「ルパン座トーク 大阪出張編」(大阪・ロフトプラスワンウェスト)

  さて、やってきました。大阪はロフトプラスワンウェスト。「ルパン座トーク」に参加するためです。無事につけるかどうか心配でしたが、わたしが道を知らなくともGoogleマップが知っている。久しぶりに見た道頓堀は相変わらずの色でしたな…。
 入場してしばらくは二列に並んで待ちましたが、なんていうか並んでいるみなさまの安心の同世代っぷりに、ぼっち参加でも心強いものを感じました。開場してからはグッズ販売。無事にお目当ての横堀久雄さんサイン入りの「JRA×ルパン三世」コラボCM原画集もゲットできてほくほくです。寝てる不二子ちゃんが可愛くて、次元さんがカッコよいのです。
 当日は、ルパン座トーク大阪出張編限定メニューということで、山盛りポテトフライとビールという「お嬢様の『プハー♬』セット」、および青いカクテル「イタリアン・ブルー」というPARTⅣにちなんだメニューもありました。大人の事情で固有名詞は使えないそうです(笑)。「イタリアン・ブルー」は飲みやすかったです。ブルーハワイかな?

 以下、現場のレポを書きます。が、録音もしておりませんので、すべてざっくりしたわたしの記憶のみで書いています。なるべく正しく書いたつもりですが、細かいニュアンスの違いや言葉遣いの差、時系列のずれなどは存在すると思います。そこらへんはご了承いただけたらと思います。「イタリアン・ブルー」を呑みながらふわーっと見た一ファンの感想、くらいの気持ちで読んで頂ければ…。正確なレポはそのうちテレコムさんのブログにUPされると思いますので!

 まずは、プロデューサーであり、テレコム・アニメーションフィルムの社長でもある浄園祐さんが登場し、先日おこなわれた総監督の友永和秀さんの日本映画批評家大賞、功労賞の受賞の模様が上映されました。そこでのドローイングの際に、筆箱がなかなか開かないため四苦八苦したエピソードを話す友永さんと、ツッコミいれつつ解説する浄園さんとのやり取りが楽しかった。しかも、この時に描かれたドローイングを今回のイベントでプレゼントしてくださるという太っ腹ぶりに最初からテンションが上がります。それにしても、失礼な表現かもしれませんが、友永さん、とてもチャーミングなおじさまで、個人的にきゅんきゅんしました。

 続いてのゲストは、作画監督を務められた高橋優也さん、オフィシャルマガジンで「ルパン三世T」を連載されていたTogekinokoさん、フィギュアの原型師の鬼山尚丈さんです。ゲストの皆さんに浄園さんが今回のルパンに関してのお話をうかがうあいだ、リアルタイムで友永さんがライブドローイングされているところがうしろのスクリーンに映るのですが、話も聞きたいし、絵にも見入りたいし!さらさらと線が重なってみるみるうちにルパンが現れて、そこに次元も描かれる。背広が緑に塗られていたので「緑ルパンですね」と声をかけられ、「いや、青のつもりだったら塗ったら緑だった」と語る友永さんがお茶目です。

 高橋優也さんのお話は、ほんとうに「ルパン」が好きなんだなという気持ちが伝わってくる熱量!仕事場はルパンのフィギュアだらけだそうです。歴代のルパンを描いてテレコムに持ってきたという経歴、そうそうたる原画マンを前にしての作画監督としての苦労も語りつつ、ところどころで過去ルパンへのオマージュ(ルパンが砂漠をさまよう場面は「マモー」を意識してそのテイストも入れているとか)があるという裏話も楽しい。

 そして高橋さんといえば、なんといってもライブドローイングが!鉛筆でさらさらと描かれる友永さんとまた違い、マッキー(?)でグイグイと迷いなく線を引いていくとあっというまに、ルパンが!プロのかたに何を言っているんだという話ではありますが、目の前で見たら感動しますよ!だってルパンだもん!しかも、一枚だけでなく、何枚もすこしずつ動きを変えて枚数を増やしていくと、そこに動きが生まれて、出来上がったのはなんと「道頓堀に飛び込むルパン」!(爆笑)大阪という場所へのさりげないアピール、ファンサービスに感動です。

