイの海岸で言い寄ってきた男たちからちゃっかり宝石を手に入れるのはもちろん峰不二子。不二子ちゃんがシャワーを浴びる早速のサービスシーン(なんと本編開始1分!)のあと、かれら全員にルパンから五年ぶりの同窓会として豪華客船サーロイン号への招待状とリスボンへの航空券が届けられている……という流れで物語が始まります。
珍しくもパイプをくわえてサーロイン号に乗船した次元さんは、あいかわらずラジオDJを楽しむ五ェ門と再会しますが、「五年前に誓った禁煙の約束をいまだ果たしていないようだな」と釘を刺される結果に。次元さんがそんな約束をするなんてなにか血迷うことでもあったのかしら。
でも、ここで重要なのは、そのせいで次元さんがくわえていたパイプを斬鉄剣でカットされてしまい、そのおかげで、つづいて登場した不二子ちゃんがそこから火種を頂いてタバコをくゆらせるという素敵場面につながるということですね!シガーキス!シガーキス!(荒ぶるとりこ。)しかもそのあとに新ルの次元さんとしては珍しく「不二子ちゃん」なんて甘い声を出しております。やだもう大変(わたしが)(わたしの頭が)。わたし、この話をなんど見たか分かりませんが、この場面を見るたびに、新ルパン第1話からこんな接待してもらっていいのかしらとか頭がおかしいことを言いたくなります。もちろん今回も言いました。不二子ちゃんも「センスのないあいさつしないで」とツンとしてはいるものの、新ルパン初期らしい大きな目が特徴的でほんとうに可愛らしいのです。そして最後に満を持して空から降ってくるかたちで登場するのが、我らがルパン三世です。カッコいい!
さっそく再会を祝って祝杯を挙げる四人。そこで、今回の招待状がルパンからのものではないこと(なおかつ、不二子ちゃんの愛用の香水がシャネルのNo.5だということも)が明らかとなります。誰かの仕掛けにみごとハメられそうになったと荒ぶるルパンたちのところに、飛び込んできたのが銭形警部。ここで役者はみごとそろいました!再会の瞬間に大喜びして銭形警部に抱きつき、チューするルパンの可愛さたるや。
そこでまさかの信州の山の中の駐在所に飛ばされていた銭形警部の描写という、本来ならば哀れに感じなくてはいけない場面が来るのですが、あんがいそこでもとっつあんは幸せにやれたのではないかという気もしてしまうのはわたしだけでしょうか(いや、もちろんルパンがいなくてはとっつあんの生きがいもないんだけど)。そして銭形警部もまただれかのたくらみでこの客船にやってきたことが分かります。そこでたがいに手を組み共通の敵に立ち向かうことを提案するルパン。新ルパンってしょっぱなからこんなにル銭でしたっけいやその。
敵のたくらみの釣り天井によって犠牲者も出て、極度の緊張による歯痛を感じた次元さんは船の歯医者へ向かいます。これが次元さんの歯痛ネタのはじまりかな?。そこでも敵の罠により無関係な犠牲者が出てしまい、次元さんは帽子を脱いで弔意を表します。こういう細かい描写が好き。五ェ門はサウナ後に、マッサージ嬢を装った敵に襲われ(自分はふんどし一丁の姿でビキニスタイルの女性にマッサージされるのを拒まないって以後の五ェ門からしたら考えられないですな)、いっぽう不二子ちゃんはサメの泳ぐプールに飛び込んだところを、間一髪でルパンに助けられます。しかしルパンはそれに気づいていない不二子ちゃんにプールに突き落とされ、鮫にお尻をかじられちゃう。かわいい。
そうやってそれぞれの危機をしのいだルパンたちでしたが、とうとう敵からディナーの招待状が。うん、わたし正直に言うけどね、ドレスコードを指定してきた敵は本当に良い仕事をしたと思いましたね。不二子ちゃんの真紅のドレス(ていうかパンタロンスーツ?)、五ェ門の紋付、ルパンのクリーム色のタキシードは、それぞれとても素敵ですが、まあ珍しいものではない。レアなのは次元さんの茶色のタキシード姿です。帽子もフォーマルな場だから脱いでるし、蝶ネクタイも効いてて、やだもう素敵!次元さんのお着替えはテンションが上がるなあ。
そのディナーの席上で、敵がなにものであるかを察したルパン。その予想のとおり、テーブルごとさらわれたルパンたちの前に、ルパンとの因縁がある男、犯罪組織スコーピオンのボス、ミスターXが現れます(ディナーの席には無かった次元さんの帽子も現れます)。ミスターXの登場は、旧ル1話以来ということで、ここらへんに制作側から旧ルファンへのちょっとした目配せのようなものを感てしまいますね。まあ、超人間とかいわれちゃうと、そこらへんはすごく70年代のアニメっぽい。というか、元ネタがそこらへんのアメリカのTVドラマなんですよね(DVDコレクションの記述より)。
そしてやはり滝口順平さんの声を聞くと、ルパンの悪役だなあという気分になりますね。ああいう、軽くてユーモラスだけどひねこびていて実にいやらしい、悪役らしい声が聴けるのはいいものです。そして岩をも砕くそのパワーを見てルパンが漏らす「すっげすげ、すっげえすげ」って言葉がユーモラスでいいですね。
さすがの超人間の前には、五ェ門の斬鉄剣も次元のマグナムも効き目がありません。しかしそこはさすがのルパン三世、一計を案じてみごとミスターXを感電させることに成功します。逃げ出したルパンたちを見て、ミスターXはサーロイン号を爆破させ……。
時が流れ、いかだに乗って海に浮かぶルパンたち一行。ところでおまえはそんなことを気にするのかといわれたらちょっと困っちゃうんですが、やっぱり気になるので書いておくと、あの旗代わりのぱんつはだれのものですか。あきらかに男性用なので、ルパンか次元が脱いだことになるのですが。しかし、ルパンたちはそれどころではなく(あたりまえだ)、一兆二千億の大金がなくなった勿体なさにため息をつく不二子ちゃんのほかは、哀れ海のもくずと消えた銭形警部を悼んでいます(ここで、次元さんが「花に嵐の例えもあるが……」を口にします。PART4のあれはやはりここから?)。本気で落ち込んで寂しそうなルパンが可愛い。しかし皆が神妙に手を合わせたところで、亀に乗った(いやほんとうに)銭形警部が現れます。このときのルパンの嬉しそうなこと。かくして、冒頭に上げました台詞通り、追いつ追われつのルパン一味と銭形警部の物語がまた始まるわけです!
というわけで、さすが第1話ということもあり、ルパン一味それぞれのキャラクターがよく分かる描写、かつてのTVシリーズの因縁の敵も登場する派手な展開で、もしわたしがリアルタイムでこの第1話を待ちわびていた70年代の子どもであったなら、大喜びした内容だと思います。そしておとなになったいまでは、ちまちました描写を楽しんでしまいますね。茶色のタキシードとかね!今回も楽しみました。ありがとうございました。
ベストセレクションも第8位となりましたが、もうこうなったらなにが選ばれててもみんな同率首位くらいの気持ちです。わたしは「国境」が落ちてなかったらもうそれだけでいいです(笑)。ドキドキしますね!でも、こうやって感想を書くために丁寧に見直していくと、これまでに何度も見た話であってもそのたびに新たな発見があって、ほんとうにルパン三世という作品の奥深さを感じています。これからも、この調子でベストセレクションの感想を書いていきますので、よろしければまた読んで頂ければと思います。どうぞよろしくお願いします!