「デートするんだよ」(cv.小林清志)。
はい、ルパン三世ベストセレクション、第22位はPART2第26話「バラとピストル」でした!PART2で初めての次元回、そして次元さんの恋愛話が大好きなわたしにとってはポイントが高い一作でもあります。というわけで、ベストセレクションが放送されていない地域に住まうわたくしが、エア感想を書かせて頂きます。もちろん、ネタバレありなのでお気をつけください。あらすじはこちら→(URL)。
世界の名所であるスペインはマドリードとバルセロナを舞台にしたこの話、ヒロインのリンダはフラメンコダンサー、全篇にわたって流れるビゼーのオペラ「カルメン」と、異国情緒もたっぷりです。もちろん中心はリンダと次元のロマンス話ではありますが、同時に、今度こそはルパンを捕まえると奮起する銭形警部、お腹を空かせた五ェ門、阿吽の呼吸で通じ合う次元とルパン、という感じでそれ以外のキャラクターの見どころもしっかりある内容です。まあ、いかにも新ルっぽい無理展開もあって、ルパンと次元が決闘前におたがいに一本電話をかけてたらマイヤーの計画はみごとに崩壊していたのではとか(報・連・相って大事だな)、不二子ちゃんは結局どうなったのとか、言うのは野暮というものです(おまえが野暮だ)。
とにかくわたしは次元さんがモテるお話が大好きなので、最初のレストランでのリンダとの出会いの場面はもうなんど見たか分かりません。美しい黒髪、グラマー、見るからに気の強そうな美人でしかも踊り子なんて、リンダは素晴らしく次元さんのストライクゾーンだとなんど見ても思います(そしてこう書くとなんだか苦労しそうな女の好みだなとも思います)。しかし、この場面でのルパンの台詞「峰不二子に似ているようで似ていない」って素晴らしく意味深ですよね!ね!三世さんはなにが言いたいのかな!そして、そんな峰不二子似の美女にウィンクを送られて喜ぶより戸惑う次元さんがとっても可愛い。この場面の「まさか」って声がいいんですよね。
そう、この話の次元さんは、モテちゃったせいか(笑)、ラスト近くの哀愁ある場面以外では、つねに自信たっぷりで調子に乗ってる感があります。そこがもう可愛いというかなんというか微妙におっちょこちょいにさえ見えかねないところまであるんですが(ひどくないか)、そこらへんがすべて、コバキヨボイスのマジックで帳消しになっている気がします(個人の感想です)。
それこそ「おれの方がハンサムなんじゃねえのかな」とか、もう可愛くて可愛くて!そしてさらわれたリンダを救い出すべくひとりマイヤーの屋敷に向かった次元さんの活躍する場面はほんとうにカッコいい。「デートするんだよ」とか、ルパンが次元に化けてるのかと思ったわ。でも、新ルの次元さんってときにこういうところありますよね。ちょっとキザでカッコつけて調子に乗っちゃうの。そしてもちろんリンダとのふたりきりの場面での次元さんは、もう台詞のひとつひとつが聴いてるこっちが恥ずかしくなっちゃいそうなほどで……。しかし、それに抜群の説得力を持たせてしまうのが、魅惑のコバキヨボイスですね。ほんとうにこれぞ低音の魅力、マドリードで逢いましょうって感じ。
個人的には「こいつはほんとうにおれにくれたのかい」「ええ、本当よ」「なぜだ」のくだり、もうこの「なぜだ」の響きに倒れますね。三文字でこの破壊力。嘘だと思ったらヘッドホンで聞いてみてください。リンダの「男らしくて、ハンサムで、強そうだから」って台詞もすごいけど、それに続く「見かけだけじゃないんだ、中身もその通りさ」という台詞!冷静に受け止めれば、次元さん落ち着いて水でも飲んでってところなんですが、小林清志さんのこの声で言われちゃうと、ああ、中身もカッコいいわー間違いないわーという気分になります。そしてそんなにカッコつけてたのに、リンダにほっぺにチューされちゃうと眼を白黒させちゃうあたりは、やっぱり可愛い!そして、夕陽のレストランの場面。「ああ、いつまでも」と約束して、おびえるリンダを抱きしめる場面は、次元さんの優しさがよく現れていて、やはり素敵だと思うのです。
しかし「バラとピストル」といえばルパン対次元の場面だ!というひとも多いでしょう。かくいうわたしもそのひとり。コインを弾きあうことで、言葉にせずともたがいの正体を察してとっさに通じ合うふたりの場面、たまらないです。もちろん、それだけの絆があるふたりなのは分かってはいたけれど、ここまであからさまに分かりやすくカッコ良く表現された場面も珍しいのでは。そしてここでも、小林清志さんの声がじつに荒っぽい響きで、裏社会の男っぽい次元の一面を表現していて良いのだ……。さらに、決闘が終わり、マイヤーのたくらみが明らかになったところで、あの女も一枚かんでいやがったとは……と言いかけて、次元さんを慮って口ごもるルパンも好き。いつもはたがいに遠慮なく軽口を叩きあっているのに、肝心なところには踏み込まない、茶化さない。ルパンのそんな思わぬ繊細さが好きです。
そして「女は裏切る」という次元さんの持論に大いなる根拠を与えたリンダの所業ですが(このあとモニカも後押ししますね……)、そもそも日常で目にしている女のサンプルが不二子ちゃんだと思えば、まあ、いまさらという感じなのかな。それでももちろん、マイヤーと共にリンダを葬り去ることをためらわない(内心はともかく)、次元の場面は厳しく、胸を打つものです。引き金を引くまでにリンダを思い出すくだり、薔薇をマグナムで撃ち、散らせてしまう場面がせつない。けれどそれで終わらせずに闘牛場での銭形とルパンのコミカルなやりとりでラストに持っていく流れは、好みが分かれるかもなあと思います。が、わたしとしてはこのときの次元さんの様子が朗らかだったので、これはこれでいいやと思います。
というわけで、思いのほか長くなりましたが、ルパン三世ベストセレクション、第22位のPART2第26話「バラとピストル」のエア感想でした。個人的には、これがもう登場したのがすこし驚き。もうちょっと上位かと思ってたので、ますます上位の並びが楽しみになってきました。これからも頑張ってエア感想を書いていきたいのですが、エア感想のまま1位まで行くのは切ないなあとも思っています。この調子だと、放送終了は今年の12月。出来れば、その最終回に次回予告としてPART5の予告編が流れたりしたら嬉しい……けれど、それだと放送局がますます限られそうなので、時間帯はもうちょっとずらして、などといろいろ考えてしまいますね。これからの展開が本当に楽しみです!