追悼 大塚康生さん

 令和3年3月15日、アニメーターでキャラクターデザイナーである大塚康生さんがご逝去されました(URL)。

 大塚康生さんといえば、旧ルパンのキャラクターデザイン・ 作画監督を皮切りに、「カリ城」のキャラクターデザイン、「風魔一族の陰謀」の監修など、昭和の時代に生み出されたルパン三世を語るうえで欠かせない存在です。その緻密だけど冷たくない描線、柔らかく生き生きとしたおおらかな線で描かれるルパンたちがとても好きでした。大塚さんの描く次元はとても渋くて、ルパンは可愛い。あの「カリ城」はもちろん宮崎監督の作品ですが、わたしにとっては大塚さんの手によって描かれたと思しきかれらがまたひときわ魅力的な存在でした。

 その描線の魅力はルパンだけにとどまらず、つい昨年発行された「大塚康生画集 『ルパン三世』と車と機関車と」ではその幅広い世界を垣間見ることができました(そのときのことはこちら)。さすがにご高齢でしたので、新たな作品というわけにはいかないのは百も承知で、それでもルパン関係の番組などでお人柄を感じられるコメントなどを拝見できるのを楽しみにしていました。

 そして、2019年にはドキュメンタリーも制作されていたとのことですが、残念ながら未見です。なにかの機会があれば拝見したいものです。


 
 長い歴史を持つルパンなだけに、初期からの関係者と呼べる方々はどんどん遠くの世界へ旅立たれてしまいます。それはとても寂しいことだけど、作品は残るのです。わたしもまたこれからも大塚さんの残した作品を、当たり前のように繰り返し楽しむことでしょう。そして、そんな素敵な作品を創って下さったことに、深く感謝するのだと思います。

 ありがとうございました。心よりご冥福をお祈りいたします。

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