 Togekinokoさんは、ファンとしての目線で、今回のルパンの描線の違い、これまでのTVSPの平山智さんのデザインとの差についてのお話をされていて、これも面白かったです。そこで浄園さんが、ご自身が制作進行をした「ワルサーP38」で、アニメーターの裁量に任せていたらルパンの顔があまりにもそろっていなかったため、それ以後のデザインはわりとかっちりとするようになった…という意味の裏話をされていました。

 原型師の鬼山さんは、二次元のデザインをフィギュアという三次元のかたちに再構成する難しさや、それにまつわるさまざまな大人の事情のお話を熱く、楽しく語られました。すごく良いお人柄が伝わってくる感じのお話です。不二子ちゃんのライダースーツの前ファスナーが上がっているかいないかの攻防戦とか(笑)。←あまり下がっているといろんな基準にひっかかちゃうみたいです。不二子ちゃんのライダースーツといえば、バイク王のCMでの不二子ちゃんの胸元のファスナーが下がるシーンの原画は友永さんというこだわりが語られる場面もありました。ふわっと、こう。ふわっと(大事)。

 そして、Togekinokoさんがライブドローイングされているときに、原画マンの個性をよく見ることが出来る映像として、原画だけをつなぎ、声優さんのセリフが入っているだけの状態の第21話「日本より愛を込めて」の一場面が上映されました。
 
 これがすごかった。原画だけがつながれてるのが信じられないくらいにすごく動きます。ここだけに限らず、今回のトークでは、浄園さんや友永さんが、テレコムらしさ、とにかく動くことの大事さをよく語られていたのですが、本当によくわかりました。声優さんの声もエフェクト無しの声ということで生々しい。そして明智ホームズの声は一切の演技指導無しであの演技が上がってきたという驚愕のこぼれ話(笑)もあったり。

 そして、個人的には今回のイベント、ここが最大のハイライト。冒頭の不二子と五ェ門の場面、あの旅館での大滑落場面など、よく動く見せ場が上映されて、わあすごいなあ、本当に原画のひとの個性が見えるなあなんて楽しみつつ、そういう動きのある分かりやすい場面だけを抜粋して流すんだとばかり思ってたんですよ。

 そしたら、そのまま不二子ちゃんが逃げ出す場面。神社が映って。ジゲフジスキーのみなさま!あの奇跡の55.64秒の場面が上映されたよ!キャアアアと悲鳴をあげなかったわたしを褒めて。原画でもあの二人の柔らかな雰囲気の破壊力は半端なし。次元さんの煙管のシーンで息を呑んでいたわたし以外の数人のみなさま、握手しましょう(がっちり)。「…分かってる」の不二子ちゃんのたおやかさたるや。もうやだこの原画集売って。

 そしてもちろん、あの街中でのカーチェイス、次元さんの狙撃場面からクライマックスの富士の峰まで流れたんですけど、ほんとうによいものを見ました。こういうものってまず一般で見ることはできないものなので、こういうイベントならではだと思います。有り難いかぎり。
 
 鬼山さんのフィギュア争奪戦ジャンケンはこのあたりだったかな?この会場限定の素敵フィギュアです(URL)。ええ、わたしはすべて一回戦で敗退しました…。鬼山さんはこれ以外にも大塚康生さんのフィギュアも持参されていました。それはテレコムに飾られるようですが、これも柔らかな線がすごく素敵なフィギュアでした。

 ここで休憩。最後のプレゼント抽選は、飲食の注文と引き換えに渡される抽選番号によって行われるため、いろいろ飲み食いしたかったものの、ぼっち参加はこういうときにつらかった。でも、さすが飲食しながら楽しめる場を謳ってるだけあって、おつまみも美味しかったですよ(クラッカー&チーズに蜂蜜がかかってて感激)。そして、休憩のときもドローイングを描き続ける友永さんの近くに群がるみなさま。ええ、わたしも見に行きました!そこで、ルパンとマジンガーZという版権的に微妙なイラストを描いている友永さんが素敵です。

 後半は、Vapの宣伝コーナーと言うわけで、テレコムの版権関係の担当のかたによる、PARTⅣのブルーレイ&DVDの紹介から始まりました。ここでは主に高橋優也さん(Vol.6担当)、酒向大輔さん(Vol.7担当)、それぞれが描き下ろしたデジパックがラフとともに紹介されました。公式サイトをご覧いただければお分かりいただけると思いますが(URL)、これがもうほんとうに素晴らしい。

 ここでも版権絵というものへのこだわりを熱く語る高橋さんが素敵です。「次元がこっち向いて撃ってるのに、五ェ門が正面向いて受けてるのはおかしいんだけど(笑)それは版権絵ならではのウソ、そしてルパンは次元の流れ弾が来てあわててる」という解説が楽しかったです。そして「日本より愛を込めて」をモチーフとした、Vol.7のデジパックイラストが紹介されると、あまりの完成度に息を呑む会場。そして「先に描いといて良かった!このあとに描くのやだ!」という高橋さんが可愛い。Vol.7を担当した酒向さんは、高橋さんと同じくルパン好きであっても、「グッズには手を出さない、書籍派」だそうで、これまでのルパン関係のムックを全部そろえていて、版権絵にこだわりがあるかただそう。
 
 「こういう場面は実際にはないんだけど、こういう場面を思い浮かべる」的な版権絵ならではの絵になっているとか。浄園さんも、DVDのジャケットに関してはともかく、中の絵はうちのアニメーターの好きにさせてほしいと会社にお願いしているとのこと。たしかに、どのデジパックもすごく素敵ですよね…。

 そのあとに、レベッカ・ロッセリーニ役の藤井ゆきよさんが登場しました。出てきた瞬間、あまりの華やかさとかわいらしさに驚きました。なんというか、べつにレベッカの声を出しておられるわけではないのですが、なんとも可愛い声のお嬢さん。溢れる女子力の高さに、ちょっと戸惑いもしたのですが、生「プハー」をリクエストされて「すいません、実はもうさっき裏でちょっと飲んでて」とぶっちゃけられた瞬間に、ああ、このお嬢さんは信頼できると思いました。

 藤井さんからは、レベッカというキャラクターを演じるにあたってのさまざまなお話がありました。レベッカというキャラが愛されるかどうか不安だったこと、錚々たる声優のみなさまのなかに入っていくプレッシャー、でも最終的にレベッカというキャラを演じることが出来たことをとても大事にされているんだなということが伝わってくるお話がうかがえました。

 ここでちょっとこぼれ話。浄園さんのお話なんですが、アフレコ用のマイクというのがありまして、で、それには通常であれば息が入らないようにするための「網」的なものがつけられているのです。が、小林清志さんには専用のマイクがあって、それがつけられていないとか(必要ないということかな)。でも、それを知らないアシスタントとかが網をつけていると、清志さんが「網はいらねえ」と言うらしく、もうそれがリアル次元!次元が「マグナムしかいらねえ」って言うみたいなんですよ、というエピソードが楽しかった。清志さん素敵!

 そして、そのお話の後ろで、たこ焼きを食べるレベッカをさらさらと描いていく高橋さん(笑)。そこに藤井さんのサインを入れましょうという話になり、そのレベッカの可愛さに、藤井さんがそれを欲しい!と反応、でも会場用のプレゼントですよね、と思い直す。いやさいしょから藤井さんへのプレゼントとして書いてますよ、などのやりとりがあり、けっきょくサインしたうえで、その色紙は会場へのプレゼントということになりました。

 その流れで、最後の抽選会のプレゼント色紙を見ていく藤井さん。そこで、パーマをかけたルパンというある一枚を見て、ひとこと「やだ、ルパン、髪型変えたらイケメン!」その発言に、会場中が大爆笑。失言に気づいてあわてる藤井さん。「あなた、ただでさえレベッカを演じてルパンファンを敵に回しているのに、さらにルパンファンを敵に回したね」と笑う浄園さん。この流れは神がかっていて、みてるこちらも大爆笑。こういう可愛さと藤井さんの女子力の高さ、レベッカっぽいです!同席されているみなさまが、(へんな意味でなく)メロメロになってるのがよくわかる可愛いかたでした。すごくチャーミングなの。

 さらには、まさかの音楽の大野先生もレベッカファンというお話が。「メランコリーベイビー」は依頼もしていないのに上がってきた曲だそうです(笑)。そしてルパンとの結婚式で弾かれていたピアノ曲をレベッカが止めさせるシーンがありましたが、あのピアノ曲は大野先生の作曲だそうで、それを見た先生が大ショックを受けたとかの楽しいこぼれ話もありました。

 そんな楽しいおはなしのあいだも、黙々とライブドローイングで五ェ門と次元のツーショットという、なんというか、実に、わかってらっしゃる色紙を描き上げていく高橋さん。もうわたし高橋さんのファンになりそう。

 最後の抽選会はたいへん盛り上がりました。残念ながらわたしはなにも当たらなかったのですが、プレゼンターの藤井さんの盛り上げもよく、なによりプレゼントがお宝過ぎて…。テレコムさんのツイッターで画像が紹介されています(URL)(URL)。さらに、フィギュアやライブドローイングで描き上げられたイラストまで!こ、こんなものをふつうにプレゼントしていいんですか?と聞きたくなるようなクオリティ。当たったみなさまの悲鳴に、共感です。

 締めとして、「GREENvsRED」と今回のPARTⅣのダイジェスト映像を流しながらの浄園さんのお話がありました。これがもう、なんというか、すごく沁みるお話でして。わたしの記憶力で中途半端に再生すると、かえってニュアンスが抜け落ちてしまいそうなのですが、つまりは、「ルパン三世」というコンテンツを作ることの難しさと大切さのお話です。そのためにクリエーターの才能が爆発するような場が必要で、そのためにも「GREENvsRED」や「峰不二子という女」のような意欲的な作品が登場する必然があった、批判も受けたし破綻もあったけれども…。やはり作品は結果をだしていかなくてはいけない、次につながらないというシビアな現実と、そのなかでも「ルパン」を作り続けていきたいという真摯な思いと、「待つことに慣れている(笑)」ルパンファンへの純粋な感謝の思いが伝わってくるお話でした。そしてなにより、これからもルパンは続いていくよ!という強い意志がありました。

 ここからちょっと個人的な感慨になります。正直言って、そのお話を聞いていて、わたしなんかはもう泣けてきそうになって。わたしは、ずっとゆるいルパン好きで、それがまさにその「峰不二子」でぐっと引きつけられて、「墓標」で爆発したファンです。なので、ルパンファンとしてはとても幸運な時期に沼に入った人間だと思います。もともとどんなジャンルでもマイナー沼に生息していた人間であるわたしには、「ルパン三世」は、目もくらむようなキラキラしたメジャージャンルでした。だからわたしはルパンというメジャーコンテンツは、自分がなにもしなくとも当たり前にそこにあるような存在だと思ってきたのですが、そうじゃないんだ、と教えられた気がしました。当り前に存在するようなものはこの世にはない。ちょっと意味が分からないことを書いていますが、お許しください。

 わたしはずっと二次元にハマったんだと思ってたんです。でも、その二次元を支えているのは三次元のひとなんだ。当り前だけど、わたしはそんな当たり前のことにも気づいていなかった。有り難いなあ、と思いました。「ルパン三世」というコンテンツをこんなに愛しているひとたちが、「ルパン三世」を作っている。その事実が、ひたすらに有り難く尊いものに思えました。正式な発表ではないと思いますので、はっきりしたことは書きませんが、これからも「ルパン三世」、さまざまな展開があるのは間違いないようです。ファンとして、それを楽しんで、支えて、追いかけていきたいと思います。

 というわけで、とりあえずレポは終了です。とにかく言えるのは「楽しかった!」「ルパン三世最高!」「テレコムさんありがとう!」ということでしょうか。壇上のみなさまがみな素敵でした。友永さん、高橋さん、浄園さん、藤井さんといったスタッフの皆様に限らず、少し違った立場からの鬼山さんにも(会場限定のプレゼント用フィギュアのルパン最高でした!欲しかった…)、Togekinokoさん(色紙が…ほんとうに素敵で…、もっとライブドローイング見たかったです!)にも、楽しませていただきました。

 本当に素敵なイベントでした。ありがとうございました!