「……三千年の歴史と遊ぶ、これこそ最高の贅沢ってもんだぜ」(cv山田康雄)。
ルパン三世ベストセレクション、第12位は、PART2第7話「ツタンカーメン三千年の呪い」でした!新ルパン初期の人気作のひとつですね。いつものように、ベストセレクションが放送されていない地域に住まうわたくしが、エア感想を書かせて頂きます。ネタバレありなのでお気をつけください。あらすじはこちら→(URL)。
新ルパンもまだ初期も初期、ということで、作画もそれっぽいですね。不二子ちゃんのおめめがすごく大きくて可愛いのです。冒頭から、ミイラのものまねをしてふざける三世さんも可愛い。
一方、最初から嫌な予感がして仕事に乗り気じゃない次元と五ェ門のコンビもいいですね。こういうときには、次元+五ェ門、不二子+ルパンと二手に分かれちゃうんだよね。でも、そういう場合はなにかと突っかかりあう不二子ちゃんと次元さんの姿も見ることが出来るので、わたし的には問題ないんですけど(聞いてません)。そして水パイプを楽しむ次元さんがレアです。血煙では不二子ちゃんも楽しんでましたね水パイプ。ふふふ。
ところで次元さんといえば、ここで水虫をカミングアウトしてますが、昭和の男としてはさほど珍しくない持病だとは言っておきたいです……ルパンもパースリで苦しんでいたしな……(そしてそのとき次元さんはけっこう他人事だった。きっと一足先に完治したんですよ)。次元さんといえば、二回ほど口にする「インシャアッラー」の響きがいいですね。
そしてとうとう次元と五ェ門の手を借りずに、空間に張り巡らされたレーザーに触れないまま持ち上げてしまうという手段で(あれだけ膨れるのになぜかレーザーには触れない風船を発明するなんてさすがだなあ三世さん)みごとにツタンカーメンのマスクを手に入れるルパン。しかし、マスクをかぶってふざけているうちに、どんどんおかしくなっていく……と言う場面になります。ここはもうさすがの山田康雄さんですね。なんとも表現しにくい鼻歌に乗って踊るあの姿は、不気味でもありユーモラスでもあり。現実主義者のルパン三世もツタンカーメンの呪いには勝てないというのがよく分かります。
というか、このお話は正直言って本放送時の77年当時のオカルトブームの流れを無視しては語れないんじゃないかなーとも思うのですが、さすがにわたしもリアルタイムで体験してないのでうまく解説できません。まあ「王家の紋章」が連載開始になったころ(キャロル―!メンフィス―!)で、「木曜スペシャル」でピラミッド再現計画とかやってた、そういう時代なわけです。あと、時代といえば、銭形警部がイスラエルの空港でエジプト行きの飛行機を要求して赤軍扱いされて取り押さえられるあたりもそうですよね。「またか」って言われるギャグ、さすがに現代では通じないよなあ。
そしてツタンカーメンにとりつかれてしまったルパンを心配する次元と五ェ門に対し、それでもマスクをあきらめきれない不二子ちゃんですが、おかしくなったルパンはいよいよピラミッドの上に出現するまでにいたります。超常現象……と思わせておいて(「だからマンガはイヤ」って次元さんの台詞が面白いです)、実は不二子ちゃんによるトリックだったという流れからのカーチェイスはテンポ良くて楽しいですね。ちょっと「複製人間」も連想させます。
やがて、とうとう弱り切ったルパンを見てマスクを博物館に戻すことを決意する不二子ちゃん。普段はともかく、ルパンという要の存在になにかあると、次元不二子五ェ門の三人で共同戦線を張る、この感じがらしいなあ。ナイル川に照らされる夕陽を見ての次元さんの感慨もいい感じ。しかし、いい感じといえば、不二子ちゃんに「おまえやっぱりルパンのこと……」って言っちゃう次元さんですかね。気になっちゃうのね。しかし正直に言えば、こういう話ではさすがのわたしもあまりジゲフジジゲフジと騒ぐ気にはなれず(本当ですって)、素直に不二子ちゃんはルパンを大好きなのねーと思います。冒頭にも書きましたが、不二子ちゃんがほんとうに可愛い作画で、よけいに乙女っぽく見えるのでよけいにそう感じられるのかもしれません。そういう不二子ちゃんにルパンを託す次元さんの笑顔も素敵でした。
そして無事に博物館にマスクを返して、ルパンの呪いは解け、ルパンを探しつかれて眠り込んだ不二子ちゃん(「ルパン」と指先で書いているあたりがいじらしいですね)のもとにいつものルパンが戻り、銭形警部は相変わらずで、あのラクダに乗ったアラビア風の不二子ちゃんとルパンというラストになります。めでたしめでたし、とはいえ、実はわたしはあのラストのネタはいまひとつうまく理解できないままでいたりします。台詞自体は当時のCMかららしいですが。
この「ツタンカーメン三千年の呪い」、もちろん印象には残ってたんですが(あの踊る三世さんはいちど見たら忘れられないですよね)、今回、ベストセレクションにランクインしたと知ったときには、正直、意外だったんですよね。でも、今回この感想を書くために再見してみれば、なかなかどうしてそこかしこに楽しめる部分がちゃんとあるし、キャラの描かれ方も悪くない良作でした。楽しかった!
というか、もう、あれだけの話数から選ばれただけあって、こうなったらどれもこれも良いんですよ。だから、もう順位は関係なくただ楽しんで、そのなかで自分の好みを感じればいいのかなと言う気になりました。しかしこのベストセレクション、いよいよベスト10が近づいてきましたが、いまだに五ェ門回が登場しないあたりに、やはり五ェ門クラスタの底力を感じます。わたしも、これからも楽しく思うがままの感想を書いていくと思いますので、ベストセレクションの本放送を見ることが出来る方もそうでない方も、いっしょに楽しんで下さったら嬉しいです。これからもよろしくお願いします